第17話 結婚と新しい王国依頼
屋敷の説明を竜神達から受け、結婚式の準備を始めた。
予定日は1週間後に設定した。
どっちにしろ知り合い全員は呼べないので早くやって終わらせようと思ったからだ。
イーネに招待状を作ってもらい王都内の知り合いに送った。
レレーナの家、軍部局と財務局の知り合い、念のため冒険者ギルド、イーネの家等
この国の結婚式は教会で式を挙げ、その後屋敷で会食という流れである。
アレスとリリには会食の具材の買い込みと仕入れ、魔法人形達にも獣の肉や森で取れる食材の採集を頼んだ。
オレは実家に直接招待状を持ってきていた。
「父さん、結婚式の招待状だ…」
「お、ついに式か…3人に増えたんだってな!ハハハ」
「ハハハじゃねえよ。そういうことだから…母さんたちにも言っておいてくれ…」
「ああ、わかった。あと、子供は早めに作れよ」
「…言ってろ…」
1週間後
王都正教会にて結婚式が始まる。
教会には聖餐台があって、中央の通路がバージンロードになっていて、招待客が座る長椅子なども設置されている。
一人で歩いて聖餐台の前の神父の前に立つと、今度は新婦が父親などのエスコートを受けて入場してくる。
最初は正妻であるレレーナがリュート公爵に手を引かれて入ってくる。
聖餐台の前でリュート公爵からレレーナの手を引き継いで神父の前に立たせる。
ついでイーネとアルーゼも同じように父親に手を引かれて入ってくる。
3人ともが司祭の前に立ったところで司祭が式の始まりを告げる。
「さて、これよりルナス・フォン・スレイン・テンカワの結婚の儀を行う」
「汝、ルナス・フォン・スレイン・テンカワは、レレーナ・フォン・リュート、イーネ・シュレットハウト、アルーゼ・シュレントを妻とし、これを終生愛することを誓いますか?」
「はい。誓います」
「次に、レレーナ・フォン・リュートは、ルナス・フォン・スレイン・テンカワを夫とし、
れを終生愛することを誓いますか?」
「はい、誓います」
続けて、イーネとアルーゼも同じように続いていく。
「続いて、誓いの口づけを…」
3人に順番に口づけをしていく。
3人とも少し緊張しているようだった。
「次に、指輪の交換を」
これも3人に順番に指輪をはめていき、最後にレレーナがオレの指に指輪をはめる。
そのまま3人を連れて教会の外にでてブーケを花嫁達が投げるのであるが、これもレレーナから順番に投げていた。
「これにて、結婚式は終了とする」
結婚式は終わったが、このあとは会食を屋敷で行う予定である。
「では、この後はテンカワ男爵家にて披露宴を行います、参加される方はあちらの馬車にお乗りくださいませ」
教会の女性司祭が案内する。
屋敷に到着し披露宴という名の会食が始まる。
順番に挨拶していくが、多い…めんどくさい…
一段落し、落ち着いていると父さんと母さんがやってきた。
「おめでとう、ルナス。これで息子3人とも結婚か」
「ああ、式って疲れるんだな…」
「ルナス、男爵家当主として頑張りなさいね」
母さん…
「わかってるって…」
「まぁ3人もお嫁さんいるなら大丈夫ね」
そっちの話かよ…
次にハルト兄さんとアシュイン兄さんがやってきた。
「おめでとう、ルナス」
「ありがとう。兄さん」
「やっとお前も結婚したか、しかし良い屋敷だな」
「ああ、ハルト兄さん、土地探してくれて助かったよ」
「うむ、気にするな」
「ところで」
「なに?アシュイン兄さん」
「今日は初夜だな」
ぶっ!
「あ、あんたなぁ…」
「いやあ、3人同時にするのか?さすがだな!」
「んなわけあるかああああああああああああぁ!」
「ははは。じゃあまたな!」
あの兄は…
そのあと、アレスがやってきた。
「なあルナス」
いつになく、神妙な顔をしている。
「どうした?アレス」
「い、いやオレも結婚しようかなって…」
「急にどうした?ルルとだよな?」
「ああ、あいつ今日の式見てて、なんかうらやましそうにしてたからさ…」
「いいんじゃないか。家臣もお前たちだけだから別邸は好きに使えるし」
「うん…ほんとはもっと遊びたいんだが…」
「もう、そういうことはいうなよ…イーネに段取り頼んどくか?」
「ああ、ちょっとルルのところ行ってくる」
「おう、頑張れよ!」
そうか、アレスがついに決断したか…
披露宴も終了し、参加者も帰っていった。
そして、今日はアシュイン兄さんが言っていたように初夜である…
オレは初めてではないが、3人は初めてだろう。
うん、優しくしないとな…などと考えていると竜神がやってきた。
「竜神どうした?」
「本日よりルナス様には跡取り作りを頑張ってもらわなければなりません。それで順番ですが家格の順番通りになっておりますので」
こいつはなんでそんな知識まであるんだ…
「ああ、わかってるって…今日はレレーナだろ?」
「はい。それでですね。こちら精力回復薬になっております。お使いください」
な、なんだと…
「回復薬…なるほど…」
「こちらに置いておきます。3人以外の女性としたくなったときは是非御用命下さい。では失礼致します」
竜神…やっぱりしたいのか…
そして夜になり、レレーナがやってきた。
「ルナス様、よろしくお願い致します…」
やっぱり緊張しているみたいだな。
「ああ、こちらこそよろしく」
レレーナは胸は控え目であるがオレは控え目もイケル派である。
「ルナス様…」
こうして無事オレはレレーナと結ばれたのであった。
「おはよう、レレーナ大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です。私幸せです…」
「そうか、ありがとう。風呂でも入るか」
「はい」
回復薬は使っていない。さすがに初めてのレレーナに何回もするほどではない。
2日目の夜、イーネである。
「ルナスさん、私初めてで…」
「うんうん、優しくするから大丈夫」
「よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそ」
「ん…大好きです…」
そして3日目の夜、アルーゼがやってきた。
「ルナスさまあ、頑張りましょ!」
こいつはいつもと同じようだった。
「あ、ああ。よろしく頼む」
「私は体力あるので何回でもいけますよ!」
「お前、初めてじゃないのか?」
「はじめてに決まってるじゃないですか!」
「そ、そうか…まぁできるだけ頑張るよ…」
そして、アルーゼには回復薬を使わされてしまったのだった…
まぁなんとか3日間無事に終わったが、跡取りを作らないといけないので今後も頑張らないといけないのだった…
そしてオレ達の結婚式から20日後、アレスとルルも結婚式を挙げた。
オレとアレス、ルルは20歳を超えていたので普通より少し遅めの結婚だったがまぁ特に問題はないだろう。
生活も落ち着き、冒険者業を再開することにした。
イーネと玄武は地下の魔道具制作工房で魔道具の制作をしてもらう。
ある程度の魔道具なら市場のバランスも壊さないだろう。
そして残ったメンバーで依頼を受ける。
もちろん王都周辺でこなせる依頼だけ請け負っていた。
魔法人形たちもいるので依頼は2、3個受け手分けしてこなす。
魔物の素材は売り、魔石はイーネ達に渡し魔道具制作に使ってもらう。
魔道具と冒険者の収入で貯蓄もできるし、アレス達への給金も十分に払える。
遺跡攻略の報酬も十分に余っている。
オレは安心していた。
そして半年ほどたったある日
イーネとアルーゼ、そしてアレスの妻のルルが妊娠した。
なぜかレレーナだけ妊娠していなかった…
「なぜ、私だけ…」
レレーナは不満そうだった。
別にレレーナだけ少なかったわけでもない。
まぁこういうのはタイミングもあるだろう。
「まぁ気にするな…大丈夫だって」
「そうですよね。2人ができなくなるわけですし、当分私だけ愛してくださいね」
「いや、まぁ、うん…」
しかし、3人も妊娠したとなると冒険者業の依頼は少し減らすことになりそうだ。
妊娠が発覚して数日後、アシュイン兄さんがやってきた。
「ルナス、久しぶり」
「アシュイン兄さん、久しぶり、どうしたんだ?」
「今日は王国からの依頼を持ってきた」
「またかよ…なんでオレ達なんだ…?」
「まぁ今回は遺跡探索じゃあない」
「ふむ、どんな依頼?」
「これ、王国依頼書だ。確認してくれ」
アシュイン兄さんから依頼書を渡され中身を確認する。
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ルナス・フォン・スレイン・テンカワ 男爵殿
王国依頼としてレグナルト皇国北方にある『エッゾ』への大使として派遣任務を依頼する。
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なんだと……
「まじかよ…」
「どうする?って言ってもほぼ強制だから断れないけどな」
「断れないんかい!」
「だって王国依頼だぜ」
「兄さんは行けないのか?」
「無理だなあ、ハルト兄さんの補佐しないといけないからなぁ」
ハルト兄さんは侯爵になり、軍部局の副局長から局長へと昇進した。
アシュイン兄さんはその補佐をしている。
「実はイーネとアルーゼが妊娠してさ、あんまり離れたくないんだが…」
「ほほぅ、でもなぁお前貴族だから、断れないんだよなぁ」
「…やっぱり?」
「うむ」
「はぁぁぁぁ…で、どうすればいいんだ?」
「詳しい内容は外務局で確認してくれ」
「わかった」
こうしてまたもや王国依頼を受ける羽目になってしまった。
その日の夕方
「っていうわけなんだけど…」
アレスに依頼を説明する。
「なるほど、でも断れないんだろ?どうする?」
「そうだなぁ、アルーゼとイーネとリリは無理だろう。残りのメンバーから選んで依頼を受けるしかないな」
「だよなぁ。でも外交だけだろ?オレと二人でいくか?」
「ダメです。私もいきますから!」
アレスと相談しているとレレーナがきた。
「えっと、そうだなぁ…」
どうしようかな、屋敷の警護は四神達に任せるとして…
「じゃあ、3人でいくか?」
とアレス
「私も御一緒しましょう」
竜神がやってきた。
「え?」
竜神かぁ、まぁ戦闘能力は申し分ないし役に立つだろうけど…
「お役に立ってご覧にいれます」
「ふむ、じゃあ4人でいくか…」
「かしこまりました」
「じゃあ、明日はオレは外務局へ行ってくる。レレーナ、イーネ達に説明しといてくれ」
「わかりました」
次の日、外務局
「失礼、この依頼の件できたんだが」
職員に王国依頼書を渡す。
「こちらの部屋にて少々、お待ちください」
奥の部屋に通され待たされる。
「お待たせした。テンカワ男爵殿」
外務局の重役が入ってくる。
「依頼の件で参りました」
「ああ、依頼の内容だがエッゾにこちらの外交書を持って行って返答を貰ってきてほしい」
依頼内容を軽く確認する…
エッゾで作製されている魔道具、道具、武具の貿易、人材の相互取引等になっている。
「なるほど、貿易したいということですね」
「そうだ、帝国を通ることになる、今は戦争などはしていないが過去には戦争状態に入っていたこともある、気を付けていってきてほしい。帝国には念のためこちらから入国の申請はおこなっておく。」
「私達はエッゾとの交渉だけということですか?」
「そうなる。エッゾは異世界人の子孫達が多いと聞く、魔道具も王国より発達している。人材等も受け入れれば王国も発展するとのことだ。帝国との交渉はレイフォード殿下が代表で行くことになるから、失礼のないように頼む」
「わかりました」
エッゾかぁ異世界人の子孫が多いってことは初代様の知り合いの子孫もいるのかな…
「では、よろしくお願いする」
「わかりました。交渉内容で行き詰ったら通信機で連絡しますね」
「うむ、そうしてほしい」
依頼の内容を確認して外務局を後にする。
はあああああ…まためんどそうな依頼である。
しかも今回は時間がかかる。
子供が生まれる前には帰ってきたいが…
東部のエスタートまで行って船に乗って帝国に行き、その後北上してエッゾか。
エスタートまで1カ月、船旅2カ月エッゾまではちょっとわからんが…
帰りは転移魔道具なら間に合うか…
依頼内容も確認したし屋敷にもどることにした…
めんどうだ…