5灯 酒場には気を付けな!
~Tsoゲーム内、とある酒場にて~
ーーチャリン
酒場の店内に鈴の音が涼しげになる。
この鈴は店内の入口に設置されたものである。
この鈴が鳴ったということは客の来店を意味する。
店のオーナーも一時、カクテルシェイクを
中断してお客を出迎える。
「いらっしゃいませ!」
お客は軽くオーナーに礼をして座席へと付いた。
「おぉ、仮面の兄貴この店初めてかい?」
客の男はうんと頷く。
その表情はドクロの仮面のせいでよく見えないが
初めての酒場に興奮の表情になっているに違いない。
「マスター、ここで一番上手い梅酒くれ。」
「おうよっ!」
オーナーは慣れた手つきで先程作り途中のカクテルを
完成させてそれをテーブルに滑らせて客にパスする。
客もそれをわかっていたかのように受け取る。
そして、次の作業に移る。
後ろの引き出しから見るからに高そうな梅酒を取りだし計量、シェイカーに梅酒と特製の酒を入れてシェイクを始める。
シェイクの美しさに見とれていると、一瞬で注文の品が出来上がり。
仮面の男の手前にスッと置いて一息つくオーナー。
オーナーの表情は一仕事終えた職人の貫禄が現れていた。
仮面の男はすぐさま手前の品に目を向けるが。
「……ない? おい、マスター?
どうゆうことだ!」
ーーカランッ
「ーー?」
仮面の男は氷の音がなる方へと目を向けた。
すると、自分の注文した梅酒を堪能してる男が一人。
この時、仮面の男は気づいた。
「おい! オーナー!
アイツ俺の酒を奪ったぞ!?」
ーーバンッ
仮面の男は何もしないオーナーに怒りを
ぶつけるようにテーブルを叩いた。
だが、オーナーは冷静な表情で嗤って応えた。
「ふぅ、これだから初めての客は……
仮面の兄貴、これはこの酒場のルールだ。
今兄貴が座ってるところは
バトルテーブルというテーブルなんだ。
出た酒は取ったもん勝ち、そこに善悪はない。」
「はぁ?」
ーーチャリン
「いらっしゃい! ……ってここは女の子が
くるところじゃないぞ!」
あっ、もしかして俺、ギルドと酒場間違えた。
「無視すんじゃねぇ!」
ーーシュンッ
仮面の男はオーナーに拳を振るったがあっさりとかわされる。
それを見たヤクは今すぐにでも逃げたくなったが腰が震えて逃げることさえも出来ない。
なにこれ?
なんでいきなり酒場で争い起きてるの?
怖いよ、恐いよなんだよあの仮面の男は!
「まぁ、落ち着いて下せぇ仮面の兄貴。
取り戻す方法、ありまっせ!」
「今すぐ教えろ!」
「奪った人に決闘を申し込んで下さい。
そして、そこの階段を下ってリング内で
待機して下さい。奪った人と一緒にね。」
「わかった。」
オーナーが何を伝えたかわからないが
とりあえず仮面の男の暴走が収まった。
そして、仮面の男と隣の客が地下室の階段へ降りていった。