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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
聖王国編

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23/30

第23話「パルティア大聖堂」

白い石畳を踏みしめながら、三人は歩いていた。

 先導するのは、司祭シンシア。

 街の中心へ近づくにつれ、音が消えていく。

 屋台の呼び声も、笑い声も、足音さえも――

 まるで、音そのものが吸い取られているかのようだった。

アイミス「……静かですね」

ミスティ「さっきまで、あんなに人がいたのに」

シンシア「大聖堂は神聖な場所ですから」

柔らかな声。

シンシア「ナハト様の御前では、不要な言葉は慎むものです」

アスベル(神が作ったわけではあるまいに)


 やがて、それは見えてきた。

 パルティア大聖堂。

 巨大な建造物。

 白一色で統一された外壁は、装飾を最小限に抑えながらも、圧倒的な存在感を放っている。

 中央には高くそびえる尖塔。入り口までは天へと伸びるような階段がつながっていた。

アスベル(これが宗教の力か)

アイミス「こ、これ……全部、石ですか?」

ミスティ「綺麗だな」

 アスベルは、無言で建物を見上げていた。

アスベル(信仰の象徴…権力の誇示…)


 長い階段を登りきる。

入口の前には、すでに多くの信者が並んでいた。

 皆、フードを被り、静かに順番を待っている。

 誰一人、喋らない。

シンシア「さあ、こちらへ」

シンシアは自然な所作で列に混ざる。

 扉が開く。

 ――瞬間、空気が変わった。

 外よりも、さらに静か。

 高い天井が広がり、柱に刻まれた無数の紋様。

 壁一面に描かれた、創造神ナハトの聖画。


アイミス「すごい!」

ミスティ「壮観だ。」

アスベルは周りをみる。

 祈る人々。

 数え切れないほどの信者たちが、床に膝をつき、頭を垂れていた。

 誰一人、顔を上げない。

 誰一人、視線を彷徨わせない。

 まるで、同じ意志を与えられたかのように。

アスベル(反吐が出そうだ。)


すると1人の老人が歩み寄ってくる。

老人「シンシア司祭…」

シンシア「敬虔な信徒よ。何かありましたか?」

老人は話し出す。

老人「孫娘が、病気なんじゃ」

シンシア「それはお辛いですね。」

シンシアは悲しそうな表情をする。

シンシア「あなたが諦めなければ、必ず救いがあります。これから信仰を忘れなければ必ず救われます。」

老人「奇跡の技で助けてはくれませぬか?」

シンシアは笑顔で応える。

シンシア「奇跡は授けることは出来ます。しかし、奇跡はナハト様を信じたものしか与えられません。信頼を得るには毎日の祈りと寄付です。」

老人はそれを聞き、去っていく。

アイミス「シンシアさん…良い人ですね」

アスベル(良い人?結局、救ってほしければ金を寄越せってことじゃないか)

アスベル「……素晴らしい場所ですね」

心にもない言葉。

シンシアはニコリとする。

シンシア「みなさん、この講堂がパルティア大聖堂の中心。ナハトの間です。皆さんも祈りを捧げましょう。」

アスベル達も膝をついて祈る。

アスベル(居もしない神、救ってくれる神)

アスベル(結局、信じられるのは自分だけだ)


アスベル達はパルティア大聖堂を後にした。


読んで下さり、ありがとうございます。

神は沈黙、人は饒舌

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