66灯 親友の頼み
<TOKISDEO・RADIO>
「どうも、私、TSO宣伝部のゾン・クラヴィラです。
今回も前回のおさらいあらすじしていきましょう。」
A1:ヤクの昔話。
A2:クソ雑魚底辺作家連続投稿は残り9日!
ある小学校のとある朝。
俺は訳も分からずただ首襟を掴みあげられる人形と化していた。
不良少女はポケットから何かを取りだして俺に見せる。
赤い装飾が施された手鏡、これは……!?
「……まさか、光ちゃんか?」
「そうだよ! やっと思い出してくれたか!」
ーーパチンッ!
「はーい、もう時間が無いんで太陽寺さんの自己紹介時間はこれで終わりにします。
生徒の皆さんは1時間目の授業準備をすぐしなさい。
あと太陽寺さんは態度気を付けてね。あとそこの席ね。」
ーーガラガラガラ……がしゃんっ!
なんて適当な教師なんだ、時間がないからって投げやりで退室すんのかよ。
もっといい他のやり方あったろ。ま、いっか。
***
……。
…………。
なんだかんだあって、時はお昼時。給食の時間だ。
「今日の給食最高だな。」
「ヤク、しらばっくれないでくれ。」
「ーーぎょえっ!」
「何変な反応してんだよ。僕は怪物か何かか?
これでもお前の親友だぞ。」
「だって、お前がハーレム晩餐を止める時ってだいだい大事な時じゃねぇか!」
彼は納得してため息をつく。
「太陽寺は僕がハーレム晩餐の空席を用意したのに来てくれなかった。もちろん誘った。
だけど、今はヤクの隣で机を密着させて食事をしてる始末だ。」
「で?」
「ヤク、二度も言わせるな。
単刀直入に言う。ヤクは太陽寺の何なんだ?」
マジすか、イキナリそれ聞いちゃいます?
今朝あんな事があったから知りたくのは分かる。
10分休憩中にクラスの男共にも聞かれた。
本日でこの質問何度目だよ、ちくしょう。
「俺が現在進行形で絶賛片想い中の幼馴染みだ。」
「ヤク、お前は想い人をそんな簡単に忘れるのか?」
「だからあれは違うって! 6年前とは姿が全然違うんだよ、一瞬で理解しろってのが無理難題なんだよ!」
流石俺の親友、俺の熱弁に納得してくれたみたいだ。
「……そうか、すまない。ヤクはただの幼馴染みか。
急で悪いが親友として頼みがある!」
彼は両の掌を繋いでお願いする。
こんな真面目に頼まれちゃ断ろうにも断れない。
これは俺の悪い癖だ。
「っしゃーねぇ、親友の本気の願いだ。頼まれたぜ。」
***
……。
…………。
気がつけば放課後まで時刻はまわっていた。
俺はある二人を木の影から覗き、見守る。
本当はこういうことはしたくない。
彼は誰もが認めるイケメンだ、心も身体も。
だから、この告白はほぼ確実に成功するだろう。
え? 何で太陽寺大好き野郎の俺がこんな最悪なリア充作成に貢献してるかって?
あぁ、俺でも分かってるさ。
こんなしょうもない自己犠牲がただの偽善ってこと。
でもな、その方がきっと光ちゃんも幸せになれるんだよ。
アイツは絶対そうしてくれる。
俺が親友と5年間付き合って見つけ出した。
……これが俺の答えだ!




