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神降ろしの存在召銘(アイデンティティ)  作者: 霜山 蛍
第1章.覚醒(アウェイクン)
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Act.3.反撃開始(リスタート)

 トカゲモドキは崩れた壁の向こう、隣の教室から、衝撃波を放った。

 けれど、今ならそれも怯える必要が無い。

 俺は右手に持った刀を振るうと、灼熱がそれを相殺し、爆発が起こった。

 手応えは十分だ。


「行くぞトカゲモドキ!」


色喰らい(モノクローム)!」


 俺は全速力でトカゲモドキに近づく。それに泉ヶ丘も続く。体が軽いのを実感した。これならやれる!

 トカゲモドキは咆哮すると、尾から弾丸を放つ――が、それを泉ヶ丘が雷撃で叩き落とす。

 程なくしてゼロ距離に達した俺たちは、ヤツの胴体を斬りつける――が、想像以上に硬い。それでも力任せに刃を押し込み、どうにか炎を流し込む。


「ガアアアアアアアア!」


 効いてる!


「『雷斬(ライキリ)』!」


 彼女がそう叫ぶと、放出していた複数の雷撃が刃の形を模し、そしてそのまま切りつけた。

 

 トカゲモドキは苦しそうに呻きながら、再び折りたたまれた後ろ足で前に距離を取ろうとする。

 それを俺は咄嗟に腹部を斬りつける。手応えがあった。


「わかった。あいつは腹が弱点だ!」


 外皮は鬼のように硬いが、腹部は柔らかい。見れば、トカゲモドキは俺たちの後ろで盛大に転け、先程よりも苦しそうにしていた。


「腹部ね、了解」


 しかしトカゲモドキは再び尾を俺たちに向け、そして――弾丸の雨を浴びかけてきた。


「って、ガトリングかよ!聞いてねぇぞ!」


「くっ……!」


 泉ヶ丘が咄嗟の起点で、天井を攻撃し、上階の床を崩壊させた。そのおかげで遮蔽が生まれ、俺たちはそれに隠れる。


「このままじゃ近づけねぇぞ!さっきの雷斬でどうにか出来ねぇよかよ!」


「無理。射程距離は3mだもの」


「ほとんど近接攻撃じゃねぇか!5f(フィート)1sq(スクエア)換算で2sq攻撃じゃねぇかよ!」


「何言ってるかわかんないんだけど!」


 そう言っている間にも、トカゲモドキの放つ尾からのマシンガンは止まらない。遮蔽が少しづつ削られていく恐怖を感じた。


「あああああクソ!」


 俺は身をかがめて走りながら、教室の壁を炎撃で破壊した。目指す場所は、廊下だ。


「ちょっと江畑くん!」


「俺が気を引く!あとは任せた!」


 要はヘイトをとって、タンクをやりゃいいんだ。屋内戦ということもあって遮蔽はいくらでもあるし、地形破壊が可能なのも相まっていくらでも作れる。

 問題は俺に気づいてくれるかだが――問題なく、トカゲモドキの銃口は俺の方を追いかけてきた。

 廊下の薄い壁ではガトリングを数発受ければ廊下に貫通してくる。ガラスなんて初段で貫通だから、身をかがめて素早く走り抜けるしかない。


 と、ほぼトカゲモドキの真横まで来た時、あいつは撃ちながら体重を後ろに傾けた。

 これは――飛びかかり!


 刹那トカゲモドキが飛びかかるのに合わせて、俺は体を宙に預けて――天井を蹴って見せた。

 

 立体機動での回避!


 トカゲモドキは向かいの教室へと侵入すると、再度体制を崩した。


「お前の攻撃はもう見切った!」


 そして先までトカゲモドキがいた場所から全力で距離を詰め――見れば、右で泉ヶ丘も全くおなじ行動をしているのが見えた。


 ならば後は、合わせるだけだ。


 トカゲモドキは首を左右に振り、雄叫びをあげると、俺たちがヤツに近づく直前に、前足の刃で勢いよく地面を叩きつけた。


「なっ……!」


 トカゲモドキは、俺たちの目の前で下階へと降りていったのだ。


「……見た目以上に賢いわね」


 ヤツは上階の俺たちを睨みつけると、再度尾の銃口をこちらに向けてきた。


「追うわよ」


「もち!」

 

 そして、トカゲモドキがガトリングを放つ――よりも早く、俺たちもまた地面を叩き切り、飛び降りた。飛び降りる最中、背中を弾丸の雨が通り過ぎていく。だが、当たらない。


 そうしてその勢いのまま、トカゲモドキの背に――落下攻撃を浴びるのだった。


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