第6話 冒険者登録
リュート公爵家から馬車で2時間、新市街地にある「冒険者ギルド」に到着した。
アスレイア王国では最近になって冒険者が職業として認められギルドが新設された。
これにより軍や警備職、戦う術をもつ者は冒険者になるものも増えていた。
冒険者が職業に認められた理由は魔物が増えてきた為である。
魔物が増えたといっても南部のキュウレク周辺はまだ少ないほうであった為、
オレは警備隊員を続けていた。リストラされたが…
魔物はふつうの獣とは違い凶暴で普通の人間では退治はかなり困難である。
オレは異世界人の血を引いていることもあり常人より身体能力、魔法力ともに優れており戦いには自信もあった。
そして魔物は体内に魔石をもっており魔石は魔道具に使用されるため高値で売買される。
遺跡攻略終わったら冒険者くらいしかできないな…
「二人は冒険者登録してある?」
レレーナとアルーゼに確認する。
「いえ、しておりません」
「そうか。ならまず登録するか」
『冒険者登録』冒険者として登録しアスレイア王国内の各ギルドでの個人の照明ができる。
冒険者ギルドは数は少ないが次々と新設されている。
登録しなくても狩や採集等はできるがギルドカードは身分の証明にもなるため便利であるがオレもまだ登録していなかった。
ギルドの登録カウンターに向かう。
「すいません。冒険者登録3名お願いします」
「かしこまりました」
昼間だった為かギルド内もすいていて、すぐにカウンターも空いた。
「ルナス・フォン・スレイン・テンカワ様、レレーナ・フォン・リュート様、アルーゼ・シュレント様ですね。基本事項の説明をさせて頂きます」
基本事項を聞く…
・他の冒険者の邪魔をしない。
・依頼は受けなくても登録は取り消されない。
・犯罪を犯すと登録抹消になる場合がある。
・利益の分配は基本人数で分割される(例外あり)
・王国特別依頼が発生する場合がある。
などなど…
「それでは登録完了です。こちらギルドカードになります。カードを紛失された場合は再発行致しますので冒険者ギルドにて再度お申し付け下さい。それでは良い冒険者ライフを…」
「ありがとうございます…」
カードを受け取り2人にも渡す。
「次は…パーティメンバー探しか…」
「3人では無理なのですか?」
レレーナが聞いてくる。
「遺跡攻略だからな。魔物もでるだろうし、あと1名か2名ほしいかな」
「そうなのですね。ルナス様にお任せします」
「わたしもー」
アルーゼはお気楽すぎないか…
メンバー募集の掲示板を見に行こうとすると声をかけられた。
「ルナス!ルナスじゃないか!?」
声のする方をみると昔の知り合いがいた。
「やっぱりルナスか!久しぶりだな!」
「ルナス。元気だった?」
男性と女性が1名ずつ、王都の学校時代の友人であった。幼馴染ともいう。
「ああ、久しぶり」
「ルナス様お知り合いですか?」
「アレス・ブレサウザーとルル・ハウンド、王都軍学校で一緒だったんだ」
アレス・ブレサウザー 王都軍学校での剣術主席、オレより背が少し高い、魔法はあまり得意ではないがそれを補って余りあるほどの剣使いである。
ルル・ハウンド 銃の扱いが上手く、魔法と短剣もそこそこ使える。学校時代から二人は付き合っていた。
「そうなのですね。お初にお目にかかります、私はレレーナ・フォン・リュート、ルナス様の婚約者です。よろしくお願い致します」
「私はアルーゼ・シュレント。私も婚約者です!」
「こ、こ、こんやくしゃああああああああ!?」
うるさいアレス…
「あのルナスが結婚…しかも二人も…」
ルルも多少は驚いているようだ。
「ど、どういうことだ?しかもリュートって公爵家じゃ!?」
アレス声がでかい…
「いや、それがな…」
アレスとルルに事情を説明する。
「なるほどなぁ…あのルナスが…」
「でもルナスは昔からもててたから不思議でもないわよ」
「へぇー、ルル様その話詳しく…」
レレーナがルルの発言に絡んでいる。
話を変えなければ…
「まぁまぁここで立ち話もなんだし、昼でもみんなでどうだ?」
「いいね。いこうこう」
アレスが乗ってきた。
新市街地はいろんな店が新しく出来上がってきている。
ギルドの近くの定食屋に入ることにした。
5人でテーブルにつく。
「それで、なんで王都に帰ってきたんだ?帰省か?」
さすがアレス!話をすり替えてくれた!わが友よ!
「それなんだが、二人とも冒険者になったんだよな?」
「そうよ。軍にいたけど、魔物狩って魔石集めた方が実入りがいいからね」
二人の装備を見るに結構いいものを持っている。
結構稼いでいるみたいだ。
「実は、兄貴からビャレット辺境伯領の遺跡の攻略を頼まれてな」
「へぇー。あの最近見つかったところか。いいなあ。攻略成功すればかなり儲かるぜ、遺跡は」
「それで、メンバー探しに来たのね」
「そうそう」
二人の言葉に答える。
「それでな、二人とも手伝ってくれないか?」
新たに実力のわからないメンバーを探すよりかは知り合いの二人に入ってもらった方がいいと思いアレスとルルを誘うことにする。
レレーナとアルーゼにも確認しようと思ったが、任せるって言ってたし大丈夫だろう。
「え?いいのか?あそこ利権を求める貴族がこぞって裏で動いてるって聞いたぜ」
アレスがびっくりした口調で聞いてくる。
「いいんだよ。攻略権利は全部もらってあるから」
「ふぅーん。さすがテンカワ家ね。いい話持ってくるじゃない」
ルルはかなりうれしそうである。
「手伝ってくれるか?」
「いいぜ。こっちからお願いしたいくらいだ」
「あ、でも報酬なんだが…いったんうちの家がもらってからお前らに分配になりそうなんだがいいか?」
「気にしないわよ。働きに見合った報酬さえもらえれば」
「オレも気にしないぜ。ルナスがちょろまかすとも思ってないし」
二人ともいいやつだなぁ
「ありがとう。助かるわー」
メンバーがすぐ見つかりほっとした。
「じゃあ、ビャレット辺境伯領までは転移魔道具があるからそのつもりで頼む」
「至れり尽くせりだなー」
アレスが嬉しそうに答えた。
「明日から3日間は準備期間にして4日後の朝にでるから、準備しといてくれ」
「りょーかい」
「わかったわ」
二人から返事をもらい。食事も終わった。
よし、帰ろう…
「それで、さっきのルナス様がもてるという話ですが…」
黙っていたレレーナが話を戻してきた…
やっぱり忘れられていなかった…
話を聞いたレレーナとアルーゼからちくちく小言を言われ定食屋を後にした…
まぁ、どうせバレるから仕方ないか…
「ルナスぅ、もう女遊びできないな」
アレスが小声でからかってきた。
「お前、人のこと言えないだろ!」
言い返すオレ
「オレは隠れて遊ぶから…」
とアレスが言った瞬間、ルルからものすごい殺気を感じた。
あ、やべぇわ。帰ろう…
その日は解散、明日からは準備期間である。