Yeah, this trip
掲載日:2020/06/12
生み出された彼が目にしたのは光だった。
その光が差してくる穴は徐々に開き彼はその光の中に飛び込んだ。
少しばかりの滞空時間の後、湖の水面に落下した。ぽちゃんと。
急に湖は枯れていった。湖底の穴が開いてしまったのだ。この穴は数時間に一回開き、湖の水を全て流し終えると閉門する。そして瞬く間に湖に水は貯まる。まるで湖には水以外必要ないというかの如く厳しさが感じ取れる。
彼は流れに身を任せていると、いくらばかりの同胞たちと出会った。
うまれも体を構成する物質も違うが、個体名称だけは同じ事が分かった。
また彼らと共に流れに身を任せていると、下から押し上げられる感覚がした。
流れが変わったのだ。
彼は旅が始まるときに経験した落下という現象。その逆の現象が起きているの事に気が付いた。
その上昇体験が終わるとまた、同胞たちと流れに身を任せた。
またいろんな同胞たちと合流し流れに身を任せていると、先程の様な上昇現象に見舞われた。
上昇現象が終わると急に流れが緩やかになった。
そう彼らは旅の終着点にたどり着いた。
彼らはまだ知らない、とっくに自分たちの体がなくなっている事に。




