55灯 世界一の殺し屋
<TOKISDEO・RADIO>
「どうも、私TSO宣伝部のゾン・クラヴィラです。
今回もおさらいあらすじしていきましょう。」
A1:会長が過去視の灯素石を使用した。
A2:クソ雑魚底辺作家50日連続投稿期間中
ブラックアウトした意識から、また意識がハッキリとした。
黒くて何もない空間に拙者は突っ立っていた。
床もないのに。
そして、目の前に急に謎のブルーウィンドウが現れる。
それぞれの記憶に題名と視聴時間、サムネイルが表示されており、選択式で人の過去が見れるようになっているで候。
指スクロールで上下に記憶が辿れ、下にいけばいくほど過去の記憶になっていく。
某動画視聴アプリにそっくりだ。
その中で目を引くの題名は……
[project:Dragoon]
[ツナミを葬る]
ツナミとは拙者の母上の名前で候。
一体カエデと母上、どんな関係があるか知りたいで候。
でもその前に、[project:Dragoon]が頭から離れない。
よし、こっちを先に見るで候。
***
[project:Dragoonーー<open>]
カエデの記憶[project:Dragoon]にて。
カレンダーは3/2、母親が実験をすると言った翌日の朝で候。
幼女の拙者が元気に家族に挨拶を交えて家を出る。
時間から察するに登校で候。
あれ、なんか母上が白衣に着替えたで候
って父上も!
「ごめんね貴方、仕事を放棄させて。」
母上は申し訳なさそうに父上に謝る。
そして、頭を下げる母上の肩をトンと父上は優しく叩く。
「気にするな、妻のお願い事を聞くってのも父親の勤めだ。
その分、しっかりとナミを一人前にしてくれよ。
そうだなー、例えば皆を引っ張ってくれる生徒会長とか!」
「ええ、ナミは貴方が思っている以上に立派に育てて見せるわ。」
互いに笑顔を見せあって、二人の夫婦はニコニコと家を出た。
本当にこの家族に生まれて良かったで候。
この会話からでも父上が拙者に愛情を持っているということが分かるから。
***
場所は変わり。
母上と父上は地下深くにある機密研究所にて歩いていた。
二人を出迎えるのはその施設の研究員や護衛ではなく竜の翼や尻尾、角を生やした目が虚ろと化した幼女達だ。
一体ここは何をしているところなのだろうか?
そんな拙者の考えにタイミングよく父上が口を開く。
「おい、コイツら何なんだ。」
「あー、この娘達。どう? メイド服が似合ってて可愛いでしょう。」
「そうゆう事を聞いてるんじゃない。」
「はぁ、やっぱり【世界一の殺し屋】の目は誤魔化せないのね。」
「当たり前だ。」
「いいわ、答えてあげる。
彼女らはproject:Dragoonの被験者であり『失敗作』。今では私に従う感情を持たない人形よ。」
「ツナミ、こんな事が許されると思っているか?」
父上は言葉と共に殺気を露にする。
見てるこっちまで胴震いしてしまう程の恐ろしく強大な殺気。
拙者は父上、いや彼が世界一の殺し屋である事を否応なしに認めてしまうのであった。




