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─予告─
人と《それ以外の者》。失ったそれぞれの心に偶然嵌ってしまった、温かで歪な奇跡の繋がり。
互いを支え続けて来た一家と、そんな一家を憂う、一人のひねくれた少女。
九月。ちよこの怪我が完治し、無事営業が再開された《和菓子屋たぬきつね》。そこへ以前から不足していたフロアの人手を補ってくれる、二人の若い働き手が現れる。どちらもひづりの知人である彼女らを、ちよこは文句も無く採用する。
手中に新たな可愛らしい少女を二人も得た! とちよこははしゃぎ喜ぶが、しかしそれは重なった因果に依る必然の連鎖であり、そして二人の少女が胸の内に秘めたものは、彼方より《人間界》を見下ろす悪意の瞳によって利用され、ひづり達の日々を再び惨劇の結末へと導くための《撒き餌》として放られたものだった――。
彼女は、他人だと思えないから心配になる。
彼は、己を騙したからこそ、騙した全てを背負うと決めた。
だから《彼女達》はそれに応えるだけなのだ。
─和菓子屋たぬきつね 第3期─
『勇者に捧げる咆哮』