第16話
久しぶりにエマと話している。
いやぁ、懐かしい。
少し背が伸びたかな?俺も伸びてるから分からないな。
残念ながら俺はギャグセンスが無いので、面白い話はしていない。
そこで、俺は聞き手に徹することにした。
へ〜、そうなんだ!
凄え!
とか、そんな風に返事を変えて話を聞く。
ただそれだけだ。
しかし、ふーん。としか返さないようなやつに、話すより、自分の話を興味を持って聞いてくれる人の方が好印象だ。
これは確信を持って言える。
理由は、俺ならそうして欲しいからだ。
ちなみに、ラインは同郷の子と話しにいった。
ん?あ、オリガが入ってきた。
「おーい、オリガ〜!」
オリガはこっちに気づいたようで、こちらに来る。
「テルさん、おはようございます!同じクラスですね!」
「そりゃそうだろ。だってお前、順位俺と同じじゃん。」
「まぁ、実技でやったことが全く同じだったんでしょうね。試験でファイアボール無詠唱をやったんじゃないですか?」
「うん。その通り。いやー、助かったよ。」
「いえいえ!私を守ってくれたお礼です!」
「私をって、、、まぁ、あながち間違いじゃないか。」
「エマ、紹介するよ。彼女はオリガ。手紙で知ってると思うけど、ウォルト村に邪竜攻めてきたときに助けた子だよ。」
「へ〜、よろしくね。オリガちゃん。」
「はい!よろしくお願いします!」
オリガなんかいいことあったのかな。気分が良さそうだな。
エルフの先生が入ってきた。
「新入生のみなさん、おはようございます。
入学式がありますので、体育館に行きますので、ついてきてください。」
クラスの生徒は本当に凄い量いる。なので、出席番号順に並べるとかそういうことはないみたいだ。
入学式が始まる。
校長が長々と何か話してるが、聞く気も起こらないので、他のことを考えている。
俺は、先生の人数が多いことに気がついた。
流石に100人くらいの人を1人で見るような無茶はしないみたいだ。少し安心。
ようやく話が終わったみたいだ。
また教室に戻る。
オリエンテーションに入る。
「皆さんは、この学校で勉強したり、訓練したりしてもらいます。どちらも将来使うことなので、授業は真面目に受けてくださいね。」
そうなのだ。この世界では、命が軽い。人はよく死ぬ。なぜなら、盗賊や魔物がいっぱいいるからだ。
この世界で弱い人は早死にするのだ。
だからこそ、こうして集められ、学習する。
「せっかくですので、皆さんに自己紹介をしてもらいましょうか。
私が見本になりますので、私の後からそっちの席に座っている人から続いて言ってください。
私は、ニーナ シャーレです。
得意魔法は風系統です。これから皆さんの担任として、全ての教科を担当しますので、気軽に話しかけてくださいね。」
どんどん続いていく。
このクラス、圧倒的に貴族が多い。そして、半分以上がヒト属以外の種族だ。
おれ、初めてエルフみたよ、、、
まだ9〜10歳なのに、整った顔立ちをしている。
俺はふつうに自己紹介した。邪竜撃退したとか言ったら怖がられそうで怖い。
エマも特になにも言わない。賢者だ!とか自慢してない。まず、みんなエマが賢者だってこと知ってるのだろうか?そこから疑問だ。
みんな自己紹介をし終えた。ケインは予想通り勇者であることを明かしていた。
それに、高位の貴族には、家柄までわざわざ言う奴までいた。
お前ら、それ、自分の力じゃないからな?
そう言ってやりたい。
100人全員の自己紹介が終わった。覚えてられるかこんな量!無理に決まってんだろ!
「では、今日は解散とします。」
ようやく終わった。つまらないもんだな。
そらそうだな。校長の話聞いたあと、自己紹介をされただけだからな。
「エマ、俺はこれから冒険者登録してくるんだけど、お前はどうする?」
「じゃあ、私も行こうかな。」
「僕も行くよ。」
「私も行きます!」
ラインとオリガも混ざってきた。
「じゃあみんなで行くか!」
一つの街とすら言えるような学校から出てすぐのところに、冒険者ギルドはある。
王都のギルドはめっちゃでかい。受付だけで2階分、その上には3階分くらいレストランが設けられているらしい。
「おおお!すげえでかい建物だなぁ。横の面積もすごい!ワクワクしてきた!」
「ほんとですね!私たち田舎者はこんな建物なかなか見ないですからね!」
オリガも肯定してくれる。同じ田舎者だからな。俺は前世ではもっとデカくて高い建物ばかり見てきたわけだが。
「じゃ、行こうか。」
中に入ると、想像してた通りの光景だ。少しイメージが違ったのは、割と生徒も多いことだ。
あと、予想以上に受付多い。1階にも2階にも受け付けカウンターがある。そして、壁には依頼でいっぱいになっていて、群がるようにたくさんの冒険者が見ている。
筋骨隆々とした男性から、フードを深くかぶった女性までいろんな人がいる。
冒険者ギルドでよくある絡まれる的な展開はなさそうだな。
なんて思ってた時期が私にもありました。
「おい!これは俺が先に取ろうとした依頼だぞ!」
「はぁ?俺が先だっただろうが。だいたい、お前みたいなひょろひょろがオークなんか狩れるわけねぇだろうが。譲れや。」
うーわ、あのムキムキのあいつ、キレた時の俺とほぼ同じ口調なんだけど。
恥ずかしい。
「あれ、止める?」
「いや、触らぬバカに祟りなしだ。あんなのどこ吹く風。俺たちは登録に来たんだから、首は突っ込まないでおこう。」
俺はそう言ってエマをとめる。
あれは、ふつうにケンカだ。俺はイジメは止めるが、ケンカは止めないでいいと思っている。
「オイ!問題起こすんじゃねぇよ。馬鹿どもが!」
ムキムキおじいちゃんが怒鳴ると、すぐにそいつらは喧嘩をやめた。
このおじいちゃん、できる!
まぁ、俺はガン無視で受付に行くけどね。
うーん、どの子が一番美人かな?
あ、獣人だ。あの子のところに行こう。
「あの、冒険者登録をしにきました。」
「学園の生徒さんですね?ここに、必要事項を記入してください。」
名前と職業しか書く欄がない件。
「はい、書けました。」
練習しててよかった、この世界の文字。
「では、このカードに魔力を流してください。」
カードに魔力を流すと、カードの色が白から青に変わった。
「それでは、こちらで手続きを進めますので、少々お待ちください。」
獣人可愛いです。マジ眼福です。
「登録が完了しました。ギルドの説明が必要ですか?」
「はい。お願いします。」
「このギルドは、S〜Gランクに分かれており、Sに近くなればなるほど難しい依頼を受けられます。
自分のランクと同じ難易度の依頼を5回連続で達成すると、1つずつBまでは上がれます。それ以上は、何かしらの称号が必要になります。一番身近なのは、村の英雄ですね。
現在のSランク冒険者の数は世界で6人だけです。
依頼に失敗すると、賠償金が発生します。
難しすぎる依頼を受け続けると、破綻してしまう可能性がございますので、お気をつけくださいね。」
「わかりました。ありがとうございます!」
みんな冒険者登録が終わったみたいだ。
「なんか依頼受けとく?」
「じゃあ、薬草とるやつでもやろうよ。」
「それは良いですね!」
「あった。僕が受けてくるよ。」
「あ、待って。よかったらこの4人でパーティ登録しとかない?そうすれば、ランクも上がりやすいと思うんだけど。」
「賛成!」
俺たちはパーティ登録をして、薬草取りに出かけた。