第5話 リュート公爵家にて
リュート公爵家につくと公爵様からレレーナとの婚約を切り出された。
いったいどうなっているんだ…
「レレーナとアルーゼから聞いたんだが。違うのか?」
オレはアルーゼの方を見る。
アルーゼは目をそらした…あいつ…
「いや、違うとかの話ではなくてですね…レレーナ様はビャレット卿に嫁ぐのでは?」
「その話は、うちの妻が勝手に進めた話でな。もう断っておる。それにな自分の娘を親と同じ年代のところに嫁に出したくはないのだ。」
アルーゼから聞いた話と違うなぁ…
「なるほど…そうなんですね…」
「ふむ、君の様子から察するに、君から言い出した話ではないみたいだな」
あっわかってくれた!いい人じゃん!
「お父様!それでも私は!…」
リュート公爵が手を上げてレレーナの声をさえぎる。
「ルナス殿、レレーナのことは嫌いかね?」
あかーんこれやばーい…
「…いえ、そんなことはありません!」
「それでは、レレーナを娶ってくれ。頼む。」
ぎゃあああああ!
ついに言われてしまった…
これは断れない…公爵家の当主から言われて断ると失礼になる…
しかし、ちょっと悪あがきを…
「ありがたい話ですが、私は伯爵家とはいえ三男で家も出てるので貴族でもないですが、公爵家の御令嬢が平民に嫁ぐというのは…」
「いいんだ!娘が気に入っている男に嫁がせたいのだ。私は気にしないし、娘も是非といっている。それにビャレット卿との婚約の話を進めた妻はレレーナの実母ではない。このまま未婚のままおいていると、また政略結婚の道具にしかねない」
妻の暴走は夫の公爵様がおさえてくれよぉ…
やっぱり断れないのか…ツライ…
独身を満喫していたかったのに…
「えっと…わかりました…ありがとうございます」
「そうか!ありがとう!あとなアルーゼもよろしく頼む!」
えっ!?わけがわからない…なんで…?
「アルーゼはレレーナ付きのメイドでな。ここにいる家宰のヘルガの娘だ。レレーナが嫁にいくなら付いていく必要がある」
「テンカワ様、よろしくお願いいたします」
ヘルガさんが頭を下げつつ頼んでくる。
これも断れない…やられた…やっぱ助けたあと別行動するべきだった…
「わかりました…お受けさせて頂きます」
リュート公爵の後ろでレレーナとアルーゼがガッツポーズをとっていた…
「良かった。ありがとう。」
あー、でもオレ遺跡の攻略任務あるんだよなぁ。
まぁ終わるまで待っといてもらえばいいか…
「リュート公爵、ひとつよろしいでしょうか?」
「うむ、息子になるのだ。遠慮はいらんぞ」
ニコニコ顔で答えてくる。
「実はですね。私は軍部局からビャレット公爵領の新しい遺跡の攻略に任じられまして、この後同行者を探し攻略に当たらないといけません、婚約は大丈夫なのですが結婚式などはお待ちいただいてもよろしいですか?」
「うむ、その話もテンカワ伯爵より聞いておる。レレーナとアルーゼも連れていくがいい」
あれ…?またも衝撃がオレに突き刺さる…
しかも聞いてるんかーい…これもうオレの家もグルじゃねえか!
アシュイン兄さんもこうなるってわかっててわざとあんな話しやがったな…
「えええ!?遺跡の攻略ですよ!もちろん危険かもしれませんし…」
「ルナス殿と一緒なら大丈夫であろう。レレーナは治癒魔法が得意であるし、実はアルーゼは槍の扱いなら一流だ。その辺の冒険者を雇うよりいいだろう」
聞いてなーい!聞いてないよぉぉぉぉ…
「わ、わかりました…助かります」
「そうであろう!ふはははは!」
こうして婚約者2名とパーティメンバー2名が
意外なところで確定してしまったのである。
リュート公爵家からレレーナとアルーゼを伴い外にでる。
「ルナス様、ありがとうございます。末永くお願い致します」
ルルーナが笑顔で挨拶してくる。
「ルナス様!私もよろしくお願いします!」
アルーゼも笑顔であった…
「婚約した以上責任もってお迎えさせて頂きます。こちらこそよろしくお願い致します」
『よろしくお願いします』
二人そろってまたもや満面の笑みである…
「しかし、アルーゼ、公爵様のこと金の亡者って言ってなかったか?」
「いや、それは作戦です!」
こいつやっぱ油断できねえわ…嫁になるとはいえ気を付けないと…
「いまからどうされますか?ルナス様」
レレーナが聞いてくる。
「そうですね、二人とも本当に遺跡までくるつもりですか?」
「ルナス様、夫婦になるのです。敬語はおやめください」
「いやいや、まだ婚約話の段階なので…そういうわけには、レレーナ様こそ敬語使わなくてもいいですよ」
「いえ!旦那様になるのですからお願い致します!様付けも禁止で!」
やべえ、尻に敷かれる予感しかしない…
「わ、わかりました…」
「んー?なんですか?」
「わ、わかったレレーナ…」
「はい!お願いしますね!」
となりでアルーゼがニヤァっと嫌な笑顔をしている。
「それで、遺跡攻略の話なんだが…」
と話を戻すと
「大丈夫です。私の槍は父直伝でその辺の兵士より役に立ちますし、レレーナ様は治癒魔法上級まで扱えます。足手まといにはなりません」
とアルーゼが答えた。
「なんで、盗賊に苦戦してたんだ…」
「あのときは槍がなかったので!」
持っとけよ…とは言わなかった…はぁ…
「じゃあ、とりあえず冒険者ギルドにいって登録とメンバー探しするかな」
「わかりました。じゃあ馬車を出してもらいましょう。冒険者ギルドは新市街地で少し遠いので……セリルさーん!」
アルーゼが門を警護しているセリルさんに声をかけにいった。
馬車に乗せてもらい新市街地の冒険者ギルドに向かうことになった。
結婚か…まぁ二人とも美人だし…
稼がないといけないなぁ…