5話 初の依頼
タイムたち一行は、町を出て砂漠に出ていた。
砂漠に出て、怪鳥を狩る為だ。
「―――以上が作戦だよ」
アイリスが説明を終える。
「結構、力技ですね」
タケが作戦について言及する。
「仕方がないんだよ。罠とか買えないし」
「そうだぞ。それにこの作戦は結構イケると思うんだ」
「そりゃあ、イケるでしょうね」
三人はそんな会話をしながら、怪鳥を探す。
「いた?」
アイリスが二人に聞く。
「いや、全くいないな」
タイムが答える。
「…………あれじゃないですか?」
タケが恐る恐る言う。
その指した方向には、何かの影が見える。
「タイム、見える?」
「見てみよう」
タイムは『勇気の力』を発動し、視覚を強化する。
その強化により、よく見えなかった影がおおよそ鳥の形をとっていることが解る。
「多分怪鳥だ」
「よし、それじゃあ作戦開始!」
アイリスの合図により、作戦通りタイムが怪鳥に向かって駆けだす。
スキルで身体能力が上がっているので、かなりの速度である。
怪鳥はその接近してくるタイムに気が付き、逃げ出す。
だが、タイムは怪鳥にあっという間に追いつき、剣で首を切り落とした。
怪鳥の首は地面に落ち、怪鳥の胴体はその場に倒れた。
その様子を見て、タイムは、アイリスの言っていたことがただの比喩であったことを知った。
後から追いかけてきたアイリスとタケがタイムに追いつく。
「よし、上手くいったね」
アイリスがそう言うと早速、解体にうつる。
タケがナイフを取り出し、怪鳥を部位ごとに切り分ける。
「そういえば、これどうやって運ぶんだ?」
タイムが何気なく発言する。
その一言にアイリスの動きが一瞬止まる。
「…………考えてなかった」
アイリスが両手で顔を覆い、呟く。
「それじゃあ、どうする? 全員で手分けしてもかなりの量だぞ」
その言葉で全員が黙ってしまった。
「それなら僕に考えがあります」
タケが挙手する。
「どんな考えだ?」
タイムがタケに聞く。
「僕の持ってるスキルで運べるかもしれません」
「スキル?」
タイムが不思議そうに尋ねる。
「僕のスキル【盗人】の機能に『盗人庫』というものがあります。この機能は簡単に言えば空間収納です。物をしまうことができていつでも取り出せます。これを使えば簡単に運べるんじゃないでしょうか?」
「それ採用!」
アイリスがタケの案を採用し、タケに運搬を一任する。
タケは怪鳥の素材に手で触れるとその素材たちは一瞬にして消え去り、地面の上には怪鳥の血痕が残った。
「よし、次のを探そうか」
三人は次の獲物となる怪鳥を探し始めた。
◇
「そろそろ帰るか」
「そうだね」
「暗くなってきましたしね」
三人は町へ戻るべく、今日仕留めた最後の怪鳥を解体し、タケがスキルで収納する。
日は地平線にかかり、橙色の空が広がっている。
「タケのスキルは、『盗人庫』以外の機能は無いの?」
アイリスが何気なく自然に話題を振る。
「いいえ、あともう一つあります」
「それはどんな効果なんだ?」
タケの言葉にタイムは食い気味に反応する。
「もう一つの機能は、相手の持ち物を盗むことができる『盗人の腕』です。もうすでにタイムさんには、使ったことがあります」
その言葉を聞いてタイムはいつだろうと記憶を掘り返す。
そして一つの心当たりを思い出す。
それはタケに初めて出会った時のこと――――と言っても今日中のことなのだが――――タケがタイムから冒険者カードを盗んだ時、タイムはあの時、冒険者カードをしっかりと懐にしまっていた。
そうだと言うのに一瞬、衝突しただけで盗られていたのだ。
タイムは今の説明によりその疑問が解けた。
「そう言えば、タイムのやつもスキルだよね? 何て言う名前のスキルなの?」
スキルの話題からタイムに振られる。
「たしか、【勇者】って名前の固有能力だ」
タイムは正直に答える。
「お~、珍しいね。確か勇者の称号を持つ、有名な英雄が持っていたっていう希少なスキルだよ」
タイムはその話を聞き、少し嬉しくなった。
そんな会話をしながら三人は町に戻った。
そのまま、冒険者ギルドに向かう計画だったが、時間が遅いので三人は宿に戻った。
新しくパーティにタケが加入したので、一部屋追加でとり、アイリスが一部屋、タイムとタケがもう一部屋になった。
三人は各自、ベットに横になり、眠りについた。
◇
次の日、三人は目を覚ますと支度をし、冒険者ギルドへ向かった。
朝の冒険者ギルドは、人が少なく、普段より静かであった。
三人は素材受け渡しのカウンターへ行く。
「すみません。この依頼品の納品をしたいのですが…………」
タケが依頼の紙を置きながら言う。
「はい、怪鳥の素材ですね。こちらにお願いします」
職員は大きめの箱を取り出す。
タケはその中に昨日、解体した怪鳥の素材を出していく。
もちろん、肉の部分だけだ。
箱はすぐに満杯になる。
「まだまだ、あるんですけど、どうすればいいですか?」
「………………まだですか、あと何箱ほどですか?」
「あと二箱くらいです」
タケがそう言うと職員の人が一瞬固まる。
「多いですね」
そう言うと奥から追加で二箱運んでくる。
タケはその箱に納品し、満杯にする。
「それでは検査します」
そう言って職員の人は別の職員を呼び、数人で箱を運ぶ。
それからしばらく待って、職員の人が一人で戻ってくる。
「検査が終了しました。こちら報酬です」
そう言って、銀や金の丸いコインを数枚、タイムたちに渡す。
「状態が良かったので、追加報酬も含まれています。これからもギルドをご利用ください」
そう言って、職員はお辞儀をした。
◇
三人は素材を換金した後、別の依頼を受けた。
その依頼は、町の中での荷物の運搬をする、と言う内容だ。
この依頼もタケのスキルによって実に簡単に完遂することができた。
微々たるものだが、タイムやアイリスも手伝った。
タイムは兎も角、アイリスは力にならなかった。




