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私も恋していいですか?  作者: ぽち焼きタマゴ
第4章 ホワイトデイ
25/30

25. 友達にプレゼント

「この紙、私がずっと持ってたの、返すの遅くなてごめんね」


「あぁ、例のリストですか? それは写しなので、返さなくてもいいですよ」



 今日は、ホワイトデイ用のアクセサリーを納品する為に、イシュト様とエレーナ様がバレンスイートに来店していた。


 今は別室でキャスリンがアクセサリーの検品をしているので、待ち時間にカフェの個室で、紅茶を飲みながら新商品の試食をしてもらっていた。


 それにしても、バレン・タインのお返しを、私に間違えて送って来た方のリストまだ持っていたのね。



「このリストを見て、気付いた事があるんだけど」


「何ですか?」


「この人に、私チョコレート渡してないんだよね」



 そう言って、エレーナ様が指を指した先には、『ダンテ・ガルニシア侯爵令息』と書いてあった。



「男子寮の寮長か……」



 名前を見て、イシュト様が険しい顔をしながら呟いた。

 何かあるのかしら?


 この名前、私もどこかで聞いたよう気がする。

 ダンテ……ダンテ様……!!



「エレーナ様!学園の裏庭で、この方と一時期よくお会いしていましたよね?」


「え?!」


「二人の距離が近かったので、エレーナ様の恋人なのかと思っていました」


「た、確かに一時期よく一緒に遊んでいたけど、まだ付き合ってはいなかったのよ。その後色々あって……。バレン・タインの時にはもう会ってなかったから」


「そうなんですね」



 以前、私の元婚約者のディメオスが、私が不貞をしていると勘違いをして婚約破棄を宣言した。


 そして、私は無実を証明するために、学園の裏庭でエレーナ様が男性と会っている所を彼に見せた。


 その時、エレーナ様が一緒にいた方の事を『ダンテ様』と呼んでいたのを思い出した。


 二人は名前を呼び合い、抱き合っていたので、恋人だと思っていたけど、それもエレーナ様の前世の世界では、友達同士の触れ合いになるのかしら?

 何だかすごい世界ね。



「だから、ダンテ様がエレナに贈り物をしたのは、私と間違えたわけじゃないの。彼は最初から、私を通してエレナの事を見ていたから」


「え?」


「エレナには婚約者が居るから、ダンテ様は似ている私の側に居ただけ、私はエレナの代わりだったの」



 私もエレーナ様に間違えられて色々あったけれど、思っていた通り、エレーナ様も私と似ている事で被害を受けていた。


 間違えられるのも訂正するのが大変だったけど、代わりにされるのは、相手の意思でそうしている分、嫌悪感があるし何だか怖い。



「教えてくれて、ありがとう。ダンテ様の事、少し調べてみるわ」


「なんか、エレナに対する想いというか……。執着心みたいなのを、すごく感じたんだけど。調べるのも危険じゃない?」


「大丈夫よ、私は近付かないから」


「ダンテ様は、バレン・タインの時に流れたエレナの婚約解消の噂を信じて、プレゼントを渡したのかも……。エレナには、サージス様が居るから大丈夫だと思うけど、本当に気を付けてね」



 私はダンテ様と面識がない。

 だから、エレーナ様が感じたという執着の理由が分からなかった。

 それとも、私が覚えていないだけで、昔どこかで会った事があるのかしら?

 これは、慎重に調べてもらいましょう。




 トントン


 個室のドアがノックされた。

 私が返事をすると、キャスリンが検品作業が終わった事を告げた。


 ずしりと重みのありそうな麻袋と、コインの受け皿をイシュト様に渡して、中身を確認してもらった。

 確認し終わるとエレーナ様が立ち上がり、いつもの彼女とは違う雰囲気をまとい私を見た。



「今回は、シェリーズ宝石店をご利用いただき、ありがとうございました」


「こちらこそ、ありがとうございます」


「またのご利用をお待ちしております」



 お互い接客用の笑顔で挨拶した後、二人で思わず笑ってしまった。


 最初は、お互い別の目的を叶えるために協力していたけれど、いつのまにか仲良くなっていた。

 特に何も言わないけれど、もう友達なんだと思う。



「こちらで馬車と護衛を用意してあります。行き先はどうしますか?」


「エレナ嬢、ありがとうございます、お金を預けたいので、シェリーズ宝石店でお願いします」


「その後、学園の寮まで送ってくれると嬉しいな」


「おい、さすがにそれは」


「ふふっ、かまいませんよ? キャスリン、シェリーズを経由して、学園までお願いね」


「かしこまりました。そのように伝えておきます。では、失礼します」



 私達は馬車の準備ができるまで、椅子に座ってお菓子とお茶を楽しんだ。



 馬車に乗り込む時に、エレーナ様にクッキーの包みを渡した。



「これも、試食?」


「違うわ……、プレゼントよ。二人で食べてください」



 馬車を見送りながら、気恥ずかしくて言えなかった言葉を思い浮かべて、来年のバレン・タインには、エレーナ様とチョコレートを交換しようと決意した。


 ーー友達にプレゼントよ。

どんどん増える友情エンド(笑)


なかなか進まない恋愛フラグ。


長い目で見ていただけると、ありがたいです。

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