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12話 迷宮へ行こう

 タイムたちが町に来てから数日が経過した。

 その間、四人は、不死族(アンデット)を討伐することにいそしんでいた。

 聖水と、タイムとパキラの戦闘能力の高さがあり、楽々と達成することができた。

 そんなある日、タイムたちは、ギルドの職員にある提案を聞かされた。


「ダンジョン攻略?」

「はい、つい最近、大きいダンジョンの大人数攻略の話がでまして、現在も募集しているのですが、どうでしょう?」


ギルドの職員は、笑顔で勧める。


「でも、何で僕たちに? まだ、Ⅽランクの駆け出しですよ?」


 タイムが不思議そうに尋ねる。


「いえ、皆さんBランクの依頼である不死族(アンデット)討伐をしているので、実力は十分かと………………」


 ギルド職員は、答える。

 タイムたちの個々の実力は、戦闘面や支援面でBランク相当のものなのである。


「面白そうだし受けたら?」


 軽い口調でアイリスが言った。


「断固反対します」


 タケが恐れて拒否する。


「行こう! よくわからないが面白そう!」


 パキラが好奇心で言う。


「それじゃあ、三対一でダンジョンに行くことが決定しました」


 タイムが三人の前で発表する。

 その瞬間、タケが膝を着き絶望する。

 ドラゴン討伐の依頼を思い出す反応である。


「タケ、じゃあ聞くけど。ドラゴンに挑むのとダンジョンに入るのだったらどっちが嫌?」

「それはドラゴンですけど」

「だよね。それに私たちはドラゴンと戦った実績があるし、何も心配はいらないよ」


 アイリスがタケを説得する。

 タケは、若干不服そうに首を縦に振った。

 そうしてギルドの職員に勧められた大人数ダンジョン攻略に参加することになった。


 ◇


「それじゃあ、今日はダンジョンに挑むに当たってこのパーティのそれぞれの役割を確かめていきたいと思います」


 町の食堂で机を囲み、アイリスが言いだした。

 皆の目の前には、料理が置かれており、これから食べ始めようとしていることがわかる。


「まず最初にタイム」


 アイリスはタイムに言う。


「パーティの前衛。剣士。もう食べていいか?」


 アイリスはタイムの言葉を無視する。

 そして同じ質問をタケとパキラにもする。


「パーティの後方支援担当。雑用係。もう食べていいですか?」


「パーティの多分前衛。棍棒士? 殴り士?」


 パキラはそう答えると、待ちきれずに食べ始める。


「そして私は、パーティの後衛。魔法使い。もう食べていいよ」


 その最後の言葉をかわきりに三人が食事を食べだした。

 そしてすぐに食べ終わる。

 もちろん一番はパキラだ。


「………………それで話しを戻すけど、まずタイムの固有能力(ユニークスキル)は確か」


固有能力(ユニークスキル)【勇者】。機能は、『勇気の形』の身体能力強化と…………」


 アイリスは、タイムのスキルの確認ができたので話をタケに移す。

 タイムは続けようとした言葉を引っ込めた。


「僕のは、固有能力(ユニークスキル)【盗人】です。機能は、知っての通り盗むことに特化した『盗人の腕』と空間収納の『盗人庫』です」


 タケは、タイムと同じように説明する。

 だが、タイムと違い遮られることはなかった。


「それであたしのは、【大食】で、できるのは食べると力が湧いてくる『栄養補給』と溜める『胃袋』だな」


 パキラが大雑把に説明する。


「そうだよね。皆が持ってるスキルは、この三つ………………」


 そこまで言うとアイリスは、気が付く。


「パキラ、今何て?」

「だから、あたしの固有能力(ユニークスキル)は…………」


 そこで三人は言う。


「「「パキラって固有能力(ユニークスキル)持ってたの!?」」」


 三人は、驚愕する。

 パキラは、何を驚いているのかと呆れていた。


 ◇


「よし、それじゃあ行こうか!」


 アイリスが張り切って言う。

 あの固有能力(ユニークスキル)の確認から二日が経過し、ダンジョンへ向かう当日になった。

 四人がこれから向かうのは、同じくダンジョン攻略を行う冒険者たちが集まるダンジョンの近辺だ。

 準備は万全であり、気合も十分だ。

 四人がたどり着いた集合場所は、いつかの周辺の主(エリアボス)を葬った場所と同じく木々の生えていない開けた空間だ。

 そこにはすでに何人かの冒険者が集まっていて、それぞれがダンジョンへの突入を今か今かと待っている。

 タイムたちは、その冒険者たちの中の一人に意識が向く。


「ん? よう、お前さんたち。久しぶりだな。二週間ぶりくらいか?」


「お久しぶりです」


 タイムが挨拶を真っ先に言う。

 その視線の先には、ドラゴン討伐でお世話になったゴウランさんがいた。


「お前さんたちもダンジョン攻略か?」


「はい、ゴウランさんもあの町から攻略に参加しに来たんですか?」


 タイムがゴウランさんに質問する。


「あぁ、と言うかこの大人数の攻略を企画したのも俺だからな」

『ゴウランさん頻繁に集団で何かしようとするな』


 タイムは心の中で密かに思った。

 それからゴウランさんと少し雑談をするとダンジョンへ突入することになった。

 集まった者たちと共にダンジョンの入り口まで向かう。

 ダンジョンの入り口は、石積みの遺跡のようになっていて、古代の遺跡を想起させる。


「それでは、皆でこのダンジョンへ突入する。このダンジョンは先人の情報によると入った瞬間、出口が別の地点に変化するそうだ。覚悟をするように」


 ゴウランさんは、注意喚起をしてダンジョンへ入っていった。

 それに続き、次々と突入していく。

 タイムたちが入ったのは、最後だった。

 入り口を潜るとそこは入り口から想像できるような石レンガの地下通路が続き、右に左にと道が分かれている。


「それじゃあ、全員で固まりながら探索を………………」


 タイムが振り返り、アイリスたちに言おうとする。


「?」


 振り返ってもそこには誰もいなかった。

 もちろん通ったはずの入り口もない。


『同時に入ったから入り口が変化しているわけじゃないはず、つまり出入口が動くのではなく、入った者がダンジョンのどこかに転送されるって感じか………………』


 タイムはダンジョンの仕組みを考察しながら単独での探索に進んだ。


 ◇


「うーん、これは想定外」


 アイリスは、ダンジョンの通路に立ち尽くす。

 ダンジョンへ侵入した瞬間、三人とはぐれてしまった。


「取り敢えず、皆を探すか。魔物が出たなら、まぁ、一人だし大丈夫でしょ」


 そう考えながらダンジョン攻略と三人の捜索を始めた。


 ◇


「タイムさん~? アイリスさん~? パキラさん~? 誰でもいいのでいませんか?」


 タケが周囲を警戒しながら、名前を呼ぶ。

 ダンジョンの通路に一人。

 ダンジョンには魔物が生息するという情報を知っているため、なおさら怖がっている。

 今のタケには、戦闘手段がない。

 武器と呼べる物もナイフだけしかない。

 つまり生命の危機であり、心細いのだ。


「皆さん~? どこですか~?」


 タケは、人を探すため通路を歩きだした。


 ◇


「おーい! みんなぁ! どこだぁー!」


 パキラが叫ぶ。

 その声はダンジョン内に響き、近くにいた魔物たちを呼びよせる。

 数体の魔物がパキラに襲いかかる。

 どれもが討伐難易度Bランクの魔物たちだ。

 パキラは、棍棒を振るい魔物たちを壁に叩きつける。


「おーい! みんなぁ! どこだぁー!」


 パキラは、皆を探しに歩きだした。


 ◇


 攻略難易度Aランクダンジョン「転移する暗き迷宮(ロンリー・ウェイ)

 攻略開始である。

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