第13話 遺跡の報酬
王都へ戻ってきて2週間ほどたった。
今日は冒険者ギルドへ報酬の受け取りと、ついでに新市街地にハルト兄さんが見つけてくれた屋敷の予定地を見に行くことにした。
「報酬の受け取りにきたんだが…」
報酬カウンターにて要件を伝える。
「かしこまりました。ギルドカードをお願いします」
「えっと、これで…」
ギルドカードを職員に渡し少し待つと
「テンカワ様、こちらの部屋で受け渡しを行いますのでどうぞ」
職員に案内され、奥の部屋へと入る。
「それでは、今回の新遺跡攻略の報酬をお支払い致します」
「ああ、金銭に関してはこちらで割けるのでオレのカードに入れてくれ」
「かしこまりました。では報酬金10億レンはテンカワ男爵様の口座に入れるよう手続き致します。」
「ありがとう」
金銭は王立銀行の口座に入れてもらう。
「魔道具ですが、魔法武器はもう受け取ってもらってるとのことなので、残りの魔道具をご用意しております。お持ちください。詳細はこちらです」
魔道具一式はギルドの用意した魔導鞄に入っているとのことだった。
魔道具の詳細を書いた紙も受け取った。
「そちらの魔導鞄も報酬になっておりますのでそのままお持ちください」
「なるほど、ならアレス持っといてくれ」
「わかった」
「あとですね…」
「まだあるのか?金銭と魔道具だけと聞いているが」
詳細をみるに王都で説明された魔道具の数は合っている。あとなんかあったか?
「入ってください」
職員が奥の扉の方へ声をかけた。
ガチャ…奥の扉からだれか入ってくる。
ん…?ええええ…
「ルナス様、お待たせいたしました」
「竜神じゃないか!?なんでここに?」
なんと遺跡の最奥部にいた『竜神』という魔法人形である。
「実はですね、魔法人形は各地の警備隊と王国軍に配置されるのですが、竜神殿には制御装置がなくてですね…」
ギルドの職員が説明を始めるが
「私から説明しましょう」
竜神が続きを説明し始めた…
「私は、あの施設の管理を主目的に作られたのですが、他の魔法人形と違い主人の為に動くようになっております。施設の案内は他の魔法人形に指示してきたのでルナス様の役にたつことが今の私の存在意義なのです」
な、なんだと…
「と、いうことでですね。ギルドと王国としましては竜神殿に関しては命令もできないのでテンカワ男爵様に引き取ってもらうということになりまして…」
なりまして…じゃねえよ…
「いいじゃないですか。竜神さんも一緒で」
レレーナは気にしていないようだ…
「そうだな。おそらくオレ達より強いしな」
アレス…お前が面倒見るんじゃないだろ…
そういっても仕方ないか。
「わかった。竜神も貰い受けよう」
「よろしくお願いします。ルナス様」
「で、ではこれで報酬の受け渡しは完了になります」
ギルドの職員に礼をいいギルドを後にする。
「じゃあ、屋敷の予定地見に行くか」
竜神を新しくパーティメンバー?に迎え兄さんが探してくれた土地を見に行くことにする。冒険者も続ける予定なので貴族街ではなく冒険者ギルドのある新市街地で探してもらった。
ギルドから歩いて10分程のところに予定地はあった。
「ひ、広いな…」
男爵の屋敷の予定地にしては広い…
「まぁいいんじゃないか、オレとルルも住むし」
「アレス、お前家あるんじゃないのか?」
「いや、オレもルルも賃貸だけど」
「そうなんか…」
「そうね、ルナスの家臣になったし、近い方がいいしね」
ルルも同意してるらしい。
「なるほど、ここにルナス様の屋敷を建てるのですね」
竜神が確認してきた。
「ああ、あとは建設ギルドにいって依頼しないといけないが」
「ルナス様、転移魔道具に登録しといたらどうですか?」
アルーゼがめずらしく役に立つ意見を言ってきた。
「そうだな。アレス、ギルドの報酬に『転移魔道具』あるからだしてくれ」
アレスから転移魔道具を受け取り転移地の登録を行う。
この転移地の登録を行わないと魔道具での転移ができない。
兄さんから遺跡攻略の時に預かった転移魔道具は王国各地に転移の登録がされていたが、登録を行ったのはおそらく初代様だろう。
こちらはもう兄さんに返却していたので、転移地の登録していない報酬でもらった転移魔道具しか持っていない。
「ルナス様、転移魔道具ですがおひとつお預かりしてもよろしいですか?」
転移魔道具は2つ報酬で貰っていた、竜神が一つ預かりたいと言ってきた。
「いいけど、どうするんだ?」
「転移魔道具は1回使うと再使用に時間がかかりますが、預けて頂ければ改良して再使用時間の短縮をできるように致します」
「そんなことできるのか?」
「はい。魔道具の知識も私には蓄積されていますので、お任せください」
「なら、二つとも頼む。どうせここしか登録してないし、他の場所登録するまでは使わないだろう」
「かしこまりました。お任せください」
竜神に転移魔道具を二つとも預けることにした。
「じゃあ、あとはどうする?建設ギルドにいくか?」
アレスが聞いてくる。
「そうだなぁ、ずっと実家にいるわけにもいかないし」
「ルナス様、屋敷も私が作りましょう」
は?屋敷を作る?竜神が…?
「ど、どういうこと?」
「異世界人の知識を使って屋敷を作りましょう、外見だけ周りの屋敷を参考にすれば問題ないでしょう。是非お任せください」
やべえ、竜神が有能すぎる…
「それはありがたいけど、材料と人手はどうするんだ?」
「それもこちらで手配致しますので、ルナス様は出来上がるまでご自由にお過ごし下さい」
「わ、わかった。任せる」
「ありがとうございます。ルナス様、完了しましたら通信機を通して連絡します」
「わかった」
屋敷は竜神に任せることにして、いったん実家にもどることにした。
「いやあ、しかし竜神さんは有能ですね」
アルーゼが喜びながら言っている。
「そうだなぁ建設費も浮いたな」
アレスも嬉しそうである。
「それで、屋敷できるまではどうされます?」
レレーナが今後の予定を聞いてきた。
「それなんだけど、ちょっとキュウレクに1回行きたいんだが」
もともとオレはキュウレクに7年程住んでいた。
知り合いに結婚の報告などをしたいと思っていた。手紙でもいいんだが実家にいるのも気が引けるのでキュウレクに行くのを提案してみた。
「旦那様のしたいように」
「私とアレスは家臣だからついていくわよ」
レレーナとルルが答える。まだ結婚式終わってないんだが…
「なら二日後に出発しようと思う、よろしく頼む」
元職場のあるキュウレクに向かうことにした。