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私も恋していいですか?  作者: ぽち焼きタマゴ
第3章 バレンスイート・タインスイート
15/30

15.【閑話】それは、キット気のせいよ![サージス]

『その恋、私が応援いたしましょう』

【閑話】とほぼ同じ内容です。

 バレン・タインデイの話を聞いた時、多分僕は貰えないだろうな、と思いながらも当日エレナを探していた。



 僕は彼女に一度告白しているけど、本気にされていない。

 原因は僕の軽い言動にある。


 本気なんだけどな。

 まぁ、昔の僕を知っていれば、今の僕の言葉はふざけていると思われていても仕方がないけど。


 ただ、人脈を広げる為には、明るくて軽くて話しかけやすい、相手を油断させて警戒されない。

 そんな僕が、学園の中では必要だった。




 中庭のベンチで空を見上げるエレナを見つけた。


 そして、エレナからチョコレートを貰った。

 友達にあげた余りだという事は分かっている。

 それでも嬉しい。


 メッセージカードには、「大好きです」って書いてあった。

 友達には素直に好意を伝えるんだな、と少し羨ましく思ったけど、このカードを引き当てたのは僕だ。


 家宝にします。




「エレナ!受け取ってもらえたよ!」


「マリ、よかったわね」


「私も、名前を覚えてもらえました」


「そう、ミリィ頑張ったわね」



 エレナのクラスの友達が、結果を報告しに来たみたいだ。



 僕は二人にベンチを譲って、後ろのテーブル席で見守る。

 エレナが楽しそうで良かった。


 貰ったチョコレートのラッピングをほどいて、中のチョコレートを一つ食べた。

 幸せです。


 幸せを噛み締めていると、エレナにマリと呼ばれていた子がニコニコしながら近付いてきた。



「サージス様、そのチョコレート、エレナから貰ったんですか?」


「そうだよ、君達にあげた余りを僕に恵んでくれたんだよ、エレナちゃんは優しいよね」


「なるほど、なるほど」



 僕の返事を聞いて、何故かニヤニヤ笑いになった。



「どうしたの?」


「いえ、エレナが言ってたんですよ、手作りのチョコは安全性の問題で貴族の方にあげる時は、よほど親しくないと受け取ってもらえないから、お互い信頼できるようになるまで渡してはいけないって」


「え?」


「だから、エレナとサージス様は、とても親しくて信頼し合ってるんだな、と思って」


「え、本当に?」


「少なくとも、エレナにとって、無意識にチョコレートを渡せてしまう相手って事ですね」


「う……嬉しいです」


「サージス様、頑張ってくださいね。私達エレナにも幸せになってもらいたいので」



 そう言って、彼女はエレナ達の所に戻って行った。


 僕は机に肘をついて、火照る顔を手で覆った。

 嬉しくて胸が熱くなる。

 そして、誰も聞いていないけど、真面目な言葉で呟いた。



「エレナ、大好きだよ」

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