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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
聖王国編

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第28話「布石」

夜。

聖王国クリアリースの宿屋、その一室。

灯りは落とされ、外の鐘の音だけが微かに届いている。

三人はテーブルを囲んでいた。

ミスティ「今日、“ローズ”とかいうクソ野郎が接触してきた」  腕を組み、吐き捨てるように言う。

アイミス「“偽奇跡”がどうとか……」

アイミス「冒険者ギルドで無償治療をしている旅人が居ると聞いてやってきたようでした。」

 アスベルは、それを聞いて吹き出した。

アスベル「はは……」

アスベル「そのローズってやつ、中々面白いな」

 椅子に深く腰掛け、指を組む。

アスベル(やはり、アイミスたちと“偽奇跡”を結びつけている)

アスベル(だが、まだ確証はない……)

アスベル「わかった」

アスベル「そのローズが、また来たらすぐ俺に連絡しろ」

ミスティ「……了解した」

 短い返答。

アスベル(計画通りだ)


翌朝。

 白い街に朝の光が差し込む。

パルティア大聖堂近くの小道で、アスベルはシンシアと向かい合っていた。

シンシア「……本当に、最近はひどくて」

疲れ切った声。

シンシア「ハイツ司祭は、寄付金のことばかり……」 シンシア「失敗すれば、すべて私の責任だと……」

 アスベルは、相槌を打ちながら聞いている。

柔らかな笑顔。 同情する信者の顔。

アスベル(なるほど……)

アスベル(教会内部の力関係が、はっきりしてきたな)

シンシア「……すみません」

シンシア「いつも、愚痴ばかりで……」

アスベルは、穏やかに微笑んだ。

アスベル「いいんですよ」

アスベル「女性の愚痴を聞くのも、男の仕事ですから」

 シンシアの頬が、わずかに赤くなる。

シンシア「……アスベルさん……」

アスベル(もう少しだな)

 別れ際、彼女は何度も振り返った。


深夜

 アスベルは、街外れの酒場に入っていた。

黒いフードを深く被り、顔は半分以上隠している。

 カウンターに腰を下ろす。

酒場の店主「……ご注文は?」

アスベル「蜂蜜酒」

アスベル「甘くて、濃厚なやつ」

 店主は目を閉じたまま、静かに頷く。

店主「……お待ちを」

 アスベルは頬杖をつき、しばらく待つ。

 そこへ、もう一人の男が腰掛けた。

男「マスター、俺も蜂蜜酒」

店主「畏まりました」

 二つの杯が、同時に置かれる。

 アスベルは、杯を手に取らずに言った。

アスベル「……何と呼べばいい?」

男「ルーク」

男「そう呼ばせている」

 低い声。  

どこか胡散臭いが、隙はない。

アスベルは薄く笑った。

アスベル「教会の“ハイツ”について知りたい」

ルーク「ほーん……」

ルーク「そりゃ、高くつくぜ」

アスベル「金は払わない」

 即答。

ルーク「じゃあ、報酬は?」

アスベルは、蜂蜜酒を口に運ぶ。 甘い。

アスベル「寄付金の廃止だ」

ルーク「……不可能だろ」

アスベルは、肩をすくめた。

アスベル「もしダメだったら」

アスベル「俺が奴隷にでも、なんでもなってやるよ」

 ルークは、思わず頭を掻いた。

ルーク「……本当は、後払いなんか受けねぇんだがな」

ルーク「あんたのことが気に入った。今回は特別だ。」

 二人は杯を掲げる。

 乾いた音。

 静かな乾杯。

アスベル(さあ…下準備は整った。)


読んで下さり、ありがとうございます。

女の涙は蜜の味

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