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第2話 死神とは俺のこと!

目を覚ましてから再び立ち上がる。やけに肌が寒い。ボヤけた視界から見える自分の手。骨だ。

昨日のことを鮮明に思い出した。何者かに殺されてしまい、死神となった俺。


冷たい風が頬を伝う。黒いローブを纏って大きな鎌を持って。そんな格好となった俺は、東山雅人という名前じゃなくなり、“リーパー”と言う名前となった。

自称鎌が言うには、リーパーというのは刈り取り……という意味らしい。その自称鎌は俺が持っている鎌の事。


元々異世界に来る前は、社会人をやっていた。もちろん彼女など無い。出来たことすらない。過労死で死んでしまったのだが、異世界来て早々死んでしまった。

骸骨となった俺は、全身の感覚は存在している。そこは大丈夫だ。

死んでから時間はだいぶ経つ。この世界に来てから2日目。まだ戸惑いは感じている。

割り切った、といえば嘘になるが兄さんが言っていた。


『過ぎた事は気にするな』


と言われたことがあるが、気にしないわけにはいかない。2日で気にすることができない、とか臨機応変はできない。


(ひとまず、気休めにステータス見るか)


気休めなステータス画面を見る。変わるところはないが、気休めになる。


【名前】リーパー

【種族】死神

【職業】無職

【状態】死亡 骸骨

【レベル】1

【体力】0/10

【魔力】10/10

【スキル】鎌の声

【称号】死を司るもの


『そんなに見ても変わらないぞ』

(いや、分かってるよ。というか、名前何? 自称鎌って呼んだほうがいい?)

『おい、待て。誰か“自称”鎌だ? よーし、分かった。このまま“自称”とは言われない様に、名前を言ってやるよ。俺の名前は“シックル”だ』


脳裏に聞こえる自称鎌はシックルと言った。シックル。名前は可愛いが死神の大鎌に変わらない。

その禍々しさを感じるその大鎌。だが、移動する時とか邪魔そうだ。

このまま可愛い声とかだったら、間違いなくどこへでも連れて行くだろう。

だが、今話しているのは小さい声で言うとなんと言っているのか分からないぐらい、低い声。


(もうちょっと可愛らしい声だったらなぁ)

『あ?』

(ごめん)


ドスの効いた様な声を出し、少し身震いする。


(この先どうするか……)


異世界に来てこの先どうしようか、考える。昨日のやつに復讐するか、のんびりと過ごすか。働きたくないという気持ちが強く、異世界でスローライフを過ごすというのもあり。

だが、昨日のことを思い出すと、憎悪と怒りが溢れ出してくる。

復讐とのんびり。どちらでもいいだろ。もしくは両方。


まずは整地をするか。


『整地をするには、魔法を使えばいい。鎌から魔法を放つこともできるぞ』


ステータスには魔力項目も書かれている。つまりは魔法も存在する。ロマンを感じる。

だが、魔力は10。整地するのはかなり時間がかかりそうだ。


『レベルが上がることに魔力も上がるぞ』

(そうか。なら、今はレベル上げが先決か)


シックルが言うには、レベルを上げることによって魔力も上がる。ならば、今やるべき事はレベル上げ……と言うことか。

レベルは1。で、魔力が10。

スキルに関しては、鎌の声。おそらくその名の通り、鎌もとい、シックルの声が聞こえる。と言う意味だろう。


(ひとまず、分からないことだらけだが、シックルに聞けば色々と聞けそうだな。今はこの鬱蒼とした森でどうするか。異世界になら魔物とか出てくるだろうから、それでレベル上げとか出来そうだ)


魔物とかに出会ったことがない以上、どんな強さなのか分からないが、よくゲームとかではスライムが初めての敵とかになりそうなのだが、今はその魔物の気配を感じれそうにない。

武器は鎌で十分だ。そこはOK。だが、今思うと俺自身魔物の様な感じじゃないか?

死神だから邪神? 


(あのさ、魔物ってどんな感じに分かれてるの?)


俺はシックルに聞くため、心の中でシックルに向かってそう言い放つ。聞いたシックルは俺の脳裏に聞こえる様に言い放った。


『魔物にはそれぞれランク付されている。スライムやゴブリンに関しては、Fランク。ドラゴンとかはSランクだな』


アルファベットでランク付されていると、強さの段階とかが何となく想像することができる。

魔物を倒すと何か素材を落とすのだろうか。ゴブリンの角、爪、もしくはスライムのあのぽよぽよとした素材。

ドロップアイテムするのだとしたら、それでお金に変換できそうだが、大体そういうところは国とかにありそうだ。だが、この格好で国に行くと魔物として討伐されかねない。

もう死ぬのは勘弁。だが、お金もないと生活に苦しみそうだ。


(こればっかしは、働かないとダメか)

『働かざる者食うべからず。と言うだろう』

(そうっすね)


それを言われちゃおしまいだ。よく学生の頃耳にタコができるほど言われていた。今思うと働き過ぎて死んでしまったことに関しては、どうしよう。

まぁスルーが大事だな。


今はひとまず魔物退治でレベル上げるのが一番だろう。物理攻撃ならば、魔力は使わない。体力は使うだろうが。


(と言うかなんで死神が地に降り立ってるの?)

『死神は元々冥界で魂の管理をしてるんだよ。死を迎える予定の魂が悪霊にならない様に防ぎ、冥府へ案内する。と言う役割も担っているが、死神界でそんな事する奴など、滅多にいないけどな』


つまりは死神は冥界からやってきて、死を迎える人物の魂を……?

オカルトじみた話だが、今自分の姿は死神。シックルが言っているのは、一部のことなのか。

と言うより、死神界とはなんだ? 初めて聞いだぞ。


『……お、誰かの魂が死を迎えそうだな』

(え、そんなこと分かるの?)

『あぁ、もちろんだ。さぁ、急ぐぞ』

(………仕事?)


その後に無言になると言う事は、そうなのだろう。仕事か。働きたくないが、死神となった以上はシックルに振り回されそうだ。


その死を迎えそうになっている魂の場所へ行く途中、魔物にこれ程かと言うほど出くわした。

フリーホラーゲームで、スマホからできるそのゲームの青◯みたいにしつこかった魔物もいた。

だが、そいつらのおかげでレベルアップする。


(おぉ! レベル5! 魔力が45上限値アップしたな!)


ゴブリンやスライム、それよりもランクが高いオークなども現れたが、この大鎌で返り討ちにしてあげた。

やはり魔物を倒すと素材も落ちる。一番役に立たなさそうなオークの唾液。


(必要?)


と何度思ったことか。だが、シックルが言うにはオークの唾液で腐ったものを緩和する効果もあるとの事。ゾンビとなった元人間を人間に戻す事も可能だとか。異世界のゾンビには二種類いるらしく、自然的にゾンビになったやつと、死んでゾンビになった奴。

自然的にゾンビになった奴に、オークの唾液を使ったとしても肉が溶けるだけらしい。だが、死んでゾンビになった奴は治療はできる。

そこら辺はまだ混乱しそうだが。


鬱蒼とした森を進んでいくと、一つの丘に辿り着く。そこに1人の少女が佇んでいた。まるで某映画の様に両手を広げており、再び冷たい風が吹く。

自殺現場だろうか。誰にも人気が付かない場所で今にも飛び降りそうな人物。


『彼女だ。どうする? 生命を司る死神よ』


俺が決めるのか。生かすか、死なすか。

そんなの、生かす。


「死ぬのはやめたほうがいい」

「………! だれ」

「我が名は死神。生命を司るものだ」

「………死神って本当にいるんですね。でも、私は………」

「生きるのが辛いのか? 何か嫌なことがあったからか? だとしても生きたほうがいい。俺はそっちを優先する。何故なら、死ぬのは痛いぞ。死んでからも苦しみから解放されることなどない」


それはまさに俺だ。死んで今は死神。苦しいことばかりだ。


シックルに振り回されたり、ストーカー並みのゴブリンだったり。


「………どうして死神さんが私を止めるの?」

「そりゃあ死神だ。生きるのも死ぬのも。魂を管理するのが俺の役目だ」


先程シックルが言っていた死神の仕事を言っているだけだが。これで自殺を止められたらどんなに良いことか。むしろ、生きているほうが毅然と良い。

何故なら、ゲームできるでしょ。アニメ観れるでしょ。友人が少なくとも一人で楽しいところに行けるでしょ。

ほら、良いことづくし。

まぁ、異世界に来たから意味ないけど。


「でも、死神さん。私は生きるのが疲れました」

「そうか。何歳だ?」

「まだ17です」


(おいおい! まだ17だと!? 若すぎるにも程があるな! 俺なんて40手前のおっさんだったからな!)


「まだ17なら、死ぬには早すぎる。俺の知り合いに、可哀想な奴がいるんだ。童貞で彼女いなくて、40手前のおっさんが」

「………死神さん、なんか口調変わってませんか?」

「なら、未練とかないのか?」

「未練、ですか?」


未練があれば死なずに済むだろうと思っていたが…。


「ないです」

「え、嘘でしょ」


17歳ならば彼氏が欲しいだとか、甘いもの食べたりとかあるんじゃないの?

妹は普通にそうだった。今となっては妹は結婚していらっしゃいますけど!

一児の母ですわ!


「よし分かった。そういえば、君名前は?」

「名前は………ないです」


背中を見せていたその少女は、俺の方に顔を向ける。美少女という言葉が似合いそうなほど、顔が整っていた。17の時の妹に少し似ている気もする。


風に吹かれると銀色に光、銀髪の髪。そして炎の様に燃える赤い色の瞳。

流石に髪の色や瞳の色は違えど、雰囲気など似ている。


「死神の格好って初めて見ました。骸骨なんですね」

「あ、もしかして退治する?」

「いえいえ! そんな事は!」


ひとまず一安心。とりあえずこの子の名前を決めよう。


「よし、じゃあシックル!」

『おい、待て。同じ名前だったらややこしいじゃねぇか』

(うん、だから)


俺はその少女に近づき、持っていた鎌を渡す。

戸惑いながら受け取っていたが、「良いんですか?」と聞いてきた。


「うん、おけおけ!」

『おい待てやゴラァ! どういう事だよ!』

(いや、さ。やっぱ可愛い女の子の方がいいかなぁっと)

『お前が持たないと死神の力を発揮できねぇだろうが!!』


という理由で自分から俺の手に戻ってくる。俺からしたらこの子と一緒に旅? とかをしたかったのだが、シックルが意外といけずだった。


『ちゃんと名前を考えろ!!』

(あー、もちろん)


あれこれ考えて遂に思いついたのが、“シュネ”

雪は英語でスノー。で、一度スマホで調べた時、雪はドイツ語でシュネーと書いてあったのをふと思い出す。その為、シュネーの伸ばし棒を抜かしてシュネ。とした。

理由としては長い髪に銀色。銀色を銀世界と変えてそこから雪にたどり着く。

だから“シュネ”とした。


「じゃあ、シュネ」

「“シュネ”ですか? ありがとうございます! 死神さん!」


笑顔で言うその少女———シュネの満面な笑みに打たれてしまい、シックルが本当は男じゃなく、シュネのように美少女だったらよかったのに。と、心中思う。だが、異世界に来て初の仲間。なんやかんやで自殺は止められたのはよし。

この先はシュネと一緒にのんびり異世界ライフだ!



読んでくださりありがとうございます!


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