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私も恋していいですか?  作者: ぽち焼きタマゴ
第3章 バレンスイート・タインスイート
14/30

14.それは、キット気のせいよ!

『その恋、私が応援いたしましょう』

連載用に加筆修正したものです。

 バレン・タインデイ当日。


 放課後になり、私はマリとミリィと友チョコの交換を終えて、一人中庭で休憩をしていた。


 二人は、意中の相手に本命のスイーツを渡しに行っている。

 ここからが、彼女達の本番だ。



 今回のイベントの開催に学園側は協力的だった。

 調理室の貸し出し、放課後の学園内利用などなど。

 私のイベントの提案理由を聞いて、何か思う事があったみたいだ。


 気になって調べてみると、創立八年になる学園卒業後の恋愛結婚率が、年々低くなっていた。


 学園の中でだけ自由に恋愛を楽しむ人。

 マリのように、好きな人とどうやったら親しくなれるのか分からないまま卒業してしまう子。

 ミリィのように、キッカケがなくて素敵な人と話す事も出来ない子。


 学園で恋愛結婚を推奨しているのに、その下地が何もなかった。

 卒業後相手がいない場合は、ほとんどが親の決めた人と結婚する事になる。もちろん学園が否定している政略結婚だ。

 でも、家を守る為には仕方がないことだった。


 だから、今回のバレン・タイン イベントが成功すれば、今後イベントの重要性が学園でも検討されるだろう。



「エレナちゃん、ここにいたんだ」


「ひゃっ?!」


「ごめん、驚かせちゃった?」



 青空の中の雲を見ながら考え事をしていたので、背後の人影に気が付かなかった。

 振り返ると、サージスが立っていた。


 彼とは、学園に入って久しぶりに再会したけど、最後に会った時よりずいぶん大きくなって、綺麗な顔立ちに男らしさが加わっていた。

 それと、白銀の髪と真紅の目は変わらず綺麗だった。



「そういえば、イベント企画したんだって? 面白そうだよね、僕も参加したかったなぁ」


「ごめんなさい、女の子がメインのイベントだったから」


「そうなんだ、じゃあしょうがないね」



 彼がとても悲しそうな顔をするので、私は多めに作っていたチョコの袋を取り出した。

 ロイズの分はまだあるから、彼にあげてもいいわよね。



「これ、チョコレートなんだけど、よかったら貰ってくれる?」


「いいの? 嬉しいよ!」



 彼の悲しそうな顔が、一転輝く笑顔になった。

 喜んでくれて良かった。



「あれ?メッセージカードが付いてる」


「友達と一緒にチョコレートを型に流して手作りしたの、メッセージは昨晩色々書いてランダムに貼り付けたから、それに何が書いてあるのか分からないんだけど」



 友達に渡すからと、深夜テンションであれこれ書いた気がする……。あれ?彼に渡しても大丈夫だったかな?



「あーうん、素敵なメッセージありがとう。家宝にする」


「え?何て書いてあったの?」


「内緒。それよりさ、これ貰えて嬉しいんだけど、お返しする日はないの?」



 何か誤魔化された気がするけど……、そんな事より!

 私は思わず彼に詰め寄った。



「サージス!素敵な考えね。いいと思うわ!男性が告白の返事とお返しをする日を作るのね」


「そうだね、男女にかかわらず、バレン・タインを告白する日にして、後日返事をする日があるといいかもね」


「なるほど、男性にも告白する権利は必要ね。今年はもうバレン・タインは終わってしまうけど、次があれば考えてみるわ。えぇと、お返しをする日の名前は何がいいかしら?」


「なんだろうね?」



 彼が首を傾げた時、サラリと白銀の髪が私の顔に触れた。

 ずいぶん近づいてしまっていたみたいだ。

 恥ずかしくなって、彼の側から離れようと思った時に閃いた。



「サージスが発案してくれたイベントだから、貴方の綺麗な髪色にちなんで、『ホワイト』デイなんてどうかしら?」


「いいね、なんか僕も参加できたみたいで嬉しいよ」



 そう言って彼は微笑んだ。とても暖かい笑顔だった。


 そして私達は、ホワイトデイについて語り合った。

 マリとミリィが笑顔で私に飛びついて来るまで。


 私の顔が少し赤くなっていたって?


 それは、キット気のせいよ!

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