150灯 15年後の君へ(※キタマジ第一部・完結)
〈TOKISDEO •RADIO >
「どうも、獰猛だから今回のラジオに
クソ雑魚底辺作家を登場させる。
どうも私、TSO宣伝部のゾン・クラヴィラです。今年でこのラジオが聴ける……
というよりも、読めるのは最後です。
そんな訳で後は任せます。」
「どうも、任された作者です。
では、最後らしく伝えていきたい事を
伝えてスッキリしたいと思います。
まぁ、後書きでもまだ話しますけども。」
「………。」
「読者様方はこの俺をクソ雑魚底辺作家と知りながらもご愛読してくれた。
読者様方はそんな底辺の俺にも満足のいく
ブクマ数と評価ポイントをくれた。
こ、こんな事、底辺卒業作家に喋っても
分からねーだろうがなァ。
だから、俺だってなんかしなくっちゃあなぁ……
カッコ悪くて完結に行けねーぜ……
ーー俺が最後にみせるのは、代々受け継いだ
未来に託す底辺作家魂だ! 人間の魂だ!
読者様ぁ! 俺の最後のキタマジ一部だぜー!
是非とも最後まで読んで下さいィィイイイイイ!」
「ーーたかしィィイイイイイ!!
という訳で、今回も前回のおさらいあらすじしていきましょう。」
A1:Bブロック終了!
O1:黒鯖リリース記念
連日投稿祭最終日!
O2:本日最終回!
翌日の朝、妖怪祭闘技場。
『さぁぁあお待たせしました
妖怪祭の目玉! そう、準決勝と決勝戦!
盛り上がってるかぁああ!?』
「「「ぉぉおおおお!!!」」」
『ほんとにほんとにほんとに』
「「「ナイロンだぁぁあ!!!」」」
アイドルのライブ会場かサファリパークか
はっきりしろや。
『時間稼ぎはここくらいにしましょう!
では左門からぁ!
前期優勝者と死闘を繰り広げ勝利を収めた
期待の新星リガマカーネ選手!』
ゴゴゴと左門がゆっくりと開く。
『続いて右門から!
不戦勝、奇跡のビクトリーガールのヤク選手!」
地味にディスってねぇか。
『さぁ両者出揃いました!
もうリガマカーネ選手の勝ちは予測出来ますが
戦いを見せてないヤク選手がどれほどの実力か
分からない! どんな戦いを魅せてくれるか
楽しみです! それでは、レッツゴー!』
「久しぶりだな童貞ネカマ豚男。」
「あぁ。」
「遂に時は来た!」
「何の時だ。」
「これが開催するするまでにお前を倒す
訓練は一度も怠らなかった!
そうさ! 今日はお前の『化けの美顔』が
跡形もなくなる記念日!」
「おいおい、随分と口調が男らしくなった
じゃあねーかリガマカーネ。」
「そんな余裕ぶってられるのも今の内だぜ
童貞ネカマ豚男! 生憎イキったネカマ豚は
腐る程狩ってきたんだ!
お前も同じ、ただの童貞ネカマ豚!
お前は所詮、なろう主人公の敗北者じゃけぇ!」
「……それはどうかな?
取り消せよ、今の言葉。」
リガマカーネは槍で突撃した。
やっぱりそう来るよな。
「ーー《帰宅部ステップ》!」
ーースンッ!
「この俺の音速突きを避けただと!?」
「俺をそんじょそこらのネカマ豚と
思わない方がいいぜ。
十の感情生みし奇跡、我が命に応え顕現せよ。
ーー《慈愛たる白槍『ビャッコ』》。」
「ーーくっ! 何故お前如きがそれを!?」
「俺のターン!」
ーーカンッきんっきんっきんっ!
槍と槍がぶつかり合う。
ここは単純に槍術の技量勝負、ビャッコを
ちゃんと槍として使うのは初めて。
むしろ相手の方が上手いのは当然。
だったら俺に出来るのは数で押す安定の
初心者戦法。……でも想像以上に捌かれる!
ーーカンッ!
「おわわっ!?」
しまった、弾かれて距離を取られた!
「く、クハハハハァ!」
「何が面白いリガマカーネ!」
「確かにお前はそんじょそこらのネカマ豚
とは大違いだ。『弱い』という意味でなぁ!
なんだその超絶初心者みたいな槍使いはヨォ?
これぞ正に『豚に真珠』って奴だなぁ!」
「……。」
「もしかしてここに閉じ込められてきて
一年以上も経ってるのにその程度の実力か?
それとも昔流行ったヘイト稼ぎ型勇戦騎か?
でもそれはなぁ、パーティにガデがいたら
お荷物でしかねぇんだよ!」
「そうだな、俺はまだ『お荷物』だ。
だからこそ負けらんねぇし、ここで
あの時の決着を付けて
アンタのしてる間違いをアンタに『証明』しなくっちゃあいけねぇ。」
「はーい、よく言えましたやっきゅん♡」
「「ーー!?」」
ヤクの背後から一瞬で気配が現れる。
『おおーっとここでシャムが乱入!
私でも想定外な結果が今ステージで
起こってます! これは三つ巴でしょうか!』
「それは違うよ審査員。」
『???』
「今回はこの俺シャムが優勝する。
それはもう『決定』したから。」
う……意識が遠のいてく。
ーーバタァン!!
『両者、何の前触れも無く倒れたぁ!
これはシャムの仕業なのでしょうかァ!?』
「他に誰がいるんだよ。」
シャムは握り拳を天に振りかざすように
右腕を挙げる。その姿は正に勝者。
勝者に反発や不満をぶつける者は誰一人も
いない。
『……今年度妖怪祭優勝者は、シャムです!』
***
……。
…………。
ーーアンデット東部国、クログロ邸別荘。
音がする、耳に悪い高い音が。
俺は上半身を起こし辺りを確認する。
音の正体は予想通りやかんだった。
「やっと起きましたかヤクお姉様。」
「おう、ミルノ。」
軽く返事をして時刻を確認する。
20:20、ミルノがしてるのはディナーの準備か。
ちょっと待てよ、時飛んでねぇーか。
確か9:00から二日目の試合が始まって
俺はリガマカーネと戦って。
……まずい、それきり記憶がない。
「なぁミルノ、俺は負けたのか?」
「ヤクお姉様、それは妖怪祭の結果という
解釈でよろしいですか。」
「あぁ。」
「負けました。」
「お前のそういう素直なところ大好きだわ俺。」
「お褒めに預かり光栄でございます。
良かったら今夜私と二人きりdーー」
「ーーそれは遠慮させてもらう。」
「相変わらず釣れないですねぇヤクお姉様。」
「釣られる気が無いんだよ。
じゃ夜飯できたらまた来るからよろしく。」
俺はミルノにそう言って、部屋へ戻った。
部屋のベッドに腰を下ろすとテレビをつけた。
ーープチっ。
『さぁぁあ最終戦!
盛り上がる展開が続く一方です!』
テレビでは丁度今日の戦いが番組として
放映されていた。
こうして客観的に自分を見ると俺って
まだまだひよっこだなと痛感する。
だが、どういう過程で負けたかは
思い出せない。リガマカーネも防御や回避に
徹していて反撃をうかがっている様子しか
見えないからだ。
と、リガマカーネが反撃をかまそうと
槍を構えた瞬間にCMへ入る。
とっても良いところで止まってしまった。
リアルタイムでの視聴な為、
スキップ出来ないのが辛い。
ーーコンコンコン。
ほらぁ、夢中になって見てたらもうこんな時間。
まぁ久々にテレビ見れたし良しとするか。
結局これを続けて見たって自分の弱さを
更に実感するだけだろうしある意味
丁度いい呼び出しだ。
「はーい、今いくよー。」
「さっさと来いよヤク。」
ノックしたのはサンライトか。
……。
…………。
ーークログロ邸別荘、食堂。
「「「ーーご馳走様でした!!」」」
みんなの夜食が終わった。
「イャアー、ミナサン今日はいい食べっぷりで
すねぇい。」
「どうしたんだブラック?」
「いやね、最初来た時よりも食べるように
なったなぁーと。」
「ブラック、勘違いすんじゃねぇ。
俺はたまたま腹減ってただけだ。」
「拙者も。」
「僕もなのら。」
カエデだけなんか口に含んでねぇか?
てかまだブラックそわそわしてんな。
「ほんとどうしたんだよブラック。」
「ヤクちゃん、私の手料理美味しかった?」
ん、そういえばさっき俺が食ってた料理は
みんなと違ったなぁ。
マジか、ブラックの手料理じゃん。
まぁ美味しいから気にしないけど。
「美味しかったぞ。」
「ダッタラ私に惚れマシタカ?」
「胃袋で簡単に恋心掴めると思ったら
大間違いだぞブラック。」
「うぇぇえん!」
「あからさまに嘘泣きするな。」
「ヤク、ブラックとラブラブな所邪魔して
済まないけどさ。今日最終回だよ。」
「じょ、冗談だよなカエデ?」
「いや、カエデは嘘をついてないで候ゾ。」
「これはガチだぜヤク。」
「何……だと?」
「いつから今日が最終回じゃないと
『錯覚』していた。」
「じゃあ俺らどうすればいいんだよぉ!?」
「祭・り・ダァー!」
「「「ーー!?」」」
「オッス、オラお祭り男のミスターユナイテッドオザワ!
呼ばれて参上だぜ! わっしょぉおおい!
あんたらの事はカイチョウから聞いてるぜッ!」
呼んだ覚えないんですが。
「拙者が呼んだで候。」
「「「今すぐ帰らせろ。」」」
「いやだってさ、最終回といえば祭りで
候でしょ! しめは神輿担ぎで始まり
神輿担ぎで終わる。ザ・ロマンチックで候!」
「分かってるじゃねぇかカイチョウパイセン!
わっしょぉおおい!!」
暑苦しい。
「俺は大賛成だぜ会長。」
「サンライト殿ォ!
分かってくれると信じてたで候ゾ!」
「それと比べて現女子二人組は……」
「いやね、会長? 祭り行きたいとかは
別にいいんだけどどこでやってるの。
場所によっちゃ今日中に出来るかどうかすら
怪しいぞ。」
「その心配は要らないで候ゾ、カエデ。
だってお祭り男御三家の彼がここにいるから!」
「お祭り男御三家? 何じゃそりゃ?」
「わっしょぉおおい! 説明してなかったか
ヤクちゃんッ!!!」
「何の説明もなしにアンタ現れたじゃんか。」
「お祭り男御三家、代々祭りを盛り上げる
為元気を尽くして来た伝説の家系。
ミヤザワ家、ヒノデ家、そしてこの俺の
オザワ家! って訳よ!
そして俺らはお祭りのある所に在りってなぁ!」
とりあえず祭りがあるんだな。
「さぁ、みんなでお祭りの彼方へ!
アンデル神社へ、レッツわっしょぉおおい!」
「怪しいからヤダ。」
おお、よく言ったぞカエデその調子で
アイツを追い出せ!
「分かった、あんたらはどーしても俺を
追い出したいらしいな。この俺オザワの
プライドにかけて、ただじゃあ終わらせねぇ!
このゲームであんたら一人が優勝すれば
手を引いてやるぜぇ!」
オザワはバンっという音を立てて
強くソレを置いた。
「なんダァ、あの箱。」
俺と会長はサンライトの反応と同じ思考をした。
カエデは表情を険しくしている。
「カエデ、どうしたで候か?」
「なんで『この世界』にも『T・C・S』が
あるんだ。いや違う、驚く事はそこじゃあない!
オザワ、アンタ何者だ!」
カエデの態度が急変した。
銃口をオザワに向けている。
「ふむふむ、まぁ『知ってる奴』からしたら
当然の態度か。大丈夫だぜ、あんたらの
身の危険を脅かす様なこたするつもりない。
素直にゲームに参加すれば。の話だけどな。」
「ヤク、カイチョウ、サンライト。
どの道僕達はこのゲームの拒否権はない。
……やるぞ。」
カエデをここまで動揺させるゲーム。
一体どんなゲームなんだ? 逆に気になるぞ!
「じゃ、これどうぞ。」
オザワは紙を配った。
おそらくゲームの説明書だ。
「その紙はこのゲーム、TCSのルールブック。
そのルール従って進行していくぞ。
10分くらいで読み切れるから、時間をやるぞ!」
10分後。
オザワの言う通り、しっかりと読み切る事が
出来、ルールも頭に入った。
「うむ、みんな準備は万端。」
ルール通り、指定のトランプカードと
チップを受け取りゲームが開始した。
ゲーム参加者はオザワ、俺、サンライト
カイチョウ、カエデの計5名。
この順番でTCSの進行が始まった。
賭ける数はトランプカードで決める。
オザワはカードを2枚伏せてダイスを振った。
2枚、つまりルールに則って考察すれば
アイツが賭けたチップ数は少なくとも14以上。
プレイヤーが持てる初期チップ数は20枚。
自分の運に自信があるとみた。
お、次は俺の番か。控えめに行き過ぎても
ルール通り処理されれば痛い目を見る。
まずは8チップ賭けて様子見だ。
俺は8のトランプカードを一枚伏せ、
ダイスを振って駒を進めた。
お次はサンライト、2枚伏せだ。
こちらもオザワ同様自信アリアリってとこか。
会長も初手安定の一枚伏せ。
俺と考えてる事はほぼ同じなんだ。
「さてさて、皆持ち場に着いた様だね。
では始めよっか、『局面の戦い』!」
「俺は魔術師、ヤクちゃんは恋人、
サンライトは戦車、カイチョウは恋人。
この第1局面の『賞金稼ぎ』は
サンライト、『契約者』は俺。
その他は『仲介者』。
『七転八起』したい者は挙手……いないか。
じゃあ次の処理を行うぜ!」
「『位置審査』か?」
「御名答っ! さぁ恋人を当てた二人共、
ダイスを振りナァ!」
俺は会長よりも高いダイス数を引き当てた。
「位置審査の結果はカイチョウが正位置、
ヤクちゃんが逆位置だね。」
俺は逆位置になったので会長に賭けチップを
7枚払う事となった。
そして、ルールに則り
『契約者』となったオザワは
『賞金稼ぎ』が賭けた分の賭けチップを
サンライトに献上。
『仲介者』となった俺と会長は
自身の賭けチップの半分を『賞金稼ぎ』に献上。
今の戦況は、
オザワ→賭けチップ20枚消費/現0枚
俺→賭けチップ11枚消費/現16枚
サンライト→賭けチップ0枚消費/現46枚
会長→賭けチップ消費9枚/現11枚
俺が11枚まで消費となったのは
2つのルール通りに動いたからだ。
『仲介者』の俺は『賞金稼ぎ』のサンライトに
賭けチップの半分を献上しなければならない。
俺の賭けたチップ枚数は8。
よってこの時点で賭けチップは4枚消費。
更に、『位置審査』で逆位置になって
しまった為チップ7枚を正位置の会長へ献上。
これによって俺は計11枚の消費をしてしまった。
『契約者』は『賞金稼ぎ』の賭けチップ分を
『賞金稼ぎ』に献上しなければならない。
会長は賭けチップ数が最も低い4だった。
だから『七つの大罪』として
7枚のチップを一番強い『仲介者』に献上。
その所為もあって『位置審査』での
消費賭けチップ俺に帰ってきたので
まだ賭けチップには余裕を得られた。ラッキー!
それと、運良くサンライトが20枚賭けてくれた
お陰でオザワをなんとかゲーム続行不可能に
追いやる事が出来た。
ともあれ、結果オーライだ!
「仕方ない、俺の負けだ。サラバッ!
わっしょぉおおい!!!」
彼はワープの灯素石で退場した。
「これで……いいのか?」
「一件落着で候な。」
「元はと言えば会長の責任だぞー。」
「あははは、カエデの言う通りで候な。」
「で、お前ら結局祭り行くのかよ。」
「俺は行くね、なんつーかしっくりこねぇし。」
「俺も同行するぜヤク。夜の祭りは何が
起こるか分かったもんじゃねぇ。」
「やれやれだね。僕も同行するよ。」
「皆ぁ、ありがとうで候。
そうと決まれば、いざ出陣なりィィイイイ!」
***
……。
…………。
ーーアンデット東部国、花目町・アンデル神社。
祭りはガチでやっていた。
太鼓の響く低音、和風な高音を鳴らす笛。
花火の打ち上がる音。
季節外れな縁日がそこでは血気盛んに
行われていた。
「おっ、ヤクちゃん浴衣姿似合ってるねぇ!」
やっべ、スズーキ居やがった。
「おいガキ、学園祭の時はヤクが
お世話になったそうじゃあねぇか。」
「は、はい。」
急に震えんなやスズーキ。
「学園祭のとき、俺の知らぬ間に
ヤクで変なことしてねぇよなぁ?」
「もちろんです。」
「勘違いすんなよ、ヤクはお前の友達で
あって彼女じゃねぇ。もしその一線を
踏み違えたならよォ……俺は誰であろうと
容赦なく完膚無きまでに潰す。」
「肝に銘じます。」
「なんか俺たち伝説な気がする。
俺の名はサンライトだ。よろしく。」
「僕の名はスズーキです。」
二人は意味もなく握手した。
どちらかが某魔法カードを発動したのだろう。
「あ、そうだ。
三人でそこの屋台席に座ろうぜ。」
俺、サンライト、スズーキは席に座る。
メニューを軽く見て注文を入れたのは
サンライトだ。
「おっさん。ラムネ3つとイカゲソ焼き
あと縁日梅酒のロック一つ。」
「あいよ。」
ーードンっ!
1分も経たぬ間に頼み物は卓上に並んだ。
サンライトは『念話の灯素石』をスズーキに
気づかれないよう受け渡す。
念話の灯素石。
喋らずに会話が可能になる特殊な灯素石。
互いにこの石を持てば心の中での会話、
通称念話が可能になるのだ。
(聞こえるかヤク。)
(聞こえてるぞ、本当にスズーキに
アレをやるのか?)
(コイツは後々面倒だからな。
俺達の為だ。仕方なく眠って貰うぜ。)
(……分かった。)
俺はピンクのコップを卓上に置いた。
「何してるんですかヤクちゃん。」
「あのな、俺ら二人はお前に
楽しませて貰ったよ。」
「何を?」
「学園祭だよスズーキ君、忘れたの?」
「ご、ごめん! そういえばそうだったね。」
俺とサンライトに対しての対応が違いすぎ。
本当に面倒な奴なのは確かだった。
学園祭の時少しでもスズーキにドキッとした俺を
今無性にぶん殴りたくなる。
「えぇと、スズーキ君だっけ?」
「はい。」
サンライトはスズーキの見えないギリギリの
死角を利用してピンクのコップにラムネと
あるものを混ぜながら注ぐ。
「まぁ些細な御礼だが、ヤクの愛用コップで
ラムネでも飲んでくれや。」
ーーとんっ。
「本当にいいんでsーー!?」
(おい、なんかラムネ警戒しだしたぞ!)
(安心しろヤク、いいんだよコレで。)
「……。(こ、この臭いは。
この仄かなアンモニア臭はッ!? まさかこの
ラムネはヤクちゃんの『聖水』入り!)」
「どうした? 飲まねぇのか?」
「ありがたく飲ませて頂きます!」
ーーゴクゴクゴク!
ーーバタンッ!
「ふぅーっ、作戦成功だぜ。」
「ねぇサンライト。何であんなに嬉しそうに
スズーキは睡眠剤入りラムネ飲んでんのかな?」
「きっとヤクのコップで飲める事が嬉しいん
だぜ。男っつーモンは美少女との
間接キスに無限の可能性を感じるからよォ。
(言えねぇぜ……アンモニア臭を
発する特殊な催眠錠剤を溶かしたなんてな。」
「はぇー。そうなのかー。」
「もうお代も出したしさっさとカエデと
会長迎えに行くぞ。」
「大変だわっしょぉおおい!!」
「ウルセェよオザワ。
急に背後とるんじゃねぇ。」
「あんたらのお仲間が射的屋を大赤字に
してるわっしょぉおおい!!」
「さっきから語尾がクソうるさくて
話が頭に入んねー。」
「サンライト、スズーキの奴起きてね?」
「ーー10円ッ!!!!」
ーーバギィン!!
「どうしたフォイ?」
「オザワいい加減なキャラづけやめろ。
しかもその語尾は先客いる。」
「すまん……祭りの空気に酔って。」
「わかるぜ。」
「で、その机に頭のめり込んだ奴は
大丈夫なのか。」
「あいつ頭に10円被りてぇとか言ってたから
サービスしただけだ。で、話はなんだ?」
「そこ。」
諦めの境地に達したなオザワ。
ーーパン!
「ありがとう。カエデちゃん!」
「うん、また欲しいぬいぐるみがあったら
私にお金を与えて撃たせてね!
ーーぐぶぇぁあ!」
俺はカエデを蹴飛ばした。
「撃たせてね! じゃねぇよ!
カエデ何やっちゃってんのぉ!
これじゃ射的屋稼げねぇじゃん!」
「だって稼げるんだもん。」
「確かに稼ぐのは大事だ。だけど
これは射的屋のあるべき姿じゃねぇ。
カエデならよく分かるだろ。」
「うん。」
「分かったならさっさと会長に会いに行くぞ。
会長は花火がよく見えるベンチで待ってる。」
「恩にきるぜ、ヤクちゃん。」
「感謝だけじゃダメだぜ、オザワ。
本当にこういう祭りトラブルを解決すべきは
お前だという事を覚えやがれ。」
「……おう。」
「じゃ、俺らはもう行く。」
……。
…………。
「待たせたなぁ会長。」
「楽しめたで候か皆の者。」
「「「ああ!」」」
サンライトが二番乗りでベンチに座る。
続けるようにして俺とカエデも座った。
絶え間なく打ち上がり咲き開く花火に
数分の間見惚れ、みんなしばらく無言状態。
その状況で最初に口を開いたのは会長だった。
「花火を見てると5年前の夏祭りを
思い出すで候な。」
「あぁ、ワイワイ騒いで散々疲れて。
斜面の草に背を預けて眺めてたな。」
「拙者は花火が大好きで候。」
「和風な感じだから?」
「それもそうだけどもう一つ理由が
あるで候ゾ。」
「『綺麗』だっけか。」
「ヤク殿はもの覚えがいいで候ね。」
「皆は五年前、
花火を見ながら何を語り合ってたか
覚えているで候か?」
「覚えちゃいねぇな。俺は今を生きる男だ。」
「15年後で候。
15年後、拙者は母のような立派な研究者に
なって。」
「15年後、俺は愛する人の妻になって。」
「15年後、僕は究極のハンバーガーを作って。」
カエデの夢適当過ぎ。
さてと、流れ的に次は俺だな。
「15年後、俺は……
ーーロキエル、どうして私を殺したの?」
ありもしない記憶が突然脳に流れる。
それもはっきりと。
「ヤク……殿?」
「あれ、何なんだこの記憶は。
何で俺は泣いているんだ。」
「なぁヤク、その『ロキエル』っつーのは
何者だ?」
「誰だ、俺も分からない。
一瞬だけ、一瞬だけソイツの顔を見た。
片目がやけに不自然で、黒い翼を持つ男。
とても、苦しい顔をしていた。
そしてこう言っていた。
済まない……ルナエル。と。直感で分かる。
これはニャーホワちゃんの『記憶』じゃねぇ。
もっと別の、もっと重要な『誰か』のーー」
「「「…………。」」」
「この話はもうやめようよ。」
「だなカエデ。それにしてもさ、最終回を
花火でしめるとか本当に作者はセンスねぇな。」
「「「……。」」」
誰も乗らないから俺がしめに入ろう。
「この世界に来て早一年。まだまだ人間界の
帰還に関して一切情報を得ていない俺らだが、
そのヒントにだってもうすぐ
近づける気がするんだ。」
「この一年ちょいは俺らにとって
新たな世界の小さな一歩だ。だから
これからは大股で歩いてけばいい。」
「さっさと言いたい事言いやがれヤク。」
「いいや、しめは皆んなで言うぞ。」
「んだよ。それを先に言え。」
一つ、他のとは比べ物にならない
大きな花火玉が空へ登る。
「「「「ーー俺たちの冒険はこれからだ!!」」」」
ーーパァン!!
一際目立つ大きな花火玉は、
巨大な曼珠沙華を星々輝く夜空に咲かした。
その曼珠沙華は、彼らの新たな前進を
望むか如く煌めいていたのであった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ーーキタマジ第一部【キタマジ〜帰宅部lv99が
異世界から帰宅するってマジ!?〜】ーー
☆☆☆☆☆☆☆☆☆【完】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<TOKISDEO •RADIO >(第1部・最終回)
「どうも、本日2回目登場のゾンです。」
「どうも久しぶりです、私TSO宣伝部の
浅田朝夫です。今回は第1部が最後で何か
感慨深いものを感じる今日この頃。
一年ちょい、本当にお世話になりました。
では、今日のゲストです。」
「お疲れ様です。どうも、前書きでイキってた
永遠の底辺作家です。俺の言いたい事全部
浅田さんに言われましたんで。
後する事といったらあっ○い○様に
殴られに行く位ですね。
あっ♂イクとか想像した淫夢キッズの皆様は
その汚らしいポップコーンシュリンプを
しまって下さい。(あっ○い○様ごめんなさい)
(もうこれ嫌われたな、書かれないな俺。)
(やっぱ応募すんのやめとこう。(−_−;))
さて、この不束者な作家ですが。
この後に及んで、自分はあまりラノベを読む
人間じゃない事を公表します。
自分、正直小説の物語を作る事は好きだけど
読む方はあまり得意じゃないです。
飽き性なのかも知れませんが、
大抵の作品は少しかじっただけで
すぐ口を離すような人です。(例え)
つまりは、まともに読んだラノベのタイトルが
指で数えられるくらいしか無いんです。
●英○失格という訳で、世界を滅ぼします
1〜2巻まで読破
●ミ○ッツ完読
●Only ○e○se online1〜10巻まで読破
●○日、ボクは○ぬ。キミは生き返る。完読
●ロクアカ1〜8巻まで読破
今思い出してもこれくらいです。
そんな自分ですが、衝動に駆られて
勢いのまま書いて公開処刑しちまったのが
このキタマジです。
約45000PV、ユニーク約10000人。
ブクマはお察しの底辺。
ですが、連載当初はここまで来るなんて
思ってもいませんでした。
この結果は、一生の良き思い出として。
物語作りのモチベと励みになります。
タイトル通り二部以降の公開が15年後になるかも
知れないです。モチベが更に良ければもっと
早く公開出来そうです。
自分の中では二部も三部も四部も最終回までの
流れ全てを頭に入れてるので後はそれを
書き起こすだけです。
何年後かにまたお会いしましょう。
本当にお疲れ様でした。」
「さて、作者の戯れ言も終わりましたので
最後のお便り読んでいきましょう。」
Q:最終回で登場したT・C・Sのルールや
遊び方について教えて下さい。
A:下記をご覧下さい
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
T・C・S
(タロット・チップ・スゴロク)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
●その名の通り、タロットとチップを
使った複雑なスゴロクゲーム。
ゲームプレイに必要な人数は四人以上!
2〜3人でプレイしたい場合、
一人二役を演じると良い。
●ゲームの進め方は基本、スゴロクと同様。
不正が最もバレやすく、
大多数で行うことができる!
必要アイテムは駒、人数分のトランプと
ジョーカーカード、ダイス、茶碗、盤面。
●『分岐点』
盤面に3つだけ存在。
スタート、中間、後半の3つ。
それぞれABCのルートがある。
Aルート・1か2をダイスで当てた者
Bルート・3か4をダイスで当てた者
Cルート・5か6をダイスで当てた者
●『局面』
プレイヤーはゲーム開始時に
賭けチップ20枚を所持している。
ダイスを振った後に全プレイヤーの、
賭けチップの処理を行う作業。
●『公開』
プレイヤーはダイスを振る前に
1〜13とジョーカー、全てのトランプを持つ。
フェーズ・バトル中に自身の賭けチップ数を
伏せる。
『局面の戦い』後、伏せたカードを公開する。
14以上の賭けチップを賭けたい場合は
13+既存のカード1枚を伏せる。
一枚だけを伏せる場合、ジョーカーと共に
カードを伏せて、伏せカードを2枚にする事も可能
(賭けチップ数特定回避。
キタマジ本編では演出の為、使用しなかった。)
●『局面の戦い』
マス目には様々な色がある。
その色達をタロットに見立ててゲームを行う。
プレイヤー全員が同フェーズ時に進んだマス目の
タロットナンバーで勝負を行い、
最も高いナンバーを優先して賞金稼ぎとす る。
●マス目の色に対応するタロット
背景赤の白玉:愚者
背景青の白玉:魔術師
背景紫色の白玉:女教皇
背景桃色の白玉:女帝
背景橙色の白玉:皇帝
背景黄色の白玉:法王
背景黄緑色の白玉:恋人
背景緑色の白玉:戦車
背景水色の白玉:力
背景赤色の白ハート:隠者
背景青の白ハート:運命の輪
背景紫の白ハート:正義
背景桃色の白ハート:吊るされた男
背景橙色の白ハート:死神
背景黄色の白ハート:節制
背景黄緑色の白ハート:悪魔
背景緑色の白ハート:塔
背景黄色の白スター:星
背景黄色の白い月:月
背景赤の白ダイヤ:太陽
背景青の白ダイヤ:審判
背景紫の白ダイヤ:世界
●『王様』
最終的に最も多くの賭けチップを
持ったプレイヤー。
●『貧民』
賭けチップが0になったプレイヤー。
ゲームから敗者として除外される。
●『革命』
『世界』を一人でも当てたプレイヤーが
いる場合は『愚者』を当てた者が『賞金稼ぎ』。
更に、3フェーズまでの間低い数が強くなる。
●『賞金稼ぎ』
フェーズ毎に最も強いタロットを
当てたプレイヤー。
●『契約者』
フェーズ毎に最も弱いタロットを
当てたプレイヤー。
フェイズ毎に『賞金稼ぎ』が
賭けた分の賭けチップを『賞金稼ぎ』に献上。
●『仲介者』
フェーズ毎に『賞金稼ぎ』もしくは、
『契約者』になれなかったプレイヤー。
フェイズ毎に賭けチップの半分を
『賞金稼ぎ』に献上する。
●『七つの大罪』
フェーズ毎、最も賭けチップが
少ないプレイヤーは、
自身を除く最も強い『仲介者』に
7枚の賭けチップを献上する。
●『位置審査』
同フェイズ、同タロット時に行う。
位置審査の勝敗はダイスの数で決まる。
上位数の場合正位置、下位数の場合は逆位置。
逆位置となったプレイヤーは
正位置プレイヤーに7枚賭けチップを払う。
●『到達』
ゴール時、他プレイヤー全員から
一枚ずつ賭けチップを得られる。
●『七転八起』
プレイ中3度だけ使用可能。
ダイスの振り直しを賭けチップ7枚『賞金稼ぎ』に
献上して行う。
Q2:エンドロールやって下さい。
A2:かしこまり。
【著作】
●たかしクランベリー
【エンドロール音楽担当】
●たかしクランベリー
【音楽】
●『きみとであえたことが』
(※著作権フリー音楽)
【協力】
●TOKISDEO 公式
●ゾン・クラヴィラ
●浅田朝男
【キャスト】
●声優の脳内再生はご自由に。
【提供】
●分かる人しか分かりません。
【エンドロール映像(連続写真)】
●絵柄は各々のイメージで!
●ヤクの帰宅疾走
●ヤク、サンライト、カイチョウ、カエデの
ガチャガチャ泉集合記念写真。
●河川敷で手を繋ぐ小学生のヤクと光。
●カエデ、カイチョウ、リュウの集合笑顔写真。
●クランコロン学園祭サッカーの銀賞を掲げて
ポージングするヤク、サンライト、カイチョウ。
●クランコロン学園祭料理部対決トロフィーを
掲げてポージングするヤク、
サンライト、カイチョウ。
●ヤク一行のアンデット東部国空港集合写真。
●写真が散らばった机に顔を埋めて眠るヤク。
●画面が白に染まり、〜Fin〜の金色文字登場。
【最後に】
「「「ーー最後まで読んでくれてありがとうございました!!!」」」
(やば、エンドロールイメージしたら我ながら
恥ずかしい事に涙出た。)




