第4話 スキル
「固有スキルがよわいなら、一般スキルを極めればいい。なんなら、父さんと母さんが教えてあげようか?」
お父さんは、どうやら天才らしい。
そんなこと全く思いつかなかった!そうだ、スキルは努力で手に入るものがほとんどだ!
固有スキルなんかクソ食らえだぜ!
「ホント!?教えて!」
お父さんもお母さんも普段は忙しいため、休暇の日しか見てもらえないが、修行の仕方を教えてもらった。お父さんからは、筋トレの仕方、剣の振り方、槍のつき方、なぜか投石の仕方を教えてもらうことになった。
「なんで投石の練習もするの?」
「魔物が集団でいた時に、簡単に1匹だけつり出すのは、ダメージが少なくて警戒させにくい投石が一番だからだ。」
お父さんはドヤ顔で言った。別に自慢するような内容喋っているわけじゃないんだよ?多分「どや、わかりやすいやろ!」って顔なんだろうけど、それ5歳に対して使う言葉やない。俺がゲームしてなかったらそれで納得できないと思う。お父さんは常に楽しそうな雰囲気を振りまく人だ。
その日の体術の修行を終えたあと、お母さんに魔法を教えてもらう。
「とりあえず詠唱をしてみたあと、魔力を指の先から放出してみな。」
『我が手に火を、ファイア』
しかし、何も起こらなかった。
「しっかりとイメージして。母さんがやってみるから、それをよく見てもう一回。」
『我が手に火を、ファイア』
こんな調子で、教えてもらった。
1日後
いつもどおりの日常が待っていると思っていた。だが、大変な問題が発生した。俺がいじめられ始めた。理由は簡単だ。俺の固有スキルが弱すぎるからだ。
「おい!テル!修行しようぜ!」
なんだか聞いたことのあるフレーズだが、これには触れないでおこう。
「んん?いいよ。急にどうしたん?」
その時はまだ、知らなかった。俺を的にして、投石を始めた。びっくりだよね。5歳でいじめられる世界。前世でも幼稚園でいじめられていたけど、ここまでひどくなかった。前世でも、今世でもいじめられるって、、、俺はいじめられる性質なのかな?
「なにしてんの!?やめなよ!」
救世主、エマの登場だ!すごく嬉しかった。
前世でいじめられていた時は、誰も助けてくれなかった。逃げることでやり過ごしていた。
「ごめんなさい」
エマは賢者だから、あいつらよりも強いから、従って、俺に謝ってくる。俺はしっている。こう言っているのは、今だけであり、次からは誰の目からもとまらないところでやられ始めるというのがオチだ。前世で2回ほどいじめを受けていたが、その両方とも叱られたあとは、裏でやられ始めるだけだ。だが、もういじめられるのはゴメンだ。俺は新しい自分になる予定なんだ。ここで単純に「いいよ」なんて答えない。
「わかった。今回は許す。けど、次やったら後悔させてやるからな。帰ったら親に報告して、親を連れて俺の家まで謝りにこい。」
ここで、許さないという選択は絶対にしてはいけない。前世で俺がイジメられているとき、先生がいじめっ子を叱ったあと、先生は、いじめっ子に謝らせた。普段は許してたんだが、1度だけ許さないって答えたんだ。そのあと、なぜか先生は俺に「許しなさい。」って俺に叱った。おかしくね?なんで?いじめられてんの知ってんだろ?なんで許さないといけねえんだよ。けど、人とはそういうものだ。自分の知っている範囲だけでしか判断を下さない。
おっと、幼稚園の先生への怒りが爆発してしまった。
話を戻そう。なんだっけ。エマは天使って話だっけ?もうよく覚えてないや。その日、いじめっ子たちが謝りに来ることはなかった。
少し生意気が過ぎたかな?
俺はそれから友達と遊ぶことが無くなった。前世と同じく、逃げたわけだ。結局異世界転生しても、俺は俺であり、変わることはできないみたいだ。たまにエマが相手してくれるもからいいもん。
これからは修行に時間を費やすだけだ。
やっぱり俺の自制心では、修行をし続けるというのはできなかった。
最低限のことはしているけれど、最低限しかしていない。分かっている。自分が今、やるべきことがあるけど、それをやらずにサボっていることはわかっている。
けれども、サボっても友達と遊べないわけで、エマも貴族だから忙しいから遊べない。じゃあ、サボって何をするのか?
固有スキルの可能性の模索だ。
俺は、やっぱり固有スキルが強すぎて異世界生活も余裕です。みたいなこと言いたい。
そんな夢をみたいたいんだ。
未だにEPはたまらない。何をすればたまらんだろうね?
とりあえず、前やったように、木の棒をだす。折ると、修復のためにMPが消費されることがわかっている。
じゃあ、燃やしたらどうなるんだろう?
とりあえず外に出て、覚えたてのファイアで木の棒に点火する。
すると、3分ほどでMPを1消費して、燃えて無くなることなく燃え続けている。というか、火が下にこない。
俺は、どうやら長く燃やせる松明を手に入れたみたいだ。この燃やした木なら、魔物にも対抗することができそうだ。
新しくまた木の棒を出そうとすると、燃やしていた木がなくなって、新しい木の棒が出てきた。どうやら、出現させられる数は、1本だけみたいだ。次にやる実験は、この木の棒から離れてもこの棒は消えないのかについてである。なくなれば、投げることすらできないことになる。とりあえず木の棒を立てて、そのまま遠くへ歩いてみる。が、どこまで行っても消えなかった。何か範囲があるわけではないみたいだ。だからといって何ができるとか、何か思いついたわけではない。木の棒なんか投げても石より弱いからね。
とりあえず、俺の武器創装の最強の使い方は、ファイアで点火して、殴ったり投げたりせるのが強そうだ。ハ○ーイハワ○イ!
防具の方も確認してみよう。
まず、このどう考えても服なこいつを破ってみようと思う。
が、子どもの腕力で成せる技じゃないので、諦めた。
次に、脱いでみる。が、特に何も起こらない。木につるして、遠くまで歩いてみた。
何も起こらない。
離れたまま、新しい服を出そうとしてみた。すると、やはり木に吊るしていた方の服はMPに還元されて、また新しい服を装着した状態で生成した。
最後に、脱いでから燃やしてみた。
3分毎にMPを2ポイント使って燃え続けた。なくならない。
まあ、防具が燃やせても何もいいことない気がするけど。
防具の方は本当にゴミクズスキルっぽいな。
少し残念だ。
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