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―予告―
それは一人の男の、その《魂》を捨ててでも得たい《願望》。
それは一柱の《悪魔》の、その血に対する《執着と憂い》。
夏休みを目前にした綾里高校二年C組の教室に現れた《それ》は、嘘まみれの笑顔で官舎ひづりに過剰な干渉を開始する。
全ては《願望》のために。全ては《執着と憂い》のために。
三ヶ月前、そこに《死》を落とした張本人が、官舎ひづりの肌に触れる。言葉を交わす。
嘘まみれの言葉の中に一つだけ、真実の《答え》をちらつかせて――。
―和菓子屋たぬきつね 第2期―
第1話 『君はラウラという一人の転校生だった』