3灯 お約束
「……、長ぇよ。」
期待して読んでたらなんだよコレ?
説明長すぎだろ!
危うく寝落ちするところだったぜ☆
こういう時は風呂に入って気分転換だ!
***
ーチャプンー
「はふぃ~ん! 気持ちいい~!」
いい湯加減だ。
俺は浴室のガラリと空いた窓から、
ゆったりと夜空を見渡す。
今日は星も月も俺を祝うかのように煌めいてやがる。
特に、牡牛座の星座は俺の目を引いた。
俺に何かを訴えるように輝くその様は実に面白く、儚い。
空に舞う、美しき花魁の如し夜景につい、頬が緩む。
「ふは、はーっはっはぁあ!」
「うるせーぞ、馬鹿息子ォオ!」
「さーせん!」
どうやら次はオヤジが風呂のターンらしい。
そんな訳で俺はオヤジに風呂タイムを譲ることにした。
***
~自室にて~
ーーバフォンーー
自室に戻った俺は風呂によって癒された身体を
ベットに倒して独り言で盛り上がる。
「いゃ~、運営マジ神っすわ!
ネカマ化、ネナベ化が強制。
しかもそれが公式仕様なんだぜ!」
っつーことはネカマしても、差別行為を受けない。
だってみんなネカマかネナベだし。
バレずにネカマ歴5年通した俺が求めていた
神仕様なんだよ!
さーて、始めるとしたら……
種族はライペン族にしよっかな!
ケモナーの俺にはぴったりだ。
冒険家職業はそうだな、槍を振り回したいから
勇戦騎にしよう。
よし! 決まったぜ☆
レッツ、装着!
ーーガチャッーー
あれ? 暗闇?
そうか、これからアバター設定が始まるのか。
[正解です、私はこのゲームの設定音声ナビです。]
「おわわーっ! 声が直接脳内来たーーッ!」
よし! ちゃちゃっと設定だ。
***
[種族は、聖獣族の白猫科。
金髪碧眼、容姿年齢は17、アンダーヘアー無し。
スリーサイズは……なるほどいいバランスです。
アバター設定色々見てきましたがまさかこの短時間で
ここまでの美少女をつくるなんて!
あなた、かなりネカマやってますね!
何? 男を公園に誘いたいの♂
野獣なの? 先輩なの?
聖獣だけに?
ぷぷ~っ!
…………こほんっ。
これで宜しいですか?]
「あぁ!」
おい、誰だこんなにウザいナビ作ったやつ。
ネカマ強制されてんのに初っぱなから
ネカマいじめ始まってるんですけど?
ナビが全力で煽りに来てるんですけど?
もう、俺のHp0だよ。
あっれれ~? おかしいぞぉ?
目から汗が出てる気がする。
……あぁ、そうか。
やっぱり「神ゲー」なんてなかったんや……
っつーわけで、俺、このゲーム引退するわ。
ーー完ーー
[ちょーっと、待って。
勝手にエンディング迎えないでくれます?
私が悪かった、すいませんでした!
何でもするから引退だけは勘弁してください!]
「ん? 今、何でもするって?」
[くっ! はめましたね!]
「いや、お前が自分から自爆しただけだろ。
ま、引退の件は……
お前のガッツに免じて引き下がってやろう。
だが、俺の『何でも』に付き合え。約束だ。」