05.【閑話】これは完全に予定外ですわ[メリサ]
私達が騒いだせいで、図書室から追い出されてしまった。
少し不機嫌そうなエレナ様と別れて、二年生のクラスに戻る。
「メリサ嬢、あの笑顔見た?」
「見ました、あまりに尊くて直視し続ける事が出来なかったのが悔やまれます」
「ああやって、エレナちゃんは人を無自覚に虜にしていくんだね」
「そうですね、私もその一人です」
「ディメオスは、よく平気でいられるね。幼馴染だから?」
「最初は可愛いと思っていたさ、でもな……。俺がエレナを恋愛的な意味で好きになれない理由は、家に来ればわかる」
「どういう事かしら?」
「来れば分かる、サージスの恋心も多分冷めるぞ」
「それはないけど、何で?」
「今度の長期休みに、父に怒られに帰る予定だから、俺達についてくるか?」
「俺達って?」
「男爵領に帰る途中だから、エレナも一緒に帰る」
「行く!僕も帰る途中だから、伯爵領と男爵領にも寄りたいな」
「私も行きたいです!」
「メリサは逆方向じゃないか」
「エレナ様と休みの日も一緒とか、ディメオス様ずるいです!それに、オルケリア伯爵様に私の軽率な行動を謝らなければ、と思っていたので」
知らなかったとはいえ、婚約者がいる人を好きになってしまったのは、私の罪。
あの後改めて謝りに行ったら、エレナ様は笑って許してくれました。『私の計画通りだったから、気にしないで』と言って。
それでも少し寂しそうで、エレナ様が許してくれても、私は自分を許さない事に決めました。
エレナ様には、笑っていてもらいたい。
だから、もう私達は近付かない方がいいのかな、と思っていた。
けれど、ディメオス様との幼馴染の関係は、変える事なくエレナ様が接してくれるので、優しさに甘えてしまった。
一緒にいるうちに、私がエレナ様から離れられなくなった。まだ離れたくない。
『伯爵様に見限られたら、男爵家の商会で雇ってあげるわよ』
そうエレナ様に言われた時、それもいいな、と思った。
好きな人と一緒に、大好きな人の元で仕事ができる幸せ。
そんな未来を思い描きながら、彼女にとって必要な人材になれるように、今は勉強を頑張ろう。