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12 旅立ち

 ペガサスを連れて家へと帰る。すぐに周囲を警戒していたコネクトームが話しかけてきた。


「みなさまドローンの回収お疲れ様です。何か変な生き物が増えているようですが」


 コネクトームが興味深げにペガサスへと近づいていく。


「な、なんだこの白い化物は。喋った。しかも魔力もなしに動いている。そ、その化物を私に近づけないでくれ。怖い」


 ペガサスがめっちゃ怯えていた。我らからすればお前の方こそ化物なのだが。


 やれやれである。人型ロボットという未知の存在を前にペガサスがまた小便を漏らしそうだ。馬だけあって肝っ玉の小さなやつである。


「そう怯えるな空飛ぶ馬よ。彼らはロボット……機械人形オートマタだ」


 我が優しく説明すると馬は少しだけ落ち着きを取り戻した。


「オートマタ。確かにそんな機械も存在したな。ここまで精巧な上に喋るオートマタなど初めてみたが。空飛ぶ機械といいこれといい、そなた達は恐ろしいほどに進んだ技術を持っているようだ」


 ペガサスは地球の科学に驚いていた。だがオートマタという言葉が通じる時点でこの世界の技術が窺い知れる。この世界はいつの時代なのか。


 我は鑑定を使い女神を問いただした。


『中世……ではないのかも知れないですね。私はこの世界にそこまでくわしいわけじゃないですしここが近代だとしても不思議じゃないです』


 全くあてにならない駄女神である。


 やはり馬に尋ねるしかないようだ。



 我らは庭の上に座った上でペガサスと話し始めた。


「私の名はマレゴン。見ての通りペガサスだ。元々はアギルス連合王国に住んでいたが森を追われこの国に来た。空竜に保護された形となるな。このフリパラ王国はアギルスと比べ技術の発展が遅れていると聞いていたのだが、そなた達は例外であるようだ」


 マレゴンが生い立ちを我らに話した。同時にこの世界のことも見えてくる。


 マレゴンのいたアギルス王国という国では産業革命が起きているらしい。鉄と石炭の大帝国だ。


 だが石炭を使うまでの一時期に木炭を大量に使っていたらしく、深刻なレベルで森林の乱伐が進んだそうだ。マレゴンもその時期に森を追われたらしい。


 だがそれからもマレゴンはたびたびアギルスへと渡っており、アギルスからフリパラに渡る広い地域の時勢を知っているそうだ。


「私自身は人間と仲が悪いわけではない。ペガサスを神聖な動物と敬い食べ物をくれる者もいる。話をすれば彼らも生きるのに必死なことが分かるしな。それでも故郷を追われたのはくやしいが人間全てを恨んではいない」


 その後もペガサスの話を聞き、我はこの世界についておおむね把握した。


「地球で言うと十八から十九世紀といったところか。中世というよりは近代だな。産業革命が始まっているのは想定外だった。だが人里に入る前に情報を得られたのは幸いであるな」


 この異世界が近代だとすると、準備もそれを踏まえてする必要があるだろう。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



 この世界へと来て一週間の時が過ぎた。川の引水など屋敷周りの環境の整備、人里へと出る準備も進んでいる。


 ペガサスからの情報を得て服装なども完璧だ。


「身なりはそれでよいはずだ。だが半ズボンははかぬようにな。フリパラは今政情不安。貴族が目の敵にされている。街へと潜りこむのなら資本家にふんするのがよいだろう」


 人間社会の情勢にくわしすぎる馬である。



「吾輩が集めた財宝を主に進呈する。どうか自由に使ってくれ」


 空竜からは財宝を進呈された。


 これはありがたく家に飾らせてもらうとしよう。換金して資金にするのも手だが単純にもったいないからな。


 換金には貴金属を使えばよい。工房で使う素材と蓄財を兼ね屋敷には十兆円分の貴金属があるのだ。我の資産百兆円の一割にしかすぎぬ金額だが備えておいて良かったと言えるだろう。


 我の無属性魔法には無限に道具を収納できるアイテムボックスも存在する。そのため必要そうな物は端からその中に詰め込んだ。


 周辺地図の作製も完了し、3Dプリンターで立体地図へと成型した。せっかくなので竜にもやると驚きと喜びに満ちた反応を見せてくれる。


 後は魔法の開発、改造だな。名称詐欺な鑑定があまりに使えないスキルだったため改めて一から鑑定スキルを作り直す。


 だが鑑定は属性魔法とは全く違うスキルのため開発には女神の協力が必要だった。その際の交換条件により元々の鑑定スキルを神託に名称変更、ついでに常時発動型のパッシブスキルに変更されられてしまう。


 つまり我がスキルを発動せずとも女神側から話しかけられるようになったわけだ。うざさ倍増である。だが無闇に話しかけたら神託のスキル自体を解体してなかったことにしてやると伝えてあるのでうざくなることはないだろう。多分。



「近くの村を見てくる」


 そう言って我はマレゴンの背中に乗った。


 一度村に入れば次からは転移でそこまで移動出来る。また屋敷へはすぐ転移で戻れるので我が危険になることもない。もっとも最強である我が危険になる事自体ないのだが。


「……行ってらっしゃいませ駆馬様」


 葉月はやはり心配そうな顔をしているな。転移で戻れるから安全という言い訳は葉月を納得させるために用意したようなものだ。


 葉月はメイドとしても武人としても非常に優れた人材だが交渉事には向いていない。人里に侵入する時点で連れていくのに適した人材ではないのだ。


 何より美しすぎるからな。


 我一人でもあまりの美貌に目立ってしまうというのに葉月やひより、ニコなどを一緒に連れてしまってはどうしても人目についてしまう。


 だから彼女達は連れていけない。美しすぎるメイドというのも困ったものなのである。


 なら玄庵はどうかと言うと、玄庵は違う理由で現地人には見せたくない。


 いずれ玄庵には潜入任務をさせる予定だ。そのため玄庵の顔は出来うる限り知られたくないのである。玄庵は今後我らと行動を共にすること自体が減るだろう。


 そういうわけで、村へと入るのは我一人で行うのである。マレゴンからも人里に入る前に降りる予定だ。


「心配せずとも我は無敵だ。日が暮れるまでには戻るので各自己の職務を果たすようにな」



 そう言って我はマレゴンに乗り、ついに人里へと向け飛び立った。


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