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基本練習開始!

「はっ!ざまぁないぜ!」


 敦の威勢のいい声が実技場に響く。彼の目の前には巨大な氷塊がずっしりとたたずんでいる、この光景をほかの生徒たちは茫然と眺めているだけだった。


「高等科ファステンだろうが俺たちにしてみりゃこんなもんよ、どうだ!」


 ほかの生徒たちの方を向いて腕を振り上げ、自身の実力を知らしめている、その時だった。


「ねえ、あれ!」


 明日香が氷塊を指さす。それにつられて敦たちも氷塊を見て、青ざめた。巨大なそ・れ・が大きな音を立てて溶けていく。


 ──魔法ってのは大きいだけがすべてじゃねえんだ──


 そう言って俺は溶けた氷塊のの中から歩いて出てきた。右手に出しているのは手のひらサイズの小さな灯、そんな俺を一同はあり得ないものを見るような目でとらえている。


「な、なん…で」


 呆気に取られている敦に俺は


「簡単だ、ダメージを受けていない理由は魔術障壁だよ。質の高い魔術障壁はどんなに質量があろうと魔力の品質が劣ればたちまち無効さ。あの見た目ばっかりに囚われている魔法じゃあな」


 この世界で魔法の優劣を決めるのは魔法の大きさではなく質の高さである。例えば、質の悪い巨大な火の玉よりも質の良い蝋燭の火の方が魔力の威力は勝る。なぜそうなるのかはまだ現在解明中だ。


「まだやるかい?」


 腰に差していた黒水を抜刀し敦に向けて突き付ける。ざわつくみんなに俺は落ち着くようにと諭す。


「なんなんだお前は…!」


 力が抜けて尻餅をつく敦に俺は何の疑問ももたずに


「私たちの先生だよ、これから一緒に頑張ろうよ」


明日香が後ろから敦に笑顔で手を貸す。敦はどこか小恥ずかしそうに視線をそらして手を取り、立ち上がってみんなのところへ戻っていく。




「さて、実力を大体わかってもらったということで実技を始めるぞ、まずみんなにやってもらうのは魔力の質を一定に保つための基本練習だ。レールを仕舞って自分が一番集中できる体勢になって、自分の体全体に魔力を巡らせてみてくれ。もちろん、レールは使わずに」


 敦とのいざこざにかけた時間はざっと10分ほど。時間は有限だ、さっさと始めてしまおう。生徒らは困惑しながらもそれぞれ集中できる体勢になって魔力を巡らせ始める。レールを使わないで体中に巡らせるのは慣れていないだろうから少し時間がかかると思ったが半数はすでに感覚を掴み、安定化できている。


「しつもーん!この基礎練習には何の意味があるんですか?」


明日香が手を挙げて質問してくるすでに彼女は基本ができているようだ。


「最近の魔法使いはレールに頼りすぎなところがあるからな、それが悪いこととは言わないがもしレールが使えない状況で戦うことになったらだいぶ不利だろ?あとみんなはレールなしで魔力に触れることってあまりないと思ったから自分の魔力を肌でしっかり感じ取ってほしいんだ。」


──これが、これから使う自分の力の根源なんだってことを!

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