53灯 夢の中の受動形
<TOKISDEO・RADIO>
「どうも、私TSO宣伝部のゾン・クラヴィラです。
今回も前回のおさらいあらすじしていきましょう。」
A1:物語は会長の過去の夢の中へ……
A2:クソ雑魚底辺作家50日連続投稿期間中
まだ会長の夢は続く。
あの会話を母さんとしてから一週間後、お父さんが家に帰ることは無かった。
でも、寂しくはなかった。
ヤク君、ヒカリちゃんが明るく接して気をまぎらわせてくれたから。
あと、新しい友達が出来た。
女の子みたいな容姿をしてるけど男の子だ。
名前はカエデ。とても面白いお友だち。
カエデ君はは私にやけに世話を焼いてくれる。
友達だから世話を焼くのは当然だと言うけど、ヤク君やヒカリちゃんより積極的だ。
拙者……いや、私の事が好きなのかな。
気になったのである日カエデ君に聞いてみた。
「ねぇ? カエデ君は私の事が好きなの?」
「好きだ。」
その好きという言葉には恋愛感情が含まれていない気がした。
***
そんなもやもやを抱えて帰宅した私は、お父さんの行方について母さんに聞いてみる。
あの答えを知るために。
「ねぇ? 結局お父さんは私の事を愛してるの?」
「愛してるわよ、母親の私より何倍も。
それはもう比べ物にならないくらい。」
「母さんは?」
「嫌われた、こんな事本当はやるべきじゃなかった。
素直に聞けばそれで終わっていたのにね。
もうこれは許されないんだろうな。
あーあ、私って本当にバカな母親。」
「母さん……」
母さんの声は震えていた。
ポツポツと落ちる涙の音が床から微かに聞こえた。
「……でもね、お父さんはいつもそばで貴方を見守っているわ。」
「お父さんは死んだの?」
「死んだと言えば死んだ。
死んでないといったら死んでない。その両方よ。」
「さ! こんな暗い話は終わりにしましょう!
明日はナミ、貴方の誕生日なんだから!
お友だちを誘ってわいわいしましょ!」
「うん!」
急に話を変える母さんに少し驚きつつも私は明日の誕生日パーティーに気持ちを切り替えた。
その翌日の放課後。
私は誕生日の祝いにカエデ君を誘う。
「ヤク君もヒカリちゃんも私の誕生日パーティー来るんだって! どう? カエデ君も来る?」
「嫌だ。」
「何で? ケーキは美味しいよ?」
「嫌だ。」
「私の事が嫌いなの?」
「ナミの事は好きだ、だが、これとそれは別だ。」
「もしかして、私のお母さん?」
「あぁそうだよ! わかったんならこの話はヤメだ!」
カエデ君は珍しく怒っていた。
でも、いつもの怒りより深い怒り。
私はその時、カエデ君の弱みを握った気がした。
私は未だにその理由を知らないまま、夢から覚めた。