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私も恋していいですか?  作者: ぽち焼きタマゴ
第4章 ホワイトデイ
24/30

24.もちろん楽しみよ

 今日は、タインスイートのカフェで、ホワイトデイの打ち合わせも兼ねた女子会をしていた。




「エレナ、本当にありがとう。バレン・タインのおかげで、ラクアス様と恋人になれたよ」



 マリは、男爵令息のラクアス様にチョコレートを渡して告白した。

 何回か休日に出かけて一緒に過ごして、正式にお付き合いを始めたみたいだ。



「私は、明日マリス達と遊びに行く約束をしています。とても楽しみです」



 ミリィは、騎士爵子息のマリス様と知り合う為に、以前階段で転びそうになった所を助けてくれたお礼だと言ってチョコレートを渡した。

 今は友達として、何人かの男女で街に遊びに行くようになった。



「二人共幸せそうで良かったわ」



 私は心から友人達の幸せを喜んだ。

 すると、マリが声をひそめて私に言った。



「エレナはあれからどうなの? 噂が色々あって、何が本当なのか分からないんだけど」



「今まで謎だった婚約者が、実はサージス様だった。って聞いたんですが、入学前にしていた婚約は解消されているんですよね?」



 更に小さな声で、ミリィが言った。

 そう、この二人には婚約を解消した事を話していた。


 チョコレート作りの打ち合わせの後に、婚約者にチョコレートをあげるのかと聞かれて、誤魔化しても良かったけど、友達に嘘はつきたくなかったから、元婚約者の名前は伏せて事実を話した。


 そして、彼女達は秘密にして欲しいと言う私の願いを、何も聞かずに受け入れてくれた。



「ホワイトデイが告知されるまで、私の周りが騒がしかったじゃない? だから、『サージス様に手作りのチョコレートを渡した』って噂を流してもらったら、そうなったのよ」


「本当の事を話しただけで、そんな話になったのね」


「みなさん想像力豊かですね」



 マリもミリィも驚いていた。

 私も改めて、噂はそのまま信じてはいけないと思った。



「そうだ!ホワイトデイのミニブーケ、うちの店で作れるって!数は五十でいい?」


「ありがとう、五十で大丈夫よ。当日ロイズに向かわせるから、朝十時までに用意できる?」


「大丈夫よ!私も前日の夜手伝うから、十時までに渡せるようにしておくね。その日花屋は休みにするって、お母さんが言ってたから、裏口から入ってきてね」


「分かったわ」



 頼んでいたミニブーケ、引き受けてもらえて良かった。マリに一度作ってもらったけど、とても素敵だった。

 ブーケをまとめるリボンに、金属製のハートのチャームがついている。

 エレーナ様曰く、後で自分の持っているネックレスに取り付ける事ができる物らしい。

 後日使い方をシェリーズで教えると言っていた。



「アクセサリーの納品と検品は終わっているので、いつでも受け取りに来ていいですよ」


「ありがとう、今日取りに行ってもいいかしら?」


「はい大丈夫です、帰りがけに寄りますか?」


「そうね、ロイズの仕事が後一時間で終わるから、一緒に行きましょう」



 ミリィの家の雑貨店に頼んでいたアクセサリーも無事納品されたみたいだ。

 思っていたより早い納品だった。

 やはり、雑貨店の伝手を使って注文してもらって良かったわ。


 タインスイート販売用のアクセサリーは、髪飾りとブレスレットを五十個ずつ依頼した。

 金属製で飾りはガラスを使っているので、低価格で作る事ができた。それにエレーナ様がデザインしたハートの飾りを取り入れたので、ホワイトデイ限定の特別感がある。



 アクセサリーのセットはホワイトデイの一週間前から販売して、ミニブーケのセットは前日に販売する事になっていた。

 ホワイトデイ当日は、タインスイートを全面カフェにして、カップル限定メニューを出す予定だ。



「はぁー、ホワイトデイが楽しみ!」


「そうね、エレナも楽しみですよね?」


「? もちろん楽しみよ」


 ミリィに意味深な笑顔で聞かれて、少し考えてしまった。

 ホワイトデイに女の子達の笑顔を見るのは、もちろん楽しみよね。


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