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解決編 ~犯人~

「とりあえず、そこに座ってくれ」


 岡野先生と森山くん、洋太は座っていた。

 わたしたちは彼らとテーブルを挟んで、向かい側のイスに腰を掛ける。

「まずは、花澤のマフラーが盗まれたんだよな」

 岡野先生は神妙な面持ちで話した。

「はい、そうです」

「経緯を教えてくれないか」

 わたしは今日起きたことを手短に説明した。


「そうか。話は分かった。それで盗んだやつが分からないんだな」

「わたし、盗んだ人が誰か分かりました」

 わたしの一言で場に緊張が走る。

「誰なの?」

 美雪は不安げに聞いてきた。


「その前に箱島くんに聞きたいことがあるの」

「……なに?」

「盗んだ人、箱島くんは知ってるよね」


 箱島くんの顔に影が差した。

 やっぱり、知ってたんだ。


 岡野先生が箱島くんに視線を向けると、

「そうなのか」

「はい、実際に盗んでいるところを目撃しました」

「だったら、早く言えよ」

 森山くんは鋭い目つきを向ける。


「美雪が盗んだんでしょ」

「えっ、なんであたしなの!」

 あのとき、美雪が言っていたセリフを頭に浮かべる。


『春香のマフラーが盗まれたんです。それで洋太と森山がケンカになっちゃって』


 そう、これこそが『おかしなこと』なんだ。

「森山くんと洋太がケンカしている時、岡野先生にわたしのマフラーが盗まれたことを報告したよね。なんで美雪はマフラーだって知ってたの?登校のときは箱を見ただけだし、わたしはマフラーなんて一言も言ってないよ」


 そう、おかしいのだ。美雪がマフラーであるとどこで知ったのか。

 信じたくなかった。あの美雪が盗んでいるなんて……。


「待って、それは違うよ。僕が盗んだところを見たのは彼女じゃない」

 箱島くんがあわてて否定した。

「そうだよ、あたしは盗んでなんかいないよ」

 美雪も首を振る。


 えっ、違うの……。

 てっきり、1時間目が終わったあとの休み時間に急いで教室に戻って盗んだのかと……。


「じゃあ、誰なの。まさか、森山くんが?」

「だから、なんで俺なんだよ」

「だって、カバンを見せなかったから……」

 森山くんはやれやれとでもいうような表情をする。

「もう面倒だから言うわ。タバコだよ」

「タバコだと!」

 岡野先生が間髪入れずに口をはさんだ。


「タバコが入ってたからカバンの中身を見せなかったんだ。それだけだよ」

「おい、まだこりてなかったのか。あとで生徒指導室に来い」

「こんなことになるから、言いたくなかったのによ」

 森山くんはわたしに鋭い眼差しを向けた。

「……ごめんなさい」

「まあ、慣れっこだから、どうでもいいけどよ」


 森山くんはカバンの中身を見せなくなかったのは、タバコが原因だった。

 じゃあ、わたしのマフラーを盗んだのは誰なのか?


「言ってもいい。覚悟はあるよね」

「……うん」

「じゃあ、言うよ」


 箱島くんは決心したのか、真剣な顔つきだ。

「僕は見た。しっかりと。盗んだ犯人は……」


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