31灯 三途の川は河川敷でした
<TOKISDEO・RADIO>
「どうも、私TSO宣伝部のゾン・クラヴィラです。
今回も前回のおさらいあらすじしていきましょう。」
A1:サンライトvsグローヴン
A2:クソ雑魚底辺作家50日連続投稿期間中
メスカル帝国王宮宮廷第2フロアにて。
サンライトの言葉に気づいたグローヴンは驚きを隠せずに振り向く。
「てめぇ……あばら骨粉砕してもまだ立てんのかよ?
……あーらら、俺としてはそのまま倒れてた方が嬉しかったんがな。
お前みてえな『才能ある漢』を俺はここで殺したくねぇのに。」
「なぁに寝言言ってやがる? 勝つのはこの俺だ。」
「てめぇ、死に際って自覚あるか?」
「あるさ、今さっきまで『三途の川』に沈んでたからな。」
「ほう、自分で泳ぎ出たのか?」
「いいや、俺一人じゃねえ。」
「じゃあもう一回連れてってやるよ!
――《睦月・豪咲き》!……っ!?」
強力な衝撃波を放つはっけい、技称《睦月》はサンライトの肋を確実に捉える。
一発目より遥かに強力な衝撃波だ。
耳を裂く衝撃音と共にサンライトの後ろの壁から大穴があく。
その大穴から広がるようにヒビが形成される。
サンライトはその技と同時にグローヴンの腕を掴む。
「これで、よけれねぇよな?」
「――ッ!?」
血にまみれたドクロ仮面の奥底から計り知れない殺気が滲み出る。
グローヴンは一度もサンライトに殴られていないにも関わらず死の危険信号を察知。
背筋からゾクッとする感覚が身体を覆う、そして底知れない恐怖に陥り目を瞑ってしまう。
それが敗因になると知らず。
「――カハッ!」
頭に強烈な衝撃が走り、気を失いかける。
朦朧とする意識の中分かるのはサンライトが頭突きをかましたという事のみ。
そして、ぼんやりとした視界の中サンライトが両腕の武器を構え直すのを確認する。
この構えには見覚えがある、俺が和月術で《弥生》よりも《如月》を優先した絶対に受けたくない技。
……《ラッシュ》だ!
だが、それに気付いた時にはもう俺の身体は全体骨折を負って倒れ伏していた。
「……俺の負けか?」
「いいや、引き分けだ。」
サンライトと名乗る侵入者は悔しそうにそう言い残して俺に続いて倒れる。
俺も体が動かせないのでゆっくりと瞼を閉じた。
***
それから時間がかなり進み。
メスカル帝国王宮宮廷第三フロアでは侵入者一同が全員合流を果たした。
デンキは無傷、第三フロアの相手は電熱によって丸焦げと化している。
拙者は血だらけで気絶しているサンライトを背負う。
呼吸音がはっきりとしてきたのでもうすぐでサンライトは目が覚めそうだ。
カエデは謎のポーションをサンライトに躊躇なく使ってくれた。
そのおかげで裂傷や骨折は完治、あとは身体にべっとりとつく血を拭き取るだけでいつも通りのサンライトに戻るで候。
そんな当のカエデはデンキの変化を解いて、小規模のオーロラを発して身体の回復を促す石。
通称、治癒の灯素石で自身を癒しながら一息ついている。
デンキの持っている斧も返却済みで候。
「よぉーし、皆よくぞここまで来れた! 俺様デンキの情報が正しければ上が王室だ。
皆で《月女帝》をリンチ突破して仲間を救おうではないか!」
「「おー!!」」
拙者とカエデはデンキが促した掛け声で気合いを入れ直すのであった。




