超短編小説「夕日とビー玉」 No58
オレンジの空のもと、私は南の窓辺でビー玉をコロコロ転がして遊んでいた。
本当に他にすることがなかったし、それは初めのうちは結構楽しかった。それに…正直やめ時が分からなかったのだ。
私が窓からの赤い光で一部型どられたステージで、それぞれ思い思いの色を乱反射するビー玉を転がしたり、ときにはぶつけたりしていた。
ビー玉がピシッという音で他のビー玉とぶつかった音と重なって、不意に玄関のチャイムが鳴る。
一応ルールも作って対戦していたのだけれど、どうせどっちが勝っても私の勝ちなのだ。
私が配達員さんと別れて部屋に戻ると、なんだか部屋の様子がおかしい。
なんだか、もえるような真っ赤っかに染まっているのだ。
しかも床がカラフルに波打っている。
私はすっかりあ然としてしまったが、その景色夕日の傾きと共に、本当にすぐに消えてしまった。
私はゆっくり座ると、後に残された夕空と、窓辺のビー玉をもて遊んだ。
またさっきのような瞬間が私を訪ねてくれるだろうか?
今度はしっかりおもてなししたいな。