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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
聖王国編

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第27話「秘密」

冒険者ギルドは、今日も騒がしかった。

 剣の音、罵声、酒の匂い。

 祈りとは無縁の場所。

アイミス「次の方、どうぞ……」

 簡素な机の前。

 アイミスは慣れた手つきで包帯を取り、傷口に手をかざす。

 淡い光が走り、裂けた皮膚がゆっくりと塞がっていく。

冒険者「アイミスちゃんに会いたいから、ケガしてるようなもんだな!」

冒険者は豪快に笑う。

ミスティが冒険者を睨みつける。

冒険者「おいおい!ミスティちゃん!」

ミスティ「……ちゃんはやめてくれ」


 そのとき、ギルドの入り口が静かに開いた。

 白を基調とした装束。

 腰には剣。明らかに教会の聖騎士だった。

聖騎士に囲まれ、白いローブを纏う長身の男がいた。

ローズ「失礼する」

 警備担当司祭、ローズ

ローズ「なんと!無償で行う旅人がこんなに可愛い女性達とは!」

ミスティ「……?」

アイミス「…えっと……」

ローズは軽やかなステップで2人に近づく。

ローズ「どうだい?今夜ディナーでも、お二人さん」

アイミス「あ……い、いえ。」

ミスティ「……軽薄な男は嫌いだ。」

ローズは振られて、落胆する。

 だが、ミスティは一歩前に出る。

ミスティ「用件はそれだけか?」

ローズ「……単刀直入だな」

 ローズは小さく苦笑し、視線を巡らせた。

ローズ「最近起きている“偽奇跡”について、何か知っているか?」

 一瞬。

ミスティ(偽奇跡?)

ミスティ「知らない。それに、奇跡に偽なのかあるのか?」

 即答。

 嘘も、誤魔化しもない。

ローズ「ああ!僕としたことが!忘れてくれたまえ。」

ローズは向き直る。

ローズ「君たちはどこから来たのかな?」

ミスティ「……尋問か?」

 ローズは、そこで察した。

 これ以上踏み込めば、完全に壁を作られる。

ローズ「いやいや……警戒させてしまったようだな」

 一歩、下がる。

ローズ「今日は挨拶だけにしておこう。また出直す」

 聖騎士とともに去っていく背中を、ミスティは無言で見送った。

ミスティ(……あの司祭)

アイミス「……大丈夫、ですよね?」

ミスティ「分からん。だからこそ、油断するな」



 一方、その頃。

 パルティア大聖堂から少し離れた、小さな飲食店。

 昼下がりの静かな時間。

 向かい合う二人。

 アスベルと、シンシア。

シンシア「……ごめんなさい」

 開口一番、その言葉だった。

アスベル「シンシア様。どうされました?」

 純粋そうな目。

 心配そうな声。

 ――完璧な“信者”。

シンシア「……言えば、あなたを巻き込んでしまう」

 指先が、震えている。

 アスベルは少しだけ考える素振りを見せた。

アスベル「私は旅人です」

アスベル「もし巻き込まれたら……また旅に出るだけですよ」

 軽い口調。

 だが、逃げ道を示す言葉。

 シンシアは、視線を落とした。

シンシア「……力になって、くれるんですか?」

アスベル「できる範囲で、ですが」

 嘘は言っていない。

 沈黙。

 そして、シンシアは覚悟を決めたように口を開いた。

シンシア「……実は」

 会議のこと。

 寄付金の減少。

 “偽奇跡”という言葉。

 司祭ハイツの圧力。

 すべてを、断片的に語る。

シンシア「……私、どうすればいいのか分からなくて」

 最後は、か細い声だった。

 アスベルは、黙って聞いていた。

 そして――

 ゆっくりと、口を開く。

アスベル「それは……お辛いですね」

 同情の声。

 だが、その瞳の奥で。

アスベル(来た)

 駒が、こちらに歩いてきた。

アスベル「一つだけ、約束してください」

シンシア「……なんでしょう」

アスベル「今日の話は、誰にも言わないこと」

 シンシアは、迷わず頷いた。

シンシア「はい……」

 アスベルは、穏やかに微笑んだ。

アスベル「なら、大丈夫です」

アスベル「必ず、道はあります」

 それが“救い”なのか。

 それとも――。

 その答えを知るのは、まだ先だ。

読んで下さり、ありがとうございます

共通の秘密ってワクワクしますね

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