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もしかしなくても舐められてる

「一体どうしたら姉さんみたいな強い魔法使いになれるの?」

 夢を見ているようだ──幼い日の夢……

 姉さんと呼ばれた女性はこっちを振り向いて微笑むが、どこか悲しそうに

「強大な力を持ってもあまりいい思いはしないわよ?」

 そういわれるが、語り掛けた少年は

「でも僕はいつか姉さんみたいな強い魔法使いになって姉さんを助けるんだ──」


「んぁ~……?」

 どうやら屋上で昼食をとっている途中で眠っていたらしい、俺の座っている横には食べかけの焼きそばパンと紙パックのミックスジュースが転がっている。

「おーい、蒼二さーん!こんなところにいたんですね」

 屋上の非常口を開けて入ってきたのはいかにも活発そうな見た目の少女。その後ろには長身の物静かそうな女性がもう一人。活発そうな見た目の方が明日香で長身の方が沙耶だ。ちなみに俺の名前は浅井蒼二、今通っているアークウェル魔法学院の高等科(ファステン)の二年生だ。

「おぉ、明日香と沙耶じゃないか、どうしたんだ?」

 俺は欠伸をしながら立ち上がり、横にあった焼きそばパンとミックスジュースをそばにあったゴミ箱に放り込む。カラン、といい音を立てて落ちていく、ナイスシュート。

「どうしたじゃないですよ、もうすぐ昼休み終わりですよ?授業の準備しなくていいんですか?」

 明日香がプンプンしているのに続けて、沙耶が

「次は実技で模擬戦をやるんでしょ?さっさと行きましょう」

「やっべ、忘れてた!教えてくれてサンキュー!」

 そうだった、すっかり忘れていた。俺は急いで装備を取りに行くために屋上を飛び降り、地面に着地。寮に向かって走る。

「じゃあ私たちも実技場に向かいましょう?」

 沙耶と明日香は第一実技場へ向かっていった。


「さて、今日も頼むぜ黒水(こくすい)

 寮の自室へ戻り、クローゼットを開けて漆黒の刀を手に取る。ほのかに藍色に光る刃は業物であることを容易に想像させるだろう。

 漆黒の刀を腰に差して第一実技場へ向かう、場所は先ほどまでいた高等科(ファステン)の校舎の隣だ。


「すまない、待たせたな」

 そういって第一実技場に入った俺なのだが……20人ほど生徒が話をしながら俺を待っていた。もちろん、明日香と沙耶もいた。

「なんだ、逃げ帰ったのかと思ったぜ、()()

 開口一番人を馬鹿にしているような口調で俺に語り掛ける。金髪でガタイのいい男で名前は御堂敦(みどうあつし)俺が受け持っている中等科(セカンダリー)の3-Bの生徒でなかなかの実力派だ。

「逃げるわけないだろ、俺はお前らの教師だぞ?──じゃあさっそくみんなのレールを見せてくれ」

 レール──俺たちが魔法を使う際に魔術回路から直接打ち出せるようにした道具のことで、流れのように打ち出せる補助具ということでレールと呼ばれている。形は様々で、武器のような形もあればメガネなどといった小物の形もある。彼の場合──巨大な大剣がレールのようだ。

「見せてやるぜ……いわれなくてもなぁ‼」

 大剣を担いでこちらへ素早く走りこんできた。俺は一応距離をとるためにバックステップで後ろへ飛ぶ。

「フェイ!ウェッド!拘束陣だ!」

 フェイとウェッドと呼ばれた二人の男はこちらに手をかざして魔法を起動する。

「拘束!チェーンバインド!」

 俺の足元に黄色い魔方陣が浮かび上がり、その中から黄色い鎖が俺に向かって伸び、俺を縛る。いい魔法だ、魔法の質自体は悪くない。中等科(セカンダリー)にしてはよくできている。

「死ねやああああああ!」

敦が大剣に魔力を込め、強化魔術だろうか──それを全身に覆い思い切り俺に向けてたたきつけてきた。まぁ単調な動きだ、腕を拘束されているだけなので軽くステップを踏んで攻撃を避ける。

「馬鹿が!罠だよ!!」

敦は叫び、大声で笑う。ふと気が付くと巨大な氷塊が俺の頭上にあり、落下してくる。ゴオオォォ……という轟音を鳴り響かせ、あたりには静寂が訪れた──



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