19灯 バラバラ
<TOKISDEO・RADIO>
「どうも、TSO宣伝部のゾン・クラヴィラです。
さて、今回もちゃちゃっと前回のあらすじ説明していきます。」
A1:シナムリアギャング第一階層の番人デンキと会長が再び対峙。
A2:会長はカエデ、ヤクを逃がしてソロでデンキに勝つための戦略を練る。
第一階層の奥へ奥へと俺とカエデは足を走らせる。
早く降りれば早く降りるほどサンライトや会長の為になるんだ。
と決意に拳を強く握った背後で、雷の『猛き声』が暴れだす。
……帰ってこいよ会長。
ーープウンッ
「「ーー!?」」
急に足元から効果音が発せられる。
下を見ると謎の文字が記された魔法陣らしきものが光を放つ。
ヤバい、もう手遅れだ。
ーー俺の視界は白に支配された。
***
ん? ここは何処だ?
視界が白から黒に染まり変わる。
「何なんだここは……?」
「よぉ、ヤク。僕もここがよくわからん。嫌な予感がするね。」
ーーカッ
くっ、眩しい!
「ようこそ! 急にライトを照らしてすまない。俺はシナムリアギャングの頭、リュウだ。
君らの目的は知っている。
シナムリア蜂蜜だろう?」
「知ってるならさっさと寄越せ!」
「口が悪いぞ、『project:Dragoon』初の成功例。柔智楓君?
いや、今は楓ちゃんか?」
「ツナミィイイイイイ!」
「あらあら、いいよその表情!
戻ってきてくれたんだね!」
「ーー【竜脈黒線拳】」
カエデは憎悪と怒りを込めた黒き線を唸らせる。
心なしかその線は数や太さがサンライトの時と比べものにならないほど進化している。
黒き線は一斉にリュウへと襲いかかるが……
「ーー【竜脈青舞脚】」
リュウの足は蒼い光を帯びる、その足は複数の黒き線を防ぐ。
黒き線は弾かれて消滅する。
それと同時に強烈な衝撃波が発生し風圧が俺の金髪を吹き飛ばす勢いで迫る。
っておいおい、冗談だろ?
……どうしよう、この戦いついていけないや。
「ツナミ! 何故お前が竜脈を使える?」
「簡単なことさ、俺は竜の民『皇竜』だからだ!」
「……???」
カエデ、そこでトリプル疑問符浮かべないでくれ。
お前が仕上げたシリアス台無しだろうが。
ほら、リュウさんも呆れて溜め息溢してるよ。
「はぁ、カエデちゃん。
見損なったよ、皇竜族も知らないなんてな。
おかげで戦意喪失だ。ほら、やるよ。」
リュウはあっさりと鍵と地図を手渡した。
地図には第三階層シナムリア蜂蜜養蜂場の位置が示されていて親切な事に扉までかかれている。
今貰った鍵はその用途だろう。
「こんなに、あっさりと渡していいのかよ?」
カエデ、俺の代わりに言ってくれて有り難う。
「いいよ、その代わり。
第二階層の番人貰ってくれ。」
「「は?」」
<TOKISDEO・RADIO>
「どうも、もう名前言わなくて良いよね?」
「ゾンさん、私もそう思います。」
「じゃ、ここは浅田さんのお言葉に甘えましょうか。」
「今日の質問は……
何一つ来ませんでした。」
「元日早々忙しくなくて良かったですね。」
「あっそ……。」
「ゾンさん冷たいですね、どうしたんですか。」
「元日なのに休ませてくれない釣野社長に苛立っているだけです。」
「……じゃあゾンさん、今夜は飲みに行きmーー」
「ーーよし、今日も頑張ろう! 気の利く後輩を持てて私は幸福者だ! 今年もドゥンドゥンやろうじゃねえか!」
「気が変わるのはやっ!?
じゃ、その調子であと二日間頑張って下さいね。」
「「今回も我々の茶番に付き合って下さりありがとうございました。」」




