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キタマジ!?~帰宅部LV99が異世界から帰宅するってマジ!?~  作者: たかしクランベリー/TOKISDEO公式
一章~メスカル帝国編~
107/168

91灯 君の縄


<TOKISDEO・RADIO>


「どうも、おはこんばんにちは。

TSO宣伝部のゾン・クラヴィラです。

今回も前回のおさらいあらすじしていきましょう。」


Aあらすじ1:ノジヤ皇子の昔話!


A2:生かされたシュガーノ少年。反抗勃発!


A3:たかしクランベリー、堂々の遅延投稿!


「……シュガーノ。」


「じゃあ、君の新たなフルネームは

 シュガーノ・ジヤブレイヴだ。」


「??」


「つまりは、これから君は次世代のノジヤ皇子だ。」


「意味が分からないです。」


「意味なんか知らなくていい。今まで甘えられなかった分、俺に甘えてくれないか。

 僕の家族にして、君の心を縛る縄をほどく。

 それが、君を救えなかった僕にできる贖罪しょくざいだ。」


***


……。

…………。


それから、僕の騎士としての人生が新たにスタートした。


冒険家職業ワーハンターに所属してクエストをノジヤ皇子とこなす毎日。ノジヤ皇子の実践を通した戦闘指導。


僕は、貯まった報酬金でノジヤ皇子に欲しいものを買わせ続けた。彼に甘えまくった。


時が経つに連れ、僕の実力が周りからも認められ。

次のノジヤ皇子はアイツだと言われる程までに成長した。


それと同時に、ノジヤ皇子は衰退していった。

急激な速度で。


ーーある日。


「……ぐふぉ…………。」


「ノジヤ皇子っ!」


ノジヤ皇子は血を吐いた。

終いには、崩れ落ちた。


***


……。

…………。


メスカル帝国の病院にて。

ベットに倒れる

ノジヤ皇子は弱々しく瞼を開き、僕を見る。


「おはよう、シュガーノ。今回はあの時と逆の立場か。」


「医者から、聞いたよ。『心臓』が悪いってね。

 あの時の事、何故僕が助かったか詳しく言って欲しい。」


「すまない、それは言えない。」


「ーー!?」


「……分かる。もうこの命は長く持たない。」


「……。」


「もう一度聞く。この世の中は世知辛いか?」


「ぅ、世知辛……」


涙が、急に溢れて止まらない。

辛いと素直に言いたい。


「おいおい、最後くらい『僕』に甘えさせてくれ。」


彼の言葉で、僕は意味を理解した。

僕は、無理矢理に笑顔を作る。


「世の中、世知辛く……ない!」


「そうだシュガーノ。お前は勇敢だよ。

 もう一つ、僕の甘えを聞いてくれ。

 ーー『苦食』に会え。そして全てを話せ。」 


「わがりまじだぁ。」


咽び泣く僕の頭が優しく撫でられる。

温もりと愛が静かに籠った手の感触で、

落ち着きを取り戻した僕は

「ありがとう。また明日会おう。」と言葉を伝え。

彼の顔を見ないまま病室を出た。


これ以上、みっともない自分の顔を

見せたくなかったから。


…………


……


病院を出る直前に、医者に足を止められた。


「なんですか、今は一人にさせてください。」


「ブルーノ・ジヤブレイヴがつい先程、お亡くなりに。」


「…………。」


「この病死は私も聞いたことがありません。

 外部からの刺傷は見られず、心臓に刃物で刺されたような亀裂が出来上がっていま……」


何で? 何で? いつもこうやって。

いきなり不幸になるんだ?

僕が生きてる限り、こんな事がずっと続くのか?


だったら。


「医者さん。僕を殺して下さい。」


「それは、無理です。医者ですから。」


「そうだよね。やっぱり自分で。」


「待って下さい。」


「何だよ。」


医者は、白衣の内から灯素石を取り出した。


「これが何か分かりますか?」


薄水色で楕円型、白と赤の斑点が浮き出た

灯素石。知らない方が可笑しいくらいに、

一般的に普及してる代物だ。


録音ろくおん灯素石ルーン。」


「その通り。あの彼はここで貴方が来ることを

 教えた上で私に頼み事をしました。

 これを使ってくれと。

 ーー発動せよ《録音の灯素石》。」


【おーい。僕死んじゃったけど元気かい?】


「元気な訳ないだろぉおおお!」


【うん! 知ってた☆】


もう二度と聞けない声。唇を噛み締めるよりも

先にノジヤ皇子の陽気っぷりに怒り立つ。


【僕が死んだからってまさか自殺しようとか

 思ってるでしょ? ねぇ、それってさ。

 僕の苦労の踏みにじる行為だよ?】


わかってるけど、辛い。

あの時の強がりはその場しのぎ。やせ我慢。

もう、我慢の限界なんだ。


【なら、尚更生きてくれ。その苦しさをバネに。

 勇敢に生きてくれ。君と同じ苦しみを持つ者達を

 僕と同じように救ってくれ。

 そうしてくれたら、僕はとっても嬉しい。】


ノジヤ皇子の『如月』は、最後まで。

僕の心を読み続けていた。

どこまでもずるいけど、どこまでも優しい。


ーーなってみたいな。

ブルーノさんみたいな立派な騎士に。


【だろぉだろぉ? じゃあ生きろよぉおおお!

 話はそれからだぁ!!】


はいはい、最後の最後まで鬱陶しいねその如月。

話って何なんだよ。

……まぁでも。生きていくか、勇敢に。


彼は死んでも尚、どこかで僕が生きてることを喜んでくれるなら。

僕も喜んで逞しく生きよう。


それと。


「ありがとうございます。医者さん。ノジヤ皇子。」


僕は、深々と医者に礼をして病室を出た。

外に出て空を仰ぐと、

快晴が力強く照らしつけてくる。


こうゆう時にノジヤ皇子は決まって

空にこう叫んでいた。


「僕は元気に生きてまーす!!」


背後で一緒にノジヤ皇子が叫んだ気がした。


***


「ーーというお話さ。」


「感動したよ、ノジヤ皇子。

 んで、それを話してあんたは結局……

 何を俺に言いたい?」


現、ノジヤ皇子は激甘と化した飲料を一口飲み。

真剣な表情で口を開く。


「僕はね、誰よりも甘えを欲した。

 だから、『甘えている者』が嫌でもすぐ分かるんだ。

 ーー君、現状に甘えているね?」



 


<TOKISDEO・RADIO>


「どうも、私TSO宣伝部のゾン・クラヴィラです。」


「同じく、浅田朝夫です。

今回もお便り読んでいきましょう!」


Q1:境界樹教司教の苦食、甘食の役割と読みを

教えて下さい!


A1:司教としての役割以外特に目立った事は

してないです。読みは苦食くじき甘食かんじきです!


「「ーー今回も、我々の茶番に付き合って下さり

ありがとうございました!!」」



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