6灯 男?の闘い
「「「うぉぉおおお!!」」」
とある酒場にて客達の喚声と拍手が始まる。
ヤクは酒場の急な盛り上がりでさらに困惑を強める。
その表情を見据えたオーナーはヤクに
優しく声をかける。
「可愛いお嬢ちゃん。
どうだい、あんたも見に行くかい?」
「……見に行くって何を?」
俺はオーナーの言っていることが分からない。
何を見ろってんだ?
「決まってんだろ? あの二人の闘いさ!
ほら、酒場の客達も今か今かとワクワクしてるだろ?
なぁに、タダだから気にせんでええで?」
確かに気になるッ!
***
~酒場地下戦闘リングにて~
審判台に堂々と立つオーナーにより
それは始まった。
「さぁ、本日の地下バトルに観戦しに来た
お客様、ご来場ありがとうございまーす!
司会はこの私が担当いたします!
ではーっ……レッツファイトォオ!」
ーーキンッ
試合のベルが瞬時に地下会場内に響く。
それにつられて観戦者らも興奮を抑えきれずまたまた喚声をあげる。
「「「うォオおおおお!!」」」
喚声は涼しい地下に熱気を溢れさせる。
まさに、酒場って感じだ。
リング内ではすでに二人の闘いの火蓋がきられていた。
「梅酒返せこらぁあ!」
ドクロ仮面の男は怒りの咆哮と拳を
男にぶつける。
直後、ぐわんという鉄にへこみが出来上がりそうな鈍い音が会場を包む。
そう、男は真正面から顔面にその拳を受けたのだ。
しかも男は一切その攻撃を避ける素振りを見せなかった。
いや、あえて受けたようにしか見えない。
男の行為に俺を含む観客らは思わず固唾を飲む。
あんな攻撃を直撃で受けるなんて狂っている。
……そうとしか思えないのだ。
しかし、男は何事もなかったかのように口を開く。
「これで満足か? もういいだろ?
俺の敗けだ、ほら、金。」
男はドクロ仮面男の掌に大金を
忍ばせる。
賄賂だ。しかも、とても平和な解決策。
どうやらこの男は悪い人ではないらしい。
だが、仮面の男からは冷や汗が滴り落ちる。
全くもってこの男の目的が理解出来ない様子だ。
顔面崩壊レベルの攻撃を直撃してもなお
温厚な表情を崩さずに賄賂を要求するのだ。
これは、明らかにおかしい。
ドクロ仮面の男は警戒気味に訪ねる。
「てめぇ、何が目的だ。」
「仲直りと勧誘。
君は強いのがわかった。だから仲間になってくれ。
そして……」
ーーチラッ
男は爽やかな表情を浮かべて、俺の方へと顔を向ける。
そして、笑顔で口を開く。
「そこの嬢ちゃんも仲間になってくれ!」
「は?」