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悪徳貴族として酒池肉林を目指しているが、世間がうるさいので黙らせることにした  作者: ルピナス
学園編

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第11話「規則」

 レンブラント学園の廊下は、昼休みになると一気に騒がしくなる。

 Aクラスの生徒たちも例外ではない。

アイミス「……最近、アスタ様って、よく周りを見てますよね」

 並んで歩きながら、ぽつりと零す。

 入学当初の硬さはもうなく、声も表情もずいぶん明るくなっていた。

ミスティ「そうか?」

腕を組んだまま、素っ気なく返す。

アイミス「だって、質問してもちゃんと聞いてくれるし……」

少しだけ言い淀む。

アイミス「前より、話しやすくなりました」

ミスティ「……浮かれてるな」

アイミス「ち、違いますよ!」

 その時だった。

「やめてくれ!」

 甲高い悲鳴が、廊下に響いた。

アイミス「え……?」

ミスティ「……行くぞ」

 二人が角を曲がると、そこには人だかりができていた。

 中心で睨み合っているのは、貴族の男子生徒と、平民の男子生徒。

貴族「この服を汚しやがって!」

上等な制服の袖をつまみ、声を荒げる。

貴族「弁償できると思ってるのか?」

平民「そっちがぶつかってきたんだろ!」

平民「こっちは歩いてただけだ!」

 どちらも一歩も引かない。

 周囲の生徒たちは、止めに入ることもできず、様子を伺っている。

ミスティ「おい、やめろ!」

 ミスティが前に出ようとした、その時。


「――やめたまえ、君たち」


 落ち着いた声が、場を制した。

振り向くと、そこにいたのはコルドだった。

腹に手を当て、いかにも“貴族らしい”余裕のある態度


コルド「貴族と平民が争うなど、学園の理念に反する」

ゆっくりと周囲を見渡す。

コルド「規則は、秩序のためにあるのだからね」

 貴族たちが、ほっとしたように頷く。

コルド「そこで、提案がある」

口角を上げ、続けた。

コルド「この学園には、身分による衝突を解決するための制度が存在する」

コルド「――調停委員会だ」

 ざわ、と空気が揺れる。

コルド「私が調停委員長として、間を取り持とう」  得意げに胸を張る。

コルド「公正で、規則に基づいた判断を約束しよう」

 周囲の貴族たちから、拍手が起こった。

笑顔。

称賛。


 平民の生徒たちは、誰一人として拍手していなかった。

コルド「調停委員会は明日開く」

コルド「安心したまえ。すべて“規則通り”だ」

 そう言い残し、コルドは高笑いしながら去っていく。

貴族「命拾いしたな」

吐き捨てるような一言。

平民「……不公平に決まってる」


 人だかりは、重たい空気を残して散っていった。

アイミス「……このままだと」

小さく呟く。

アイミス「コルド様に、貴族寄りの判断をされるかもしれません」

 ミスティは、拳を握りしめたまま、視線を落とす。

ミスティ「……」

アイミス「え……?」

ミスティ「アスタ様なら」

一拍置いて、続ける。

ミスティ「アスタ様なら、何とかしてくれるかもしれない」

 その言葉に、アイミスははっとした。

 その頃。

 少し離れた場所で、コルドは廊下の窓際に立っていた。

コルド(平民共め)

鼻で笑う。

コルド(身分の差が、どれほど高い壁か)

コルド(明日、思い知らせてやろう)


 ――そして。

アスベル(……そろそろ、動く頃合いだな)

 直接姿を見せることはない。

 だが、人の配置、感情の流れ

 すべて、想定通りに進んでいる。

アスベル(次は、“規則”を使う番だ)

 善良な模範生の仮面の裏で、

 アスベル・ランドバーグは静かに、次の一手を描いていた。

読んで下さりありがとうございます。

平民と貴族って面白いですねぇ

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