13.後編 その恋、私が応援いたしましょう
『その恋、私が応援いたしましょう』
連載用に加筆修正したものです。
私達は中庭のテーブルでランチをしながら、チョコレートを作る打ち合わせをしていた。
「前日に、学園の調理室の貸し出し許可をもらいましたわ」
「エレナ様ありがとうございます。チョコレート作る場所がなかったんです」
「マリは寮で生活しているからね。私は家でも作れるけど、やっぱり友達と一緒に作りたいです」
「友達……。そうね、マリ、ミリィ、貴方達はいつまで『エレナ様』と呼ぶのかしら。私達お友達でしょ?『エレナ』って呼んでほしいわ」
「エレナ……って呼んでもいいの?」
「本当ですか?」
「ふふふっ、もちろんよ!私も二人の前では、普通に話していいかな?男爵令嬢っていっても、田舎育ちだから都会のご令嬢言葉は疲れるのよ」
「ミリィ、普段の彼女も素敵だけど、これは天然人タラシだよね?」
「そうね、仲良くなると、可愛らしい笑顔が見れるのね。ご褒美かな?」
「?」
二人が手で顔を覆って何か話していた。
何の事を言っているのか、よくわからないわ。
私は思わず首を傾げた。
その時、離れた席で大きな音がしたけど、私は2人との話しに夢中で、そちらを見る事はなかった。
◇◆◇◆◇◆◇
そしてイベント前日、私達は調理室でチョコレートを作っていた。
もちろん調理室は三人だけではない。チョコレートを手作りしてみたい女の子達で溢れていた。
湯煎で溶かして、型に入れて、冷やして、型から外す。
簡単なので、普段料理をしない貴族のお嬢様達もチャレンジしていた。
可愛くラッピングして一度持ち帰り、メッセージカードを書いて明日渡すのだ。
チョコレート作りは途中まで順調に進んでいたが、あまりに参加者が多くなり、チョコレートを冷やす場所がなくなってしまった。
私が慌ててタインスイートに連絡すると、すぐにロイズが来てくれた。
「ロイズ助かったわ」
「突然呼び出すからビックリしたよ。まぁ、チョコレートは、ちゃんと冷やさないと固まらないからな」
「そうなのよ、ここまで参加者が多くなると思っていなくて」
「盛況で何よりだな。ほい、魔力補充完了。あとは、氷の魔石を箱に入れるだけで、箱の中の物は冷たくなるから」
「ありがとう!今度お礼するからね」
「じゃー……、多めにチョコレート作っといて! もし余ったら、俺が全部貰うから」
そう言ってロイズは帰って行った。
そんなお礼でいいのかしら?と思いつつも言われた通り、友達と交換する分の他に、三袋多く作ってラッピングをした。
無事に参加者全員チョコレートが完成した。
私が片付けをしようと席を立つと、ミリィとマリが言った。
「そういえば、イベントの名前は何にしたの?」
「それ気になってた!」
二人のの問いに、私は笑顔で答えた。
「スイーツ店の名前を取って、『バレン・タイン』デイよ!」




