昆虫採集について
男の子ならとくによく憶えていることだろうと思うが、小学生くらいの子供の頃取り組んだ遊び(?)に、『昆虫採集』というものがある。
ご存知だろうか?憶えておいででしょう?
そう。『昆虫採集』
言わずと知れてはいるが、研究や学習、または趣味等を目的として昆虫を捕まえ、集めることである。とくに、捕まえた昆虫を乾燥標本として収集することもあるあれだ。
そう。問題は、その言葉の響きである。
昆虫採集━━。コンチュウサイシュウ、である。
まだ物も知らぬ子供の頃には、それはとても恐ろしい言葉に感じられるのであった。
コン、遺恨のコン。恨から始めてみよう。
━━恨仲裁衆━━。恨みを持ち合ったふたりを仲裁するために招集された烏合の衆。コンチュウサイシュウは、そんな意味合いを持ち得るのである。恨みつらみ、仲裁します、のキャッチフレーズのもと、高額なお金を取って仲裁業務に当たる衆である。それは不気味に過ぎる。偉みは解消したはいいが、衆たちに弱みを握られ、後々強請られたかられ続けなければならないという運命まで見えてくるのである。
恨仲裁衆は御免被るのである。
また、『今中最終』もあるのである。
たとえば、自分に女の子の子供がいたとしよう。
女の子はちょうど、高校生だ。
ある夜、あなたは娘の帰りがとても遅くて心配で心配で気が気ではないのだ。
時刻は最終列車が駅を出るまさにその時間。
何処かに泊まる気か?もう帰りの電車もないし、娘にはタクシー代とならような金も渡してはいない。
男?何処かの男と一緒にホテルにでも泊まろうというのか?それは許さん!心配に過ぎる。
それよりもっと、不吉なことが娘に?
やはり 気が気ではない。
その時である。突然携帯に、LINE またメールが入るのである。
送り主のアドレスは 娘。その文面にはこう書かれている。
「今中最終」
コンチュウサイシュウ?の間違いか?最初は希望的観測からそう思うのである。しかし どうも違う。これにはもっと深い意味があるのだ。
そう。今、中にいるの。最終列車の、という意味があるのに違いないのだ。
最終列車といえば、残業を終え、帰途につく サラリーマンや、酔いつぶれてお店を追い出されたやはり男臭い サラリーマン たちですし詰め状態になるのは 通例だ。
娘はそんな 満員電車に?捕まってかけた時の娘の格好を思い出せば、布切れだけみたいな薄い 格好。そんな状態で押し寿司のような電車の中に?あの 酒臭い サラリーマンどもに圧し潰されるようにして。かわいそうに。
娘に何かあったらどうしよう?これは辛い。怖い。恐ろしい。
以上が、今中最終である。
また、婚虫最臭、なんのものもあら。そう。それはずばり、結婚してる同士の虫は、最も臭い、というもの。そのものずばり。婚中の虫をの虫に、ひとたび 触れてしまえば 二度と、もうそれこそ 一生、指に付着してしまったその臭さは取れない、という恐ろしい状況である。
紺厨済州だけは、まあへいわでかあらかもしれない。
紺色をこよなく嗜好するのはあるお寺に住まわれる済州和尚である、どういう意味なのだが、それはそんな ただの紹介でしかないからだ。
考えるのもいやだが、金中採取兎もある。
とにかくそんな風に、昆虫採取は恐ろしいのである。分かりいただけただろうか?
だから何なんだ?
【了】