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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界召喚されて酷い目に遭った件

作者: 長城万里

トボトボと学校から家へ帰っている

足取りは重い


放課後、好きな子に告白して玉砕したからだ


あの子とはラノベの話で意気投合した

好きな作品が同じものが多かったおかげだ

もう一緒に語ることもできないかもな


まあ、あの子は優しいから普通に接してくれるだろう

でもなあ、恥ずかしすぎる


明日から顔を合わせづらい

休もうかな?


おっと、信号が赤だ

俺は信号待ちしながらため息をつく

はあ、しんどい、、、


信号が青になる

またトボトボと俯き加減に歩き出す


地面がアスファルトから石畳に変わる


は? 何でだ?


周りも違っていた

商店街のど真ん中だ

但し、ファンタジー世界の商店街だ


人間だけでなくケモ耳やエルフなど他種族が普通に歩いている

意気消沈しすぎて幻覚を見ているのか?


ドンッ!


「兄ちゃん、ボケっと突っ立っていると邪魔だぜ」

「あ、すみません」


ぶつかった痛みもある、現実だ

リアルな夢かも知れないけど


俺は邪魔にならないように端っこに寄る


もしかして異世界に転移したのか?

信号を渡るときにトラックとかは来ていなかった

だからトラック転生とかではないと思う


転移の理由がわからない

でも意味不明な異世界転移をするラノベもあったからな

まさか本当にこんなことが起こるなんて思いもよらなかった


元の世界に帰れるのだろうか

帰れないかも知れない


そうだ、もしかしたらチートを授かっているかも


「ステータス」「ステータスオープン」「メニュー」 ・・・・・


思い付く限り言ってみるが何も出て来ない

何だよ、何もなしかよ!


ほんと、どうしようか


端っこで座り込む


「もし、どうかしましたか?」


少し小太りで背の低いおじさんが声を掛けてきた

身形は良く無害そうな顔をしている


「えっと、初めて来た街なので迷ってしまいました」


そういうことにしとく

異世界から来たとか言ったら面倒なことになりそうだから


「なるほど、もしかしてどこかの貴族様ですかな?」

「え、いえ違います、何でですか?」

「貴方の服がとても質の良い物のようなので」


俺は学ランを着ている

こっちの世界の服とは質が違うから高級品に見えたのだろう


「貴族様ではなく、そのような服を着ているのですか

 それでは別の大陸から来たのでしょうか

 この大陸外の服は存じませんので」


「じつはそうなんです」


おじさんの勘違いに乗ることにした

別大陸の衣類と言うことにしておこう

実際、別世界だから別大陸とも言える


「なるほど、でしたら服を変えた方が宜しいかと」

「なぜです?」

「そのままですと野盗などに狙われますよ」


ああ、身包みはがされるわけね


「でも替えの服を持っていません」

「なら私の経営する服飾店に来ませんか」

「ええと、お金も持っていないので」

「では貴方の服を売って下さい、金貨十枚で買い取ります」


この世界の金貨の価値がわからない


「この大陸の貨幣価値がよくわからないのですが」

「金貨一枚だと朝夕の食事付きで一般的な宿屋を一年間泊まれます」


金貨十枚で十年食事付きで泊まれるってこと!?

すごいな金貨!


「売ります!」

「ありがとうございます♪」


このおじさん、商人だったんだな


おじさんの店に行って服を売って服を買った

ややこしいな


服を数着買っても金貨九枚と銀貨が少々手元に残る


「いやあ、良い買い物が出来ました、ありがとうございます」

「いえ、こちらこそ助かりました」


応接室でお茶とお茶菓子まで出してくれた

よっぽど学ランが価値あるものだったのだろう


「それにしても貴方、危機感が無さ過ぎですよ」 ニヤリ


無害そうだったおじさんの顔が歪む


「それは、どう、、いう、、、」 ガクリ


俺は眠気に負けてしまった






気が付くと薄暗い部屋にいた


「ここは、、、」


鉄格子がある

どうやら牢屋のようだ


「おや、お目覚めですか?」


鉄格子の向こうからおじさんの声がした


「おじさん、これは一体何の真似ですか!」


「簡単に騙されてくれてありがとうございます♪

 強力睡眠薬入りのお茶は美味しかったでしょう?」


俺は騙されたのか、くそっ!


「俺をどうするつもりだ」


震える、恐い、でも虚勢を張って言葉を出す


「貴方はこれから奴隷オークションに出す商品です

 見た目は悪くないので高値が付くでしょうな」


「くそっ、奴隷なんかになってたまるか!」

「いえいえ、すでに奴隷紋を付けさせていただきました」

「なっ!?」

「左手首をご覧なさい」


左手首を見ると黒い星形の痣があった


「それが奴隷紋、もう貴方は私所有の商品奴隷です

 私の命令に逆らえませんから逃げることは出来ませんよ」


「そんな、、、」


俺はガックリと膝をついた




そして奴隷オークションの舞台に立っている

命令に逆らえず立たされている


オークションが始まり俺の値段が付けられていく


「金貨百枚!」

「他にはありませんか?」


それ以上の声は止まり俺は金貨百枚で売られた

ちなみに学ランを売った金は商人に回収されている


俺を買ったのは男爵の位を持つ貴族だ

細身でチョビ髭のオッサンだ


男爵の屋敷で仕事をさせられるようだ

屋敷の使用人ならまだマシか

でも何とか逃げる手段を見つけよう




屋敷についた俺は食事を与えられ風呂にも入らせてくれた

あれ? 待遇が良くないか?


「では、こちらへ来なさい」


執事さんに案内された部屋は寝室だった

とても広い部屋にでかいベッドがあった


「今日からお前はこの部屋で暮らすことになる」

「こんな広い部屋をもらえるのですか?」


「ええ、旦那様に感謝しなさい

 そして旦那様の為に働きなさい」


チョビ髭のオッサンとか思って悪かったな

男爵様は奴隷の俺にこんなに良くしてくれるなんて良い人なのかも


だが俺の考えは甘かった




部屋に待機していたが仕事を言いつけられることがなかった

奴隷だから何か仕事をさせられると思ったんだが


来たばっかりだから仕事の割り振りが決まっていないのかも知れない

明日には何かさせられるかもな

夜も更けてきたので寝るか


ガチャリ


扉が開いて誰かがやって来た

男爵様だった


「男爵様、どうかしましたか?」

「食事と風呂は済ましたか?」

「え、はい、ありがとうございました」


買われたばかりで不安な俺の様子でも見に来たのだろう

やっぱり男爵様は良い人だな


「そうか、では始めるとするか」

「何を?」


上半身の服を脱ぎ始める男爵様

何してんの?


「貴様も脱げ、それとも脱がされる方が良いのか?」


下卑た笑みでとんでもないことを言い出した


「ちょっと待ってくれ、どういうこと?」

「決まっているだろう、貴様は私の愛玩奴隷として買ったのだ」


愛玩奴隷? それって・・・・・


「もしかして、俺と、その、性的なことを?」

「わかっているならさっさと脱げ」


んぎゃぁっ!


俺、男、男爵、男、そっちの人か男爵様、いやオッサン!


俺はノーマルだ! オッサンに抱かれてたまるかっ!


こんなヒョロっとしたオッサンなら勝てるだろう

ぶん殴って逃げてやるっ!


俺は全力でオッサンに駆け寄り殴りかかる


だがその拳は届かない


届く前に拳が止まったのだ


「ふん、貴様、自分が奴隷だと忘れているようだな」

「な、何で? 何で殴れない」

「奴隷は主に危害を加えられないようになっているのだ」


そ、そんな、くそっ!

それじゃあ全力で走って逃げてやる

俺は扉を開けて逃げようとする


「止まれっ!」


足が動かない


「主の命令は絶対だ、逃げられはせんよ

 奴隷商人からも逃げられなかっただろう?」


そうだった、商人の命令にも逆らえなかった

だから男爵の命令にも逆らえない


そして俺は夜通しオッサンに弄ばれた




翌朝、オッサンは部屋にはいなかった

俺は身も心もボロボロになっていた

尻が痛い・・・・・


だがこれで終わりではない

毎晩弄ばれる日々が続いた




一週間ぐらい経ったころからオッサンは部屋に来なくなった

飽きたのか? それなら助かるが不安もある

飽きられた奴隷はどうなるのだろう?

また奴隷商に逆戻り?

それとも殺されるとか・・・・・

ゾッとした


ガチャリ


オッサンが来たのかとビクついた

でも来たのは執事だった


「来なさい、今日から私の下で働いてもらうことになった」

「それはどういうこと?」

「お前は愛玩奴隷からは解放されて使用人となる」


助かった、のか?


「私の直属の部下となるのでしっかりと働いてもらうぞ」

「あ、ああ」

「では、付いて来なさい」


執事に付いて行くと地下室に案内される

一つの部屋の前に来る


「ここは?」

「今日からお前の部屋だ」


何か変な臭いがする


扉を開ける


「こ、この部屋、何なんだよ」


拷問器具が大量にあった

命令するオッサンはいない

俺は全力で執事をすり抜けて逃げる


「止まりなさい」


足が止まる


「何でだ!?」

「今のお前の所有権は私にある」

「はあっ?」

「旦那様が飽きたから私に下さったのだよ」


この屋敷、変態だらけだ!


だけど命令に逆らえず拘束椅子に座らされた

もう完全に逃げられない


考えたくないが状況から考えて執事は拷問好きなのだろう

俺はこれから執事に拷問されるのだろう

怖ろしいイメージしか出て来ない

身体が震える、多分血の気が引いているだろう


「まずは簡単なところから楽しもうではないか」 ニヤリ


手首と指を固定される

想像がつく


ベリッ


「ん、ぎゃぁぁぁっっっっっ!!! いっ、てぇーーーっ!!」


右手の親指の爪が勢いよくはがされる

心臓がバクバクしている

涙と涎と鼻水が出る


「はっはっは、イイ反応ですなあ♪」


うっとりした様子の執事

そして一回一回反応を楽しみながら爪を順番にはいでいく

右手の爪が全部はがされて俺は意識が飛びかけた


「おやおや、まだこれから左があるというのに」


もう、もう、止めてくれ、、、


「た、たす、助けて、、、」


バリッ


左手の親指の爪を容赦なくはがされる

俺の意識は飛んだ


ドス!


「んがぁっ!!!」


激痛で意識が戻る

ナイフで左ヒザを刺された


「眠らせませんよ、これからが楽しいのですから」


残りの爪も順番にはがされていく

意識を失いそうになるたびナイフをグリグリされる


すでに思考は出来なくなってきた

痛みと苦しみと様々な感情が渦巻く


なんで俺がこんな目に・・・・・


「さて、爪はまだ十本ありますから♪」


ああ、足の爪か、まだ終わらない、爪はがし地獄




両手両足の爪がはがされた

もう悲鳴を上げる気力もなくなっていた

ヒューヒュー音が鳴るだけだ


「爪だけでこれとは脆い玩具ですな

 ですが続けるとしましょう」


はがす爪はもうない

次は何をされるのだろう

だけどもう何も考えられない

考えたくもない


ボキリ


指を折られる

爪と同じく反応を見ながら順番に折っていく

両手両足全部折られていく


「あー、あー、はー」


だらしなく口を開けて涎を垂らす

小便も漏らしていたが羞恥心とかそんなものはとっくに消えている


「さて、次は激しいですよ

 ですが爪と指でこれでは壊れてしまいそうですね

 まあ構わないでしょう」


もう、殺して、くれ、、、


悪夢なら、目を、覚まして、くれ、俺、、、


執事は剪定用のハサミを手にしている


「爪をはいで指を折り終わりましたからね

 次は指をこれで関節ごとに切ってあげましょう

 両手両足で50回以上は切れますからたっぷり楽しめます」


ニヤニヤと楽しそうにしている


恐怖、諦め、それらすらも感情を失ってきた


「さーて、いっぽんめー♪」


ハサミが右手親指第一関節にあてがわれる


ドゴンッ!


部屋の扉が吹き飛ばされる


「な、何ですか貴方は!?」

「やっと見つけたわい」


もう目の焦点が合っていない上に薄暗いから誰が来たのかわからない


「酷いことをするのう」


「これからが本番だと言うのに邪魔をしないでいただきたい

 貴方は一体何者ですかな?」


「そこの少年の身元引受人じゃ」


「この子は奴隷ですよ? 身元引受人などいるはすがありません

 まあいいでしょう、邪魔をするなら貴方も同じようにしてあげましょう

 年寄りだとすぐに死んでしまうからつまらないでしょうけどね」


「キャプチャー」


「うぬっ!? 身体が動かない?

 まさか貴様、魔導士かっ!」


「その通りじゃ、それも国王専属魔導士じゃ」


「な、それは国王陛下を護るために傍に立つ魔導士ではないか

 なぜ、そんな者がこんなところに!?」


「言ったじゃろう? そこの少年を引き取りに来たのだと」

「国王専属魔導士が出向くだと? この子は一体・・・・・」


「それはお主が知る必要のないことじゃ

 それと男爵もすでに捕まえてある、お主も共に断罪されるじゃろう」


兵士たちがやって来て執事を連れて行く

老人は俺の拘束を解いてくれた


「見つけるのが遅くなってすまなかったの」


そうだけど、ハサミで切られる前で助かった

切られていたら終わっていただろう


「エクストラヒール」


折れた指が治っていく

はがれた爪がキレイに治っていく

痛みが消えていく、心地良い

精神状態も正常に戻っていく


「どうじゃ、まだおかしなところはあるか?」

「いえ、大丈夫です」

「一応、ハイポーションも飲んでおくとよい」

「ありがとうございます」


ハイポーションを受け取り飲もうと思って手が止まる

商人のときのようにまた騙されているんじゃないだろうか?


「ふむ、疑われているようじゃの」

「う、それは、、、」

「これだけ酷い目に遭ったのだから仕方がないのう」


ハイポーションを一口だけ飲む老人


「ほれ、何ともないぞ」

「すみません」


俺は残りを飲む

消耗していた体力が回復した


それから王宮内にある老人の研究室の客間に連れて来られた




「さて、まずは謝罪をさせてくれ

 この度は少年に多大な迷惑を掛けて申し訳ない」


老人が深々と頭を下げて謝る


「どういうことですか?」


老人から説明される

老人は異世界の物質や人を召喚する実験をしていた

物質の召喚実験はつつがなく順調だった

続いて人の召喚を始めることになった

動かぬ物質より動く人の召喚は難易度が高かったらしい

召喚自体は成功したのだが座標が合わず王宮外に召喚されてしまう

すぐに位置を確認して王宮に保護していたそうだ

そして説明をして元の世界へ帰したのだと


「少年の場合、位置を確認して迎えに行くのが遅れてしまった

 そのため酷い目に遭わせてしまったのじゃ、本当に申し訳がない」


「もういいです、こうして助かったわけだし

 それより元の世界に帰れるのがわかっただけでも安心しました」


「うむ、送還魔法もちゃんとあるからそこは安心して欲しい

 ただ召喚魔法と同じく座標がずれるのじゃ

 元の位置からほんの5メートルほどだがの

 時間は元の時間とのズレはない」


5メートルぐらいのズレなら問題ないか

元の世界に帰れるんならそれぐらい構わない


「それで今すぐ帰るかの?」

「はい、出来ればすぐに」

「そうじゃの、こんな酷い目に遭った世界からはさっさと帰りたいじゃろうし」

「ええ、まあ」


この世界が悪いわけではない

騙して酷いことをする奴らが悪いのだ

それでも嫌な思いがあるのでさっさと帰りたいのも本当だ


「それでは研究室へ行こう、そこに送還用の魔法陣がある」


客間の隣の研究室に行くと魔法陣が二つあった


「右が召喚用で左が送還用じゃから左の魔法陣に立ってくれ」

「はい」


左の魔法陣に立つ


「それでは本当にすまんかったの

 元の世界での幸せを願っておるよ」


「はい」


魔法陣が光り包み込まれる


ああ、やっと帰れる

悪い夢だったと思うことにしよう


あと女の子には優しくしよう

レイプや痴漢される女性の気持ちを理解できたしな

性犯罪、ダメ、ぜったい!






光が消えていく


地面がアスファルトだ


周りはいつもの帰り道

たしかに転移前の場所から少しだけ離れていた


「まあ、このぐらいならいいや」


ふと、自分がいる場所について思い出す


「おい! 危ないぞっ!」


サラリーマンが俺に向かって叫ぶ


転移前、俺は青信号になったから渡り始めた

そこから少しずれた場所に立っている


そう、ここは車道のど真ん中


キキキキキィィィッッ!!!!!


トラックが急ブレーキを掛けるが間に合わない


ドンッ!


はね飛ばされる


アスファルトに叩きつけられ転がる


反対方向から来た車に轢かれる


拷問を受けたときと同じかそれ以上の激痛が全身にまわる


なんだよ、なんで、俺が、こんな目に、、、


そして、俺は、、、、、

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