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第5話 勇者

少しずつ、少しずつ、俺は普段接する人の人数が減っていった。今では、両親とエマ家とお使いに行った時に店の人と小話をするくらいだ。友達もエマしかいない。

ぼっちまっしぐらである。


6歳まで成長した。

そんな時、とある話が街を賑わせていた。

勇者と賢者御一行がこの村に来るそうだ。勇者と賢者は、この世界に3,4人ずついる。約20年ごとに1人それぞれずつ産まれるからだ。

なぜそんなに頻繁に生まれるのか。

それは、神のみぞ知る。

近々来る勇者は、まだ23歳である。

なぜこんな何もない田舎の村に来るのか?

それは、王都とこの村のほぼ直線上にある、獣人の国、ガルムへ向かっているため、ついでに新賢者エマを見にくるためだ。


「色々準備しなきゃな。」


「食材取りに行かなきゃ!」


村の人々は口々にそう言っていた。

やっぱり、勇者は歓迎されるみたいだ。

そういえば、この世界の勇者はいきなりツボを割ったりタンスの中をあさったりするのだろうか?

流石にしないでいただきたい。




勇者御一行が到着した。


その日、村は勇者を歓迎する体勢を整え、

村人のほとんどが勇者を見にきていた。

お父さんは、村の警備のために残っていた。


「皆さん、歓迎ありがとうございます!」


笑顔で勇者がそう言った。

すごい爽やかイケメンだ。

さぞおモテになられるでしょうなぁ。

俺はまだ成長途中だけど、あんな見た目にはならないだろうなぁ。

その時、お父さんが走ってきて、


「魔物が攻めてきた!」


「え!?」


その瞬間、戦えない村人は家の中に立てこもり、戦える者と勇者たちは、魔物の攻めてきた方へと走っていった。


俺は、窓から、魔物が攻めてきていないか確認していた。そこで目に留まったのは、まだ外にいるエマと、撃ち漏らしたのであろう3匹のゴブリンの姿だった。


どうしよう、大人を呼んで、退治してもらうか、エマの元へ駆けつけて、家の中に入れるか。

迷ったところで、家をでなければいけないのは変わらないので、急いで玄関から家をでた。

そのわずかな時間に、ゴブリンは距離を詰め、エマは悲鳴をあげていた。


「オラァ!」


迷う余地なんてない。

俺は、木の棒と服を出して、ファイアで着火しながら全力でエマの元へと駆けつける。

そして、1匹目のゴブリンを松明で殴りつけ、ゴブリンの身につけている毛皮に火をつけ、熱いのを我慢して蹴り倒し、2匹目のゴブリンは松明を口に突っ込み、そのまま押し倒して、3匹目は飛びかかって眼球を潰しながら押し倒して、首のあたりを噛みちぎった。


「大丈夫か!?」


口のまわりに飛び散った返り血を木綿の服で拭き取りながら叫ぶ。

と、エマは怯えすぎて声が出ないようだった。


「本当に何やってんだ、早く家に入るぞ。」


そう言って家の方を向き直り、俺は驚愕の声を漏らした。


「は?」



〜父親サイド〜


「なんで一人だけ警備しなきゃいけねぇんだ。」


本当にめんどくさい。みんなは休みだけど、俺だけ休みじゃない。家族と居られる少ない休日を潰されなきゃいけないんだ。

ああ、


「ん?んん!?」


こんなタイミングですごい量のゴブリンが!

急いでみんなに報告に行く。


「魔物が攻めてきた!」


「ええ!?」


「僕らも参戦します!」


「助かる!」


勇者も参加してくれるみたいだ。

これならあの量の魔物でもなんとかなりそうだ!


「なんじゃありゃ!?」


いつもの3倍は攻めてきている。


「行くぞ!」


やはり、勇者御一行は全員馬鹿みたいに強い。1撃で複数のゴブリンがバッタバッタと倒れていく。

これならこれくらいの攻撃は余裕で耐えられる!きっと、誰もがそう思っていた。


「おい!上を見ろ!」


「なん、だと?」


俺たちの希望は、すぐに絶望に変わった。

読んでくれてありがとうございました。

次回、ようやくタイトル回収すると思います。

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