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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
学園編

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14/30

第14話「文化祭に向けて」

その知らせは、学園中を一気に沸かせた。

「文化祭を開催する」

 掲示板に貼り出されたその一文の前には、瞬く間に人だかりができた。

「文化祭って、あの?」

「出し物とか、屋台とかやるやつだよな!?」

「人もたくさん来るらしいぞ!」

 平民も貴族も関係なく、期待に満ちた声が飛び交う。

 レンブラント学園にとって、これほど大規模な行事は珍しかった。

 Aクラスの教室でも、同じようにざわめきが広がっていた。

アイミス「文化祭……!」

目を輝かせる。

ミスティ「忙しくなりそうだな」


学生全員が講堂に集められる。

サイト「はい、静かに」

サイト教官の声により、講堂が静まりかえる。

すると、壇上の脇からカツカツと女性が歩いてくる。

レイア「校長先生のレイアです。」

講堂内がざわつき始める。

「あれが校長!?」

「若すぎるでしょ!」

レイア「今回、我がレンブラント学園は文化祭を開催することに決定致しました。王都中から多数の人を招き、楽しみましょう。」

講堂内が拍手で覆われる。

レイア「そこで、今回は私の独断ですが…」

レイア「この文化祭の実行委員長にアスタ・ランドバーグを指名します。」

講堂内が再び拍手に包まれる。

レイア「アスタ・ランドバーグはこちらに」

アスベル(やってくれたな…しかし、良いアシストだ)

アスベルは静かに壇上に上がる。

レイアは小声で「期待してるわ」と言った。


アスベル「静かに」

一言で、講堂が落ち着く。

アスベル「文化祭は全学年参加。Aクラスも例外じゃない」

アスベル「校長先生から指名をもらい、僕が文化祭の実行委員長になりました。」

 その言葉に、数人が顔を見合わせる。

アスベル「そこで、文化祭を円滑に進めるため僕に協力してくれる人を募ります。」

アスベル「平民、貴族は問いません。文化祭を“楽しむ側”には、なれないかもしれません。」

アスベル「それでも、僕に協力してくれる人はこのあと、調停委員会の部屋にきてください。」

アスベルはそう言うと壇上から降りていった。


---


調停委員会の部屋

アスベルの目の前に人が集まっていた。

アイミス、ミスティは当然

貴族のマルセル、平民のスルトがいた。

マルセル「あれから反省したんだ。」

スルト「僕はあのときの恩を返したくて」

アスベル「ありがとう」

ミスティ「ちなみに、あなた目的の女性は全員追い返しました。」

アスベル「…お手柔らかに頼むよ」

一拍置く。

アスベル「この5人で実行委員を組織する。」

アスベル「決定事項はすべて文書化する。役割、予算、責任範囲」

アスベル「曖昧なまま進めるのは無しだ」

 ごく真っ当な提案。

誰も反論できない。

ミスティ「……記録係、必要ですね」

アスベル「そうだね。アイミス、頼めるか?」

アイミス「は、はい!」  即答。

 こうして、実行委員会は淡々と形を整えていった。

アイミスは記録・集計

ミスティは警備

マルセルは渉外・調整

スルトは会計

スルト「お金なんて重すぎるよ」

アスベル「大丈夫だ。俺の許可でお金を渡したりするだけだ。帳簿は頼むよ」

スルト「それなら、なんとかなりそうです。」

アスベル(まあ…他にも役目はあるがな)

 すべてが整理され、掲示板に張り出される。

「これが、文化祭の実行委員会か!」

「彼等なら安心ね!」

 表向きは「親切で公平な運営」。

 裏では、アスベルの意図通りに――

 誰が、何を、どこまで関与したか が明確に刻まれていった。

アスベル(さあ、撒き餌はまいた。あとはかかるのを待つだけだ。)

 その頃。

 学園の隅で、腕を組んでいたコルドの表情は、次第に険しくなっていた。

コルド「……くだらない」

吐き捨てるように言う。

コルド「平民と肩を並べて屋台だの、展示だの……」 コルド「貴族の格が下がるだけじゃないか」

 周囲にいた取り巻きが頷く。

ゴーン「確かに……」

ライブ「僕たちがやる意味、あります?」

 コルドは鼻で笑った。

コルド「ない」

コルド「そもそも、これは“公平”を装った茶番だ」  視線の先には、文化祭に浮かれる学生の姿

コルド「気に入らないな……本当に」

 その日の放課後。

コルドは貴族派の生徒を集めて、はっきりと言い放った。

コルド「ヴァレンシュタイン派は、文化祭には参加しない」

 ざわり、と空気が揺れる。

コルド「平民と混ざる行事など、我々の品位を損なうだけだ」

コルド「ボイコットする」

 反対意見は出なかった。  いや、出せなかった。

 翌日、その方針はすぐに学園中に知れ渡った。

「貴族派が参加しないらしい」

「え、じゃあ出し物どうなるんだ?」

「勝手じゃない?」

 その報告を受けても、アスベルは眉一つ動かさなかった。

アイミス「……どうしますか?」

ミスティ「止めなくていいんですか?」

アスベル「参加は自由だ」

穏やかな声。

アスベル「規則上、何の問題もない」

 そして、静かに付け加える。

アスベル「自分で選んだんだ。尊重しよう」

 その言葉に、二人は何も言えなかった。

 教室の外。  

離れた場所で、コルドは文化祭準備に奔走する生徒たちを睨みつけていた。

コルド(……好きに騒ぐがいい)

コルド(いずれ分かる。身分の差というものを)

 一方で。

 アスベルは掲示板に貼られた役割表を眺めていた。

アスベル(ここまでは上手くいっている。あとは…)

 文化祭は、まだ始まっていない。

 だが。

 すでに勝敗を分ける配置は、整っていた。

 ワクワクと期待の裏側で――

 静かな選別は、確実に進んでいた。

読んで頂き、ありがとうございます。

文化祭は楽しそうですねぇ

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