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転生者の子孫  作者: 空一郎
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第3話 キュウレクから王都へ

キュウレクを立ち1週間がたっていた。

王都まではキュウレクから徒歩で20日間ほどかかる。

馬車で途中まで乗せてもらったのでかなり短縮できるはずだった。

あと三日も歩けば王都だったのにここで厄介なものを目撃してしまった。


盗賊である…

襲われているのは女性2人と護衛の騎士らしき男が1人。

騎士が他にも2名倒れている。死んでいるかどうかはわからない。

馬車は無事なようだが馬も倒れている。

盗賊は12人。


12人か…ちょっと多いな。

見て見ぬふりもできないが…

幸いオレは気づかれていないので、もう少し近寄って魔法銃で人数を減らすことにする。


少しずつ近づき、まずは雷の魔法を準備する。

スタンの魔法である。範囲内に低威力の電撃を流し敵の動きを封じる魔法で奇襲にはもってこいである。

7人くらいは巻き込めそうので位置取りに気を付け近づいていく。


盗賊たちはまだ気づいていない…

「いまだ…スタン!!」


バチッ!バチッ!バチッ!

『ぎゃあああああ!』盗賊たちにスタンがかかる。

スタンのかかった盗賊たちの頭を魔法銃で撃ちぬいていく。

「くそっ!どこだ…!?」

盗賊の頭らしき男がオレを探しているが魔法で身体強化をかけつつ木の上を移動しながら撃っているので見つけられずにいた。


「仕方ない!女どもを捕まえろ!!」

女性二人を捕まえて人質にするつもりらしい。

だが、そうはいかない。


盗賊たちが動く前にオレは女性たちと盗賊たちの間に移動した。

「てめえ、何者だ!」

盗賊のカシラが剣を構えつつすごんでくるが、盗賊などとしゃべる気は毛頭ない。

残った盗賊はカシラを入れて5人、かなりうまくいった。

「騎士さん、残りもこっちでやるので女性だけ守っててください」

騎士に女性を守るように促すと。

「一人でオレら5人とやるつもりかよ!」

と盗賊の一人が言ってきた。

こいつはオレが短時間で7人やったのわかってないのか…

もちろん返答をするつもりもない。


盗賊どもはジリジリと距離を詰めてくる。

銃を左手に持ち替え右手で刀を抜く…

「ちっ!てめえらやっちまえ!!」

頭の声が周囲に響くと同時に頭の眉間に銃を打ち込んだ。

そのまま倒れる盗賊のカシラ。

普通に買える魔法銃はそれほど殺傷力は高くないがオレは魔法で威力を高めている。

当たり所が悪ければ死ぬ。

「ちょ!えっ?頭」

残った盗賊が戸惑っているうちに風の斬撃で切り捨てる。


「なんとかなったな…」

残りの盗賊も片付け3人に話を聞こうと振り返る。

「ありがとうございました。おかげで助かりました!

私は王都のリュート公爵家の護衛騎士セリル・アルベルトであります。」

お礼をいってきたのは騎士の男性で20歳後半くらいの礼儀正しい感じがうかがえた。

「ありがとうございます。私はアルーゼ・シュレントと申します」

次に声をかけてきたのは少し短めの茶色の髪の女性であった。

なかなかの美人である。

「こちらはリュート公爵家の御令嬢レレーナ・フォン・リュート様です」

アルーゼが続けてもう一人の女性の名を紹介する。

「レレーナ・フォン・リュートです。危ないところをありがとうございました。」

アルーゼも美人だがこちらもかなりの美人である。

髪は青くロングヘアで綺麗な色をしていた。

しかし胸はお察しだった…


いやいや、これは失礼か…いや声にだしてないし!大丈夫!

「失礼致しました。公爵令嬢とは知らず、私はルナス・フォン・スレイン・テンカワと申します」

「まぁテンカワ家の方でしたか!」

レレーナが少しびっくりした様子で答える。

オレの実家はこの国ではかなり有名な方である。

「はい。まぁもう家からは出ているので…、倒れている方は大丈夫ですか?」

倒れている騎士2名の状態をセリルが見ていたので声をかける。

「睡眠薬の塗られたナイフで軽く切られただけみたいですね…命に別状はなさそうです。

馬も同じですね。助かりました。」

馬がやられると馬車がな…まぁオレなら魔導鞄に入れたらいいけど…

「なるほど…さっきの盗賊は誘拐目的かな…」

「おそらくそうかと、レレーナ様をさらうつもりだったのでしょう」

そっかぁ公爵令嬢誘拐目的かあ…ダメだ…めんどくさそう…



「テンカワ様はどちらへ行かれる御予定ですか?」

アルーゼが聞いてくる。

ここで同じ方向だと護衛頼まれるんだろうなぁ…

「王都ですが…」

「でしたら!ぜひともご一緒に!!お願い致します!」

アルーゼが食い気味に頼み込んでくる。

「いや、まぁいいですけど…」

やっぱりこうなるよね…

まぁあと2、3日で着くしいいか。



騎士二人の傷の手当をし、まずは近くの町サルートに向かうことになった。

騎士が外でオレは女性二人と馬車に乗せてもらっていた。

何とか日が落ちるまでには着くだろう。

公爵令嬢に野宿させるわけにもいかないし。


「テンカワ様はどうして王都に向かっているのです?」

レレーナが興味深そうに聞いてくる。

「ルナスでいいですよ。レレーナ様。ちょっと実家に用がありまして…」

「なら私のこともレレーナとお呼びください」

「いやいや、公爵令嬢を呼び捨てにはできませんよ」

「大丈夫です」

にこりと笑うレレーナ。

いや何が大丈夫なのだろうか…

「レレーナ様、テンカワ様がお困りになるのでお控えください」

アルーゼが間に入ってくれた。

「えー!」

えー!じぇねえ。公爵令嬢を呼び捨てなんかしてたらこれもまためんどくさくなる…

「しかし、なんだってこんな少人数で旅を…」

「キュウレクの北にある修道院から王都に向かう途中でして」

アルーゼが少し困った様子で答える。

「レレーナ様の婚約が決まったからすぐに王都にこいとリュート公爵が…」

「なるほど…御結婚されるのですね。おめでとうございます」

「ありがとうございます…」

二人ともあんまりうれしくなさそうである。

嫌なのか、でも貴族ってそんなもんだしなあ…


この話は続けない方がよさそうだな…

「もうすぐ、サルートですね」

話を変えようと思いサルートの話題を振ろうとしたが、レレーナに話を戻されてしまう。

「それでですね、私は次女なのですが西のビャレット辺境伯のもとに行くことになるそうなのです…」

この話続けるんだ…あれ?ビャレット辺境伯ってもう40超えてなかったっけ…

「公爵家からだと降家になりますね…」

まぁよくある話か…公爵家も人数増えてきたらそうなっても仕方ないしな…

「そうなのです!しかもビャレット辺境伯はもう43歳なのです!跡取りもいるのでレレーナ様が嫁ぐ必要はないはずなのです!」

アルーゼがまくし立ててくる。

跡継ぎいるってことは側室か正室が亡くなったから後釜かどっちかか…

ん~でも他に側室もいるだろうしわざわざ公爵家の令嬢が行く必要ないよなぁ…

「大変ですね…心中お察しします…」

と当たり障りのない返答をすることにする。

「ルナス様…」

レレーナが見つめてくる…

えっとそんな上目遣いされてもどうにもできないんだが…


そんなこんなで受け答えの困る話をしているとサルートが見えてきた。

「おっ!サルートですよ!あそこのうどんは絶品なんですよ!」

無理矢理話をかえようとすると今度はアルーゼに睨まれてしまった…


宿の予約をしにまずは宿へ。

レレーナとアルーゼが同室、騎士3人は交代で見張りをしつつなので馬車で仮眠をとるらしい。オレは違う部屋を予約した。

そしてオレはうどんを食べに行く。

「いらっしゃいませー!」

うどん屋の店員が声をかけてくる。

おすすめのうどんモリモリセットを食べることにする。

具がかなりはいっているがご飯つきで800レンとかなり安い。

一応護衛もあるので酒はやめておくことにした。

食べ終わりかけにとなりにアルーゼが座ってきた。

「ん。アルーゼさん、レレーナ様のところにいなくていいのか?」

「大丈夫です。いまは護衛騎士3人とも警護についていますので…

ところでルナス様ちょっとお願いがあるのですが」

これもまた嫌な予感しかしない…

「な、なにかな…?」

「レレーナ様を攫ってほしいのです」

「ぶっ!!」

飲んでいた水を吹いてしまった…

「実は今回の婚約はビャレット辺境伯領に新しく見つかった遺跡の利権にリュート公爵が絡みたいだけなのです。リュート公爵は中央の貴族ですが領地をもっておりません。利権を増やさないと収入が増やせないのです」

「いやいや、って言っても公爵なんだからそんなに焦らなくても大丈夫では?」

「リュート公爵は金の亡者なのです…レレーナ様は本当は嫌なのです。あんな小太り辺境伯のところにいくくらいなら結婚できなくてもいいとまで思ってます」

あらら、やっぱめんどくさい話だったな。

しかし金の為に自分の娘をおっさんのとこに嫁にいかすか…それも貴族ならないこともないが…

「話はわかったけど、公爵令嬢を攫うっていうのは…」

「ルナス様は家を出てるとはいえ伯爵の御子息ではないですか。魔法もあれだけ使えて剣術も…、余裕で逃げ切れるでしょう!ついでに私も!」

こいつ自分まで押し込んできやがった…

「いやいや、逃げ切れても養えないし…職がないから」

「えっ?職がない?誰が?」

「オレだよ。ルナス・フォン・スレイン・テンカワは無職です」

「えええー!?あんなに強いのに!?」

「強さと職業は関係ありません…」

「冒険者でいいではないですか?最近は冒険者も立派な職業になってきていますよ」

「いやまぁ、とりあえず王都いってからかなぁ」

オレも実家に用事あるから王都にはいかないといけないしなんとか言いくるめるしかないな…

「とりあえずリュート公爵としっかり話してから自分の考えをレレーナ様に決めてもらった方がいいと思うな…」

「そうですか…ルナス様はか弱き乙女2人を地獄に送ると…」

「なんでそうなる…」

「着いた瞬間に結婚式始まるわけでもないんだろ?今この状況でオレが2人連れて消えたらオレの実家もやばいことになるから!」

「むぅ…わかりました。とりあえず王都にはいきます。いきますが公爵家にはルナス様も来てくださいね」

なんでなんだよ!オレめんどくさいの嫌なのに…

「…わかった。ついていくから…」

「ありがとうございます!レレーナ様にも伝えておきますね!」

そしてアルーゼは宿へと戻っていった…


次の日

『おはようございます!ルナス様』

レレーナとアルーゼが満面の笑みで挨拶してきた。

「おはようございます」

なんで二人ともこんな機嫌いいんだ…

嫌な予感がまたしてきた…


「3人とも馬車にお乗りください」

護衛騎士のセリルさんが声をかけてきた。

「ありがとうございます。」

王都に行きたくなくなってきたが、このまま消えるわけにもいかず

馬車にのることにする。


絶対あの二人なんか企んでるな…

なんやかんや言って王都ついたら逃げるか…

いや、しかし相手は公爵家…


馬車は順調に王都に近づいていた。

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