転勤先5年間の不思議な話
座敷わらし
「不思議な現象」第2話
不思議な出来事は日々増していった。
輝の机がある奥の部屋では、オモチャ箱のオモチャが勝手に鳴ったり、
写真立てが倒れたり、
洋ダンスが開いたままなので、輝に「開けっ放し!」
「オレじゃない!」のやり取りはしょっちゅうあった。
私は夜な夜な、その部屋でパソコンいじり。
パソコン教室に通ってたので復習に余念なく。
何しろ冬は吐く息が白い。
石油ファンヒーターを点けると自動でシャッターが下りて使えない。
当時は、気密性が高い部屋だから「換金せよ」とシャッターが下りると思ってた。
デスクトップなので、その部屋でやるしかなく
電気ストーブを買ったけど
まぁ寒い部屋だった。
これが東北の冬、と思って毎日夜な夜なパソコンと向き合っていた。
ところが、テキスト通りのことが出来ない。
フリーズはしょっちゅう。
ある時は、バン!と電源が落ちた。
夫は「お前の操作が悪い。」と相手にしてくれなかった。
私が悪い、と思ってた。
じきに、私だけでなく泊まりがけの来客も音を聞くようになった。
「パパが帰って来たんじゃない?」って。
輝はエレクトーン教室に通い、私は送迎に付き添った。
1時間の待ち時間でパスタ屋さんの常連になった。
ある日、マスターが
「僕、人の悩みとか感じるんですよ。何かあったらいつでも相談に乗りますよ。
」と言い出した。
そう言えば、彼の視線はいつも私の肩とか後ろで
美人な人妻と話すのは照れくさいのだろう、と思ってた。
その頃、悩みはなかったし
不思議な現象は苦ではなかったし、相談することはなかった。
つづく