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転生者の子孫  作者: 空一郎
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第14話 挨拶回り

屋敷の件は竜神に任し、オレ達はキュウレクに向かうことにした。

キュウレクまでは馬車を使うことした。

前にキュウレクから王都へ行った時は途中までしか馬車に乗れなかったが、今回はずっと馬車なので1週間ほどで着くだろう。


道中、魔物や野生の獲物を狩りつつ向かう。今回は盗賊はいなかった…


そしてキュウレクが見えてきた。

「あれがキュウレクですね、王都ほどじゃないですけど結構広そうですね」

アルーゼがキュウレクを見て言った。

「そうだな。商業都市だし。色々あるからな」


入口にいる警備隊員に声をかける。

「ルナスだ、これギルドカード、通してくれ」

「ルナス隊長!戻ってきたんですか?」

「ああ、といってもちょっとしたらまた王都にもどるが」

「そうなんですね。カード確認しました。どうぞ入ってください」


「さて、オレは知人に会いに行くけどどうする?商業都市だし王都にない物もあるかもしれないから買い物でもしてきたらいいんじゃないか」

「う~ん、でもオレ達家臣だし、護衛しないとなぁ」

「いや、街の中だし、護衛とかいらんよ。(というか、たまにはルルになんか買ってやれ)」

「(そ、そうだな…わかった)」

こそこそとアレスとやりとりをしていると…

「アレス、なんか言った?」

「い、いや、なんでもない。ルル買い物いこうぜ」

「まぁそうね。たまにはいいかもね」

ルルの機嫌が良くて助かったか…

「あ、中央通りに『水風亭』ていう食堂と宿の店あるから宿はそこにしよう」

「りょーかい、じゃあな」

アレスとルルは二人で買い物に行った。


「レレーナとアルーゼはどうする?」

「私たちはルナス様に付いていきます」

レレーナがにっこりと答える…

「そ、そうか…なら行こうか」

とりあえず、今日は一緒でもいいか…


まずは元職場へいくことにした。

警備隊兵舎である。


「失礼します…元隊員のテンカワですけど…」

兵舎の中に入っていく。

「テンカワ隊長!お久しぶりです。仕事見つかりました?」

オイ…

こいつは焼肉屋でオレが無職になったのを笑っていた隊員である。

「うるさい、レイナード大隊長はいるか?」

全員に挨拶するのもめんどくさい。直属の上司であった大隊長に挨拶して終わらせる。

「大隊長室にいますよ。ちょっと今からオレは出ないといけないのでそのまま入ってもらっていいですよ」

「わかった。じゃあな」

本来は外部の者がきたら案内するのが普通だが…まぁオレはもと隊員だしな…


大隊長室へレレーナとアルーゼを連れて向かうことにする。


コンコン…大隊長室をノックする。

「入れ…」

中から大隊長の声がきこえた。


「失礼します。お久しぶりです。レイナード大隊長」

「おお。ルナスじゃないか!よく来たな」

「ルナスさん!帰ってきたんですね!」

大隊長とイーネが部屋の中にいた。

イーネはオレがリストラされたときに兵舎にいた事務員である。

「イーネ、久しぶり。帰ってきたのとはちょっと違うけど…」

そういえば、戻ってきたら食事でもとか言ってたような気がするが社交辞令だと思うのでその話はしないでおこう…


「で、ルナスどうしたんだ。王都の用事は終わったようだけど。後ろの二人は?」

「えっと、実はこの二人と結婚することになりまして…挨拶に…」

「えええー!!!!!?」

イーネがかなりびっくりした様子で声を出した。

「ほほう、そうか。お前がなぁ」

大隊長は落ち着いている…

「イ、イーネ?」

「…ルナスさんが…ルナスさんが…」

イーネが放心状態になっている…そんなに衝撃受けることなのか…


「レレーナと申します。よろしくお願い致します。ルナス様がお世話になっていたとのことで…」

「アルーゼです。よろしくお願い致します」

「ふむふむ、ガルツ・フォン・レイナードです。ルナス殿の元上司です。こっちはイーナ・シュレットハウト、うちの事務隊員です。」

「レイナード大隊長、王都に家を買うことにしたのでキュウレクには挨拶にきた次第です」

「ではもうキュウレクでは暮らさないのだな?」

「そうなりますね。この度男爵に任じられまして…」

「そうか、男爵に…」

と、大隊長と話していると…


「ルナスさん!」

急にイーネが話しかけてきた。

「ど、どうした?イーネ」

「私も貰ってください!!」

はい?…?

「え?なんて?」

「私とも結婚してください!!」

な、なんだってえぇぇぇ!?


答えに困って大隊長の方をみる…しかし大隊長はオレはしらないとばかりにそっぽを向く。

「い、いや、ちょっと待って…」

「ルナスさんがいなくなって、戻ってくるのを信じてずっと待ってたのに…」

そ、そんな…オレが辞めるときの話は社交辞令だとばっかり思っていたが本気だったのか。

「待ってください。今日は挨拶に来ただけですので。その話は後日にしましょう」

レレーナが間に入ってくれた。

「用事が終わったら王都に戻るんでしょう!私と話す時間作ってくれるんですか?」

「ええ。大丈夫ですよ。必ずもう一度話し合いしましょう。私とアルーゼにも関係ある話ですし」

まぁいまここで決めれないし…仕方ないな…

「…わかりました。絶対ですよ。待ってますから」

イーネはしぶしぶ納得した様子で黙ってしまった…


「だ、大隊長…」

「うむ、こっちももしイーネがお前に嫁ぐなら本人と話しないといけないし、今日のところはこれでお引き取り願おう。そうだな…明後日にまた来てくれ」

「わ、わかりました…」

警備隊兵舎を後にする…

しかし、最近オレは周りに流されまくってないか…はぁ…

この後の展開はいやでもわかる…


「では、ルナス様、お話を!」

ほら、レレーナが詰め寄ってきた…

「わ、わかった…まぁ立ち話もなんだし、移動しよう」

「そうですね。お腹もすきましたし」

アルーゼはあまり気にしてない様子だが…


アレスとルルも来るかもしれないし『水風亭』のレストランコーナーで食事をしながら話をすることにした。


「では、お話を…ルナス様、どうするおつもりで…?」

「ど、そうするって言われても…もうレレーナとアルーゼがいるし…」

「いえ、ルナス様は男爵ですし、今回の依頼で金銭的にも余裕があります。正妻、側室あわせて3人ぐらい問題ないかと思います」

なんだ…てっきり反対されるかと思ってたが…

「え?嫌じゃないのか?」

「特にそんなことはありませんけど。なんの相談もなしに決められるよりかは良いと思います」

レレーナはやはり公爵令嬢というか、側室は普通だと思っているみたいだ。

「アルーゼは?」

「え?私はルナス様がイーネさんのこと気にいってるなら貰ってあげれば良いと思いますよ」

お前もか…

「てっきり怒られるかと…」

「そうですね、もし私たちの知らないところで断ってイーネさんを悲しませてたら怒ってましたね」

あ、そういうことですか…

「わかった。イーネもオレが貰う。仲良くしてくれ」

「「はい。旦那様」」

二人がにっこり微笑む…はぁ…嫁がまた増えるのか…


「それで、あとはどこに挨拶にいく予定ですか?」

「えっと、オレが借りてた家の家主さんのとことキュウレクの市長のとこかな」

「市長さんともお知り合いなのですね」

市長からは個人的に魔物退治の依頼等を受けたりしていたので知り合いであった。

「ああ。でもそれは明日にしようか。明後日にはまたイーネに会いにいかないとだしな」

「わかりました」

レレーナとアルーゼと話し合いを終え今日のところは宿を取り休むことにした。

アレスとルルにはちゃんと話終わってから言おう…

どうせ、またからかわれるだろうけど…


次の日

「アレス、今日と明日も自由行動でいいぞ」

「そうか。わかった」

アレスとは同じ部屋に泊まったので2日間はルルと一緒に行動してもらおうと思う。


今日の挨拶回りはオレ一人で行こうかな…

レレーナとアルーゼがすんなり納得するかどうかだが…

いや、今日はたまには一人で行動したい…


「今日はオレ一人で挨拶周りいこうと思う。二人は買い物でもしてきたらどうだ?」

「いいですけど、昨日みたいなことはもうありませんよね?」

「ないない!」

「もしあったら相談してくださいね」

「わ、わかった…ないと思うけど…」

なんとか二人と別行動をすることに成功した。


午前中に家主と市長へ挨拶を済ませ、午後にはよく行っていた店や、警備隊で世話になっていたところへ挨拶へ行った。

よし、あとは…


近くに知り合いがいないことを確認しつつ繁華街まで移動する。

繁華街は都市の北側にあり、水風亭とも離れている。

ここへ来るために宿を水風亭に指定したのだった。


あるひとつの店に入る…

「ルナスさぁん。お久しぶりー」

ここは若い女性がお酒を注いでくれたり、お話してくれるお店である。

オレが警備隊時代にたまに来ていた店である。

正直言ってオレもアレスも女好きでこういった店は好きであった。

しかし、結婚するとなるともう来れない。最後に一人でくるつもりだった。

なんとか全員別行動をとる事ができたし、また王都に戻るので今日しかチャンスはなかったのである。


「ルナスさん、あんまり来ないから寂しかったー」

営業トークである。わかっているが楽しいものは仕方がない…

「ちょっと王都まで行っててね」

確かに、レレーナとアルーゼ、イーネも美人でオレにはもったいないと思うが3人とも大事にしようと思う。しかし…それとこれは別である。

結婚前の最後の遊びだ…!


オレが楽しんでいると、一人の客が新たに入ってきた…

アレスである…お前もか…

「おっ!ルナスー!」

「よ、ようアレス…」

「やっぱ、たまには楽しまないとなあ」

「お前、ちゃんとルルは巻いてきたんだろうな?」

「大丈夫、かなり飲ませて寝かせてきたから」

ちょっと不安だが、まぁ店の場所まではわからないだろう…

「そうか、じゃあ楽しんでから帰るか!」

「そうそう。楽しもうぜ!」

そうしてオレ達は深夜まで楽しんだのであった…



次の日

「ルナス様、昨日はどこへ?」

「ん、いや、挨拶ほかにも行かないといけないところ思い出してね…」

嘘は言っていない…

「んー、ちょっとお酒臭いなぁ」

アルーゼが近寄ってくる。

「い、いやほら、挨拶回りで…一緒に飲みにいってね…」

「そうなのですね…まぁいいでしょう…」

レレーナの顔が怖い…が…なんとか許されたっぽい…


「じゃ、じゃあ警備隊兵舎いこうか…」

「そうですね。ちゃんとイーネさん貰ってくださいね」

「わ、わかってる…」

再度、警備隊兵舎の大隊長室へと3人で赴く。


大隊長室

「失礼します」

「きたか、テンカワ男爵」

イーネはまだいないようだ。レイナード大隊長のみである。

「はい。そちらの話はどうなりました?」

「まぁ、イーネがもうすぐくる。本人と話すといいだろう」

「わかりました」


「失礼します」

イーネが入ってきた。

「さて、じゃあ後は自由に語り合ってくれ」

大隊長…あんた…

「(ルナス様…自分から言わないと…)」

アルーゼが小声で言ってくる…はぁ…やっぱりそうだよね…


「イーネ」

「は、はい!」

イーネに向かって話を始める。

「オレは、もうレレーナとアルーゼを貰うことが決まっている。式はまだだが王都に戻ったら挙げることになるだろう」

「…はい」

「男爵になったとはいえ、領地もない。職業は冒険者だ。今は金銭的にも余裕はあるがどうなるかわからない」

…イーネは黙って聞いている

「それでも、オレのところに来てくれるか?」


イーネが神妙な顔から笑顔になっていった。

「は、はい!喜んで!!お願いします!」

イーネが喜び泣きながら抱きついてきた…

「よろしく頼む」

「はい。はい!嬉しいです!」

「よろしくお願いしますね。イーネさん」

「よろしくです。イーネさん」

レレーナとアルーゼもイーネに声をかける。


「よし、話はまとまったようだな」

「大隊長、ご迷惑をおかけしますがイーネの退職手続きをお願い致します」

大隊長に頭を下げる。

「わかっている。こっちでやっておく」

「ありがとうございます」


イーネも連れ兵舎を出る。

「さあて、これで挨拶回りも終わりですね?」

アルーゼが聞いてきた。

「挨拶回りは終わりかな」

「あとキュウレクでやることが?」


「3人に婚約指輪を買おうと思ってる」

3人とも笑顔で礼をいってきた。

「じゃあ、買いに行こうか」


こうして3人目の嫁が決まったのだった。

しかし、これ以上はやばい…気を付けよう…


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