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転生者の子孫  作者: 空一郎
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第4話 スレイン・テンカワ伯爵家

無事王都に到着した。

まずは実家にいくのでと令嬢御一行とは別行動をとることにした。

かなりごねられたが…


リュート公爵家もうちの実家も上級貴族街にあるのでそう遠くはない。

途中で馬車からおろしてもらい実家へと向かう。


実家のスレイン・テンカワ家は伯爵家ではあるが100年程前に

できた新興貴族である。


初代当主は俗に言う「異世界人」で

このアスレイア王国から遠く東、海を渡った先にある「レグナルト皇国」という

皇帝が治める国の禁術魔法「大召喚」によって数十人の異世界人とともに

この世界に転生召喚された。


召喚された者達は体を再構築され呼び出される。

その際、大量の魔力を内包し体も作り変えられて召喚されるため身体能力・魔力などが

こっちの世界の住人より強い者が多いらしい。

本で読んだだけだが…


当時レグナルトでは「魔族」と呼ばれる種族が侵略行為を行っておりそれを撃退するために

レグナルト皇帝は禁術の大召喚を行ったとある。


呼ばれた初代様は数年後、海をわたりこちらの国にきたのだが

こちらの国でもある問題が起こっていた。


ビャレット辺境伯領の北部で見つかった魔法遺跡(今回のとは別の遺跡だが)で

過去の魔道具が暴走し魔竜が誕生してしまったのある。


その魔竜を討伐し当時の王から伯爵へと任命されたのが異世界人の初代様というわけだ。

初代様の名は「シュウト・テンカワ」といったらしい。


スレインというはドラゴンスレイヤーとなった初代様のスレイヤーからとられ

シュウト・フォン・スレイン・テンカワになった。

つまりうちの家は異世界転生者の血族である。

そしてテンカワ家は王国の軍部局の幹部にも任命された。

いまはオレの兄であるハルトが当主になっている。

といっても父も生きているが、兄が25の時に家督を譲った。

ちなみに次男も軍部局で働いておりアシュインという。


オレは王都にいるとめんどくさそうなので実家のコネを使い南部の商業都市キュウレクで

警備隊に就職したというわけである。結局戻ってくる羽目になったが…


テンカワ家の人間は結構目立ってしまう。

この国では黒髪はめずらしい。テンカワ家は黒髪が多く見ただけでわかってしまう。

黒髪は大召喚で呼ばれた者の子孫に多いが、帝国には一定数いるもののアスレイアに

渡ってきた人は少なく、そのためオレの家の人間は目立つというわけだ。


「ただいまー」

やっと実家に着いた。

「おお!おかえりなさいませ!ルナス様」

実家の家宰であるクラインが出迎えてくれた。

クラインは父の友人でありオレにも良くしてくれたかなりできた人物である。

「クライン、久しぶりだな。父さんかハルト兄さんはいるか?」

「バート様はお部屋にいらっしゃいます。ハルト様は王宮からまだ戻っておりませぬ」

バートというのは父の名である。


まぁ父も事情は知ってるだろうから父から話を聞くか…

「ありがとう。父さんの部屋にいくことにする」

「かしこまりました」


コンコン…「大旦那様、ルナス様をお連れ致しました」

クラインがノックし声をかける。

「入れ…」

中から父の声が聞こえた。


「失礼致します」

「ただいまー、久しぶりー」

他の貴族家ではありえないが、テンカワ家では家族の間では敬語を使うことはほぼない。

外にでるともちろん使うが。


「うむ…よく戻ってきた。クラインは下がっていいぞ」

「かしこまりました。ルナス様、夕食はなにがよろしいですか?」

「肉で!」

「かしこまりました」

クラインが部屋を出ていった。

「お前、ほんと肉好きだなぁ…」

父があきれた口調で言った。

「ほっとけ!そんなことより今回の事情を説明してくれ」


「実はな、ビャレット辺境伯領で見つかった遺跡の話は知っているか?」

「ああ、こっちに来る途中で聞いたが…」

「その遺跡の利権を手に入れる為に、かなりの貴族が裏で動いていてな」

あー、これ結局レレーナの話に関係してくるな…

「陛下が、利権争いを簡略化するため、遺跡攻略の権限をビャレット辺境伯からうちに譲渡させたんだ」

「はぁ…その攻略をオレにしろと?兄貴の軍使えばいいじゃないか…」

やっぱめんどくせえ話だなあ

「そうは言うが、兄達も王都の仕事で忙しい。陛下はテンカワ家はまだ100年ほどしか実績がないのでうちの実績を上げて力をつけてほしいと考えているみたいでな」

陛下はうちの貴族位を上げるつもりか…?


「っていってもオレ一人じゃ無理かと思うんだが…」

「冒険者を雇って使え。利権のほしい貴族の子弟でもいい。結局実績はお前のものになるからな」

「は…?実績はメンバーで分割では?」

「いや、今回はそうはならん。陛下のお達しだからな」


つまりパーティメンバーを探して遺跡を攻略しろということか。

「王都にはもう「冒険者ギルド」ができている。ビャレット辺境伯領でさがしてもいいが」

「…はぁ…断るのは?」

一応聞いてみる。

「む・り♡」

かわいくねええええええ!!


「あ、遺跡向かう前にリュート公爵家の話かたずけておけよ」

この親父…なんで知ってんだ…やっぱ油断できねえ…


その日は実家で夕食を食い明日に公爵家に行くことにする。


夕食時

兄二人も帰ってきて4人で食事をとる。

「ルナス、今回はすまないがよろしく頼む」

ハルト兄さんがめずらしく謝ってきた。

「わかった。仕方ない…必要経費は出してくれるんだろ?」

「陛下の命令だからな、そこは安心してくれていい」


「ところで…お前、奥さんは…」

アシュイン兄さんが嫌な話題を振ってきた。

「いるわけないだろ!いいかげんにしろ!」

「あ、やっぱり…早くしろよ」

「うるさいな!肉を堪能させてくれ…」

兄は二人とも結婚しており子供もいる。

「ところで、母さんは?」

母が家にいないので聞いてみる。


『温泉旅行』

3人が口をそろえて言った…

どうやら息子の顔をみるより温泉のほうが大事らしい…


コンコン…「ルナス。ちょっといいか?」

夕食後、部屋でゆっくりしているとハルト兄さんがはいってきた。

「ああ。どうぞ」

「渡すの忘れてたけど、これを…」

兄が持ってきたのは「転移魔道具」である。これも初代様の遺産で登録された場所に一瞬で移動できる魔道具である。移動できる人数は使用者の魔力に比例する。

しかし1回使うと1年は再使用できない。

魔力を外部から供給できない仕組みになっているためである。

「おー。使っていいのか?助かる」

「そこまで時間的余裕があるわけではないからな」

「じゃあ数日中に人数集めて出発するから」

「うむ。頼むな…」


これで一応無職ではなくなったが、どうなることやら…

遺跡攻略なら4人か5人はほしいな。

都合よく見つかればいいが…

その前にリュート公爵家の件か…

まぁもう利権に絡めないし結婚はなくなるだろう。


次の日

朝からアシュイン兄さんが声をかけてきた。

「ルナス、お前の口座に初期費用を入れておいた。あとはこの『魔導通信機』でなにかあったら連絡しろ」

『魔導通信機』魔道具でパソコンの簡略機の一種で離れていても通信ができる非常に便利な道具である。これもかなり高価なもので一部の上級貴族と大商人しか持っていない。

「わかった。まぁまだ数日は王都にいるし、遺跡向かう前には報告するよ」


とりあえずリュート公爵家へ行くことにする。



公爵家は王都中心地にちかい上級貴族街にある。

さすが公爵家、かなりの豪邸である。

公爵家につくと門の警護をしているセリルさんを見つけた。

「セリルさん」

「これはルナス様、お待ちしておりました。お嬢様とお館様がお待ちです」

「ありがとう…」

いや、なんで待ってんの…公爵が下位の貴族の息子待つとかあるんか…


応接室にとおされしばし待つことにする。

「よくぞ、参られた。テンカワ殿」

40を少し過ぎたまさに貴族といった男性と家宰らしき男性。

そしてレレーナとアルーゼが入ってきた。

「初めまして、ルナス・フォン・スレイン・テンカワとお申します」


「うむ、座ってくれ」

アルーゼの話だと金の亡者らしいが、そんな感じはあまりしない。

むしろ優しそうな人で政略結婚などは考えなさそうである。


「テンカワ殿、うちのレレーナを貰ってくれるとのことだが」


…はぁぁぁぁぁぁ!?なんでそんな話になってんだ!?

勘弁してくれえええええ!!


着いた瞬間衝撃的な話が切り出されオレは気が遠くなるのであった…

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