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帝都での穏やかな日々

 リューネブルク伯爵家の養子となり、学院へと通うことになったマクリル。


 そのマクリルを追うように、リューネブルク伯の元に移ってきたのが世話役のアーベルと、乳母であったレナータ。


 そしてユーディンとサティエ、ティティエの姉妹。


 さらにディルクに仕えていたカミルも、移ってきていた。


 ブルノ男爵バルトルトは、自分の領地へと戻っており、またディルクは帝都に残っている。


 ディルクが残ったのは、マクリルのことだけでなく、皇帝の内政相談役となったのである。


 名誉職ではあるが、老齢のディルクに頼らなければならないほど、帝国の内政が抱える問題が多いことの証左とも言える。


 そしてマクリルはというと、忙しい日々を送っていた。


 日中は学院へ通い、帰宅後はユーディン、サティエ、ティティエと馬術と騎乗戦闘技術の訓練。


 夜にはリューネブルク伯オットーによる、外交交渉術の講義。


 実のところ、オットーは外交交渉術の講義はまだ早いと考えていた。

 年齢的にも、そして現在のマクリルの詰め込まれたスケジュール的にも。


 なにせ、これらのスケジュールをこなすだけでなく、時には皇宮へと出仕してヒルデガルド皇女の元へ行くのだ。


 流石に幼いマクリルにそこまでするのは、厳しすぎる。


 だが、当のマクリルは自分から講義を強請(ねだ)っていた。


 マクリルの吸収力は凄まじく、まさに乾いた砂が水を吸い込むように、様々なことを吸収していった。


 そして、いつしかオットーもマクリルに教え込む楽しさからか、次々と講義を進めていくのだった。






 ☆ ☆ ☆






 マクリルが皇宮へと足を運ぶ。


 すると、この少年を出迎えた者たちは皆、この後のことを想像し、微笑を浮かべて案内をする。


 扉を開けてこの少年を迎え入れると、それを目ざとく見つけた小さな皇女様は、とびっきりの笑顔で一目散に少年の元に駆け寄る。


 それは、たとえその直前にとても不機嫌であったとしても、変わらない。


「マクリル!どうして昨日は来なかったの?

 私、とっても寂しかったんだから!」


 一応、頰を膨らませて怒っている風を装っているが、その口調も表情も明るい。


「ごめんね、ヒルダ。」


 そう謝るマクリルに、


「でも、今日来てくれたから、許してあげる。」


 そう言って笑顔を向ける。


 そんな様子を見て、


「まるで新婚夫婦みたいね。」


 そう笑うのはイレアナ皇后。

 それは、この場にいるほとんどの者の感想であり、幼い二人を微笑ましく見ている。


「ご挨拶が遅れて申し訳ありません、皇后陛下。」


 マクリルはイレアナ皇后に気づくと、すぐに挨拶の口上を述べる。


「よろしいのですよ、マクリル。

 なにせ、貴方が来てくれるだけでヒルダの機嫌がとても良くなるのですから。」


 イレアナ皇后は笑いながらそう答える。


「マクリルは、ヒルダの許嫁(いいなづけ)なの!だから、もっと来なくちゃダメ!」


 許嫁という言葉の意味は理解していなくても、マクリルを独占する権利だとは理解しているらしい。


「わかったよヒルダ。出来るだけ来られるようにするから。」


 マクリルはそう言ってヒルダの頭を撫でる。


「約束だからね!」


 ニコニコと笑顔で言うヒルダ。


 そんな様子を微笑を浮かべながら見ている、周囲の人々。


 忙しいながらも、マクリルは穏やかな日々を過ごしていた。


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