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タイムスリップは魔法の世界で。  作者: 世野口秀
第2章 冒険者のはじまり。
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第14話 言ってみろや

 杉原は銀鷹騎士団の活動拠点(ホーム)に向かっていた。

 一度ギルド会館に向かい、場所を受付の職員に確認し、そのまま歩いて向かう。

途中、昼食として弁当屋でお握りをいくつか購入し、頬張りながら歩みを進めた。

 喧しい通りを歩いていると、杉原の視界に奴隷の魔人の男が映りこんできた。

 より正確に言うなら薄汚れた服装で額には角、青い肌をもち強膜、いわゆる白目が黒く、瞳は青という見た目の種族、蓮魔(れんま)族という魔人である悪魔族の一種だ。

 体は頑強だが、魔法は弱くもないが強くもない一族である。

 人間に捕らえられ、奴隷になったようだ。主人の人間らしき男につき従い、荷物を担いで歩いている。

 男は裕福そうな見た目をしている。魔人は護衛兼荷物持ちのようだ。

 この辺りではこうした光景は珍しくはない。奴隷魔法が掛けられている以上、そうやすやすと主人に反旗を翻すことは出来ない。

 仮に主人を殺し、奴隷から解放されたとしても周囲の全ての人間から命を狙われる。

 ひとみも有栖も、もし杉原達がいなければ行き場をなくし、もう死んでいただろう。

 そのため、奴隷となった魔人は頭を垂れて生きていくしかないのだ。


(そして、僕は彼ら彼女らを皆救えるわけじゃない。だから、助ける相手は選ぶしな。……君らも辛い人生を送っているとは思うよ。でも同情できるほど、僕もこの世界で余裕はないんだよ)


 そんな思考と共に、杉原は目の端で魔人の男を見ていた。向かい側からやってきた魔人の横を杉原は通り過ぎ、そのまま歩いて行った。

 ここ暫くの間に、見慣れつつある光景だった。




「すんませーん。杉原と申しますー。服部さんいますか?」


 軽薄な態度で、杉原はギルド会館が数分歩いたところにある、三階建ての銀鷹騎士団ホームの受付にやってきていた。

 ギルド会館の受付で銀鷹騎士団の拠点を聞き、服部の落し物を届けに来たのだ。

 出入り口から入ってすぐのところにあった受付で、杉原は受付の女性に話しかけた。

 彼女は勇者ではなく、この時代の人間でありただの事務員である。


「はい。居ります。ですが、今から全体会議ですのでお会いになる時間は申し訳ありませんが、あまりないかと……」

「ああ、いえいえ。忘れ物を届けに来ただけなので。なら貴方のほうから渡してもらえれば――」

「気にすることはない。杉原氏も会議に参加してはどうだ?」


 後ろから、杉原はそう声を掛けられた。

 振り返る杉原の眼に映ったのは、銀鷹騎士団団長である藤原泰樹だった。


「ああ、藤原さん。どうも。さっきぶりです。えっと、……僕は別に銀鷹騎士団の人間でもなんでもないんですが」

「いや。構わない。寧ろ私は君の話を聞きたいのだ。君のような、信念のある人間は素晴らしい」

「え? よくわからないですが、そんなに大した信念なんて持ち合わせていませんよ」


 つうか、僕はお前らと話したいことなんてねえよ。とは思いながらも、杉原は話を続けた。

 勇者の大手派閥と面倒ごとを起こすのは流石に勘弁願いたいところだ。無視して帰るようなことをやらかすわけにもいかない。


「いや、弱者の立場に立ち、戦うなど、そうできるものではない。私は君のことを評価しているのだ」


(どんだけ上から目線だよ……。てか、別に弱者の立場にわざわざ立っているんじゃあねえよ。元々僕は弱者だっつーの。面倒だなあ。何コイツ。意識高いなあ。絶対にSNSとかで『日々成長!!』とか書いちゃうタイプの奴だよなあ、コイツ)


 内心ではうだうだ考えながらも、この面倒な事態を打破することを考える。

 とりあえず話を濁して帰ろうかと思っていたところで、知名がやってきた。


「あれ? 杉原さん。どうされたんですか?」

「ああ! 丁度よかった。ほら。忘れ物。あとでもいいかと思ったけど、会議で使うかと思って」

「あ! 私のペン! すみません。ありがとうございます」

「じゃあ、用も済んだんで僕は――」

「ああ、会議に参加していくと良い」

「え!? 杉原さん、銀鷹騎士団に興味あるんですか? 素敵です!! さあ、こちらへ!!」


 と、そのまま杉原は二人に連れられ会議に参加することになってしまった。


「……ああ、服部さんにはやっぱり余計なことを言ったかもしれないな」


 二人には聞こえないよう、杉原はポツリとそう呟いた。




「やはり、今の石川派の動向は許しがたい。好き勝手暴れて、動物を殺し、森を焼く。自然破壊もいいところだ」

「彼らには誇りがないのよ。私達は勇者なのよ。蛮族ではないわ!!」

「ああ、まったくだ。やはり、我々が勇者としての姿を見せねばならないのだ」

「では、パトロールの強化をせねば」

「ええ、そうね。街の皆さんにももっと安心してもらいたいし。まだ大きな実害は出ていないが、魔王一派が活動を開始すれば困ったことになるわ。その前に我々、銀鷹騎士団の団結力を見せなくてはいけないわ」

「ああ、一致団結することが勇者には必要なのだ」

「石川派の連中も私達の活動を理解すれば、きっと自分達の行動を改めるわ」

「では。今週の活動内容はそう言う方向で行こう。よろしいですか。団長」

「ああ」

「では、次の議題に移る」


(いや、今のって具体的には何の話だったんだ?)


 頭の中に浮かんだ疑問を、考えてもしょうがないと杉原は放り出した。

 一致団結というのは杉原が最も嫌いな言葉の一つだ。集団の中に混じると個人の意思がすり潰される。

 このような考えを持つ杉原は、集団行動が苦手だ。

 小中学校では野球をやっていたが、良くやっていたものだと杉原が自分で自分に感心するほどだ。

 そんな杉原の目には、彼らの会議は茶番に映る。

 先ほどから石川派に対する行動、街の治安維持等々、様々な議題が出ているが全てこうした非具体的な意見で終わる。

 ちなみに今杉原の居る会議はやたらと広い会議室で、いくつかの長方形の机を並べ、藤原と司会役の男は前に、他の団員は机を取り囲むように座り、全員が全員の顔を見ることが出来るように配置されている。

 杉原は隅のほう、知名の隣に座っている。

 他の団員は杉原の存在には気付いているが、何も言わない。そのうち説明があると思っているのだろう。


「はあ……」


 杉原は溜息をついた。

 気付けば、会議が始まってもう一時間は経っていた。

 学校だろうが、会社だろうが面白味のない会議ほど時間の無駄を感じるものもないものだ。

 特に面白いこともないため、頭のなかで旧時代に見ていた映画の続編はどうなっているだろうかなどと考えていると、会議の方向性が変わった。


「君達のお陰で実りある会議が出来た。しかし、慢心してはならない。我々勇者は選ばれし者なのだ。常に向上心を持たなくてはならない。壁があれば、それは成長のチャンスだ。理解し合えない相手がいれば、我らの考えを広めるチャンスだ。君達にはそのことを忘れて欲しくない。と言うわけで、そのために今回は講師を招いている」


 藤原がそう切り出した。

 何時の間にやら、会議はあらかた終わったようだ。

 そして、藤原が杉原のほうに目を向けた。そのことで杉原は察した。面倒なことになったということを。


「杉原氏。前に来てくれ」

「はあ……」


 杉原は気付かれないようにもう一度溜息をついた。ここにいるとものすごい勢いで幸せが逃げそうだ、とは思いながらも立ち上がった。

 すたすたと歩いて、会議室前方に向かう。

 藤原もまた杉原の隣に立ち、話を始めた。


「今日は、我々の理解者として彼に来てもらった。彼は杉原千華。奴隷である魔人と対等な立場であるために、自らを奴隷に堕としたという人物だ。彼なら我らの理念を理解できると思い、参加してもらった」


 藤原の言葉に周囲の団員がざわめく。


「おお……」

「彼が噂の……」


 といった言葉が周囲から聞こえる。

 慌てて杉原は藤原に耳打ちした。


「待ってくださいよ。僕は別に、騎士団に入るつもりはないスよ。弥蜘蛛ちゃん達がいい顔しませんし。というか、僕が奴隷であることは見ればわかるでしょうけど、僕が奴隷になった理由は誰から聞いたんですか?」

「冬木殿だ」

「……ああ、やっぱりか」


 元々、周囲の人間達は杉原が奴隷であることは見れば分かることであるため知っている。

 だが、たいていの人物は杉原のことを冬木の奴隷だと考えている。

 当然と言えば当然だ。

 この時代の人間にとっては、魔人と奴隷同士になるなど狂犬に巻きつけた鎖を自分の首にも巻くようなものだ。

 冬木もまた、以前斉藤から杉原のことを「奴隷の弟子」と呼ばれ、肯定している。

 結果として杉原は忠義を示すために、冬木の奴隷になったと周囲の人間からは捉えられていた。

 騎士団の人間もそう捉えているのだと思っていたが、彼らは冬木から話を聞いていたようだ。


(師匠も誤魔化してくれればこんなことには……。いや、あの人は面白がってやっているのかもしれなしな。真面目な考えもあるかもしれないが……。斉藤を相手にしたときの悪ふざけにノリノリで乗って来る人だからなあ。僕にもよく分かんねえ)


 杉原は頭を抱えながらも、とりあえずこの場を切り抜けるために脳を働かせることにした。

 藤原の話に、面倒にならない程度に合わせようと口を開いた。


「いやあ、お招きいただきありがたいのですが、僕ァ一体全体どうすればいいのか。全く以って分かっていないんですがね?」

「うむ。そうだな。我々の会議に参加してもらったが、貴方にはそれに対する感想や意見を頼みたい。我々と同じ理念を持ち、我々とは違う立場にいる貴方ならば、新しい考えを出してくれればと思ってな」

「はあ、そういうことですか」


(……こういうときは予め話を伝えておいてくれないかなあ。面倒なんだが)


 相手の段取りの悪さ、というよりも気の遣わなさに若干の苛立ちを覚えつつも、周囲の顔を見る。

 全体的に真面目そうな雰囲気ではあるが、同時に笑みを浮かべているものや表情が緩いものもいる。

 杉原からはっきり言わせてもらえば、この環境はなあなあでぬるぬるの甘ったるいものだ。正直なところ議論の場であるとは思えない。

 全体の意見が一方向により過ぎているため、批判的な思考というものが死んでいるのだ。

 しかしこの状況で意地を張って、場を悪くしても面倒だ。

 杉原はそう判断した。


「では、杉原氏。忌憚のない意見を頼んだ」

「えーと、そうですね。治安の維持や魔物相手の一方的な暴力をしない、といった点はいいんじゃないかなと思います。……あとは、勇者だけでなくこの時代の人々相手に講演なり何なりして全体の意識を変えるのがいいんじゃないですかね? 差別なんてそうそう消える意識じゃないですからね。長期的な取り組みが必要なんじゃないですか?」


 そう話して杉原は周囲の反応を見た。

 周囲の団員は頷きながら話を聞いていた。

 藤原もまた興味深そうな表情であった。

 取り敢えずの手応えを感じ、杉原はその場を切り抜けようとしたが、


「うむ、ありがたい意見だった。確かにその意見は有用だな」

「ええ、では僕は――」

「ああ、待ってくれ。ちょっと君に聞きたいのだが」


 という藤原の言葉に叩き潰された。


「……なんですかね?」

「実はだな、会議だけでなく我々の行動も見てもらおうかと思ってな」


 顔に出ないよう不快感を押し止め、今日一日は我慢することを決意した。

 にこやかな表情で、杉原は尋ねた。


「えーと、具体的にはどのような?」

「ああ、実はこの後は治安維持の一環としてパトロールに行くことになっていたのだが、杉原氏も付いてはこないか? この世界もゲームではあっても私達の居る世界だからな。治安がいいに越したことはないだろう」

(……前々から気付いてはいたが、コイツもここをゲームだと思っているのか。まあ、それでも他の勇者達に比べれば、暴れ回らねえだけましか)


 自分の居る世界がゲーム扱いとは、杉原としては不思議だが、致し方ない。彼らはこの世界に異常に良く似たゲームをプレイしていたのだ。

 彼らの考えにも無理はないとは思う。

 だが杉原は彼らと歩調を合わせるつもりもない。

 この場を切り抜ければいいのだ。


「そうですねえ。じゃあちょっとつき合わせてもらいます」

「おお、そういってくれるか。では、第4班集合」

「「「はッ!!」」」


 藤原の声と共に、知名を含んだ3人の騎士団員が立ち上がり、集まってきた。


「この第4班に私と杉原氏を加え、アラタヤドのヨタツダニ区の見回りに行くぞ。あの辺りは治安があまりよくないからな。他のメンバーは当初の予定通りに動け。

「「「「「「はッ!!」」」」」」


 他の団員も動き出した。 

 他のいくつかの班もパトロールに行くようだ。


「では、各員装備をまとめ10分で準備を済ませろ」


 藤原の指示通りに各員がすばやく動いた。

 杉原はこんなことになるとは思っていなかったうえに、特定の武器を持っていないため、トイレだけ済ませてさっさとパトロールも終わることを祈ろう、と軽い気持ちで会議室から出た。




「ふうん。この辺りはこんなことになっているんスね」


 杉原はそう言葉を落とした。

 杉原達は馬車に乗り、旧時代の神奈川県と東京の県境の辺りに来ていた。

 ヨタツダニは旧時代における世田谷区の端の方にあるためだ。

 九州出身の杉原には言われても良く分からないが。

 ヨタツダニ区は現在開発が進められている途中である。そのため多くの大工や工事員が集まっている。また土木作業には奴隷の魔人や魔獣といった魔物が使われる。

 結果として気の荒い職人やガタイが良く喧嘩っ早い連中、護衛をつれた奴隷商人と言った連中が多く、治安がよくないのだ。

 町全体の雰囲気は騒々しく、暑苦しい様子だ。

 好き勝手にのんびりと生きていきたい杉原としては御免被る街だ。


「ああ、活気はあるが喧嘩も多い。多少のことならともかく、怪我人が出るような機会は避けたいのだ」

「でしょうねぇ」


 長時間馬車に乗っていたため、強張る体をほぐす為に杉原は背筋を伸ばし、首を回した。

 こきこきと小気味よい音が響いた。

 馬車は、雇われの御者が操り、杉原達は六人乗りの馬車に乗っている。

 窓際に座る杉原は、体を軽く解すと再度窓の外を見た。

 ガタイのいい男達が街を闊歩している。良くみると、そうした連中相手に食品を販売している屋台が立ち並ぶ奥の路地では、やたらと露出度の高い妖艶な女性が男性と話しこみ、そのまま路地に男を連れ込んだ。


(……水商売か。まあ、そう言う仕事も集まるわな。需要がありそうだもんなあ。悪いことじゃないが、子どもに見せたくはないな)


 他の騎士団はそこまで気付いていないようだが、杉原は人目の付きにくそうなところに目を向けていた。

 この辺りも治安の悪さの原因の一端なのだろう。

 それでも、幸い犯罪臭いことはなさそうだと判断した杉原は街の様子に目を向けていた。

 そんな杉原の耳に何か重いものが落ちたような音が響いた。

 他の騎士団員がドアを開けて周囲を確認した。

 杉原もまた窓から頭を出し、音の聞こえた方向を見た。

 そこでは身の丈が軽く2メートル以上ある魔物、人型猪(オーク)が、膝を突いていた。担いでいたのであろう丸太が地面に落ちている。

 首には奴隷の証である首輪が嵌められ、体は傷だらけであった。

 立ち上がろうとはしているようだが、体に力が入らず、動けない様子だ。


「クソ!! テメエ!! 寝てんじゃあねえよッ!! 立ち上がれやボケ!!」


 オークの奴隷主らしい男が声を荒げる。

 作業が止まったことに苛立ちを感じているようだ。


「……どうしましょう? 動きますか?」

「いや、様子を見よう。下手に首を突っ込んでかき回して、彼らの仕事を増やすのも得策ではない」


 知名が尋ねると、藤原はそう返した。

 杉原もオークの様子を見守っていた。


「ぐ、うう」


 オークは唸りながらも、立ち上がることが出来ない。

 だが、その後ろからもう一体のオークが現れた。


「オイ!! 大丈夫か!! しっかりしろ!! こんなところで倒れたら仕置きじゃすまないぞ!!」

「う、すまない……」

「肩貸すから、立て。家族探すんだろ? こんなところで死んでられないだろ?」


 仲間のオークが声を掛けながら、右肩に丸太、左肩にオークを担ごうとしたが、それは奴隷主の声に遮られた。


「何してる!! テメエはさっさと荷物を運べ!! この役立たずが!!」

「だが、コイツは病気なんだ。もう長いこと体を休めていない。このままじゃ身が持たない!」

「ぎゃあぎゃあ騒いでねえでさっさと行け!! このぼんくら!!」

「……ちきしょうが」


 仲間のオークは申し訳なさそうな表情で、丸太だけを担ぎなおした。


「すまない。なんとか立ち上がれ」

「……おお。こんなところで寝てられないからな」


 オークは気力を振り絞り、何とか立ち上がった。

 そして、地面に落とした丸太を担ぎ、歩き出そうとしたが、足に力が入らず再度よろめき、丸太を落とした。


「しっかりしろ!! このままじゃ――」

「ああ、もういいわ」


 仲間のオークが声を掛けようとしたが、その前に奴隷主が右手を突き出した。


「奴隷魔法発動。死ね。豚野郎が」

「待て!! 止めろ!! ソイツには生き別れた家族が――」


 仲間のオークが止めようとしたが、もう遅かった。

 オークは血涙を流し、淡い光りを放つ首輪を両手で握り締めた。

 引き剥がそうとするが、奴隷魔法による首輪はそう簡単には壊せない。

 眼球がビクビクと動き、体が不自然に痙攣した。


「お、おおおおおおッ!?」

「駄目だ!! 見るな!!」


 藤原が知名の目を覆い隠したのと、オークが口から鮮血を吹き出したのは同時だった。

 血反吐をぶちまけたオークが虚ろな眼で、


「アルカ……。ヘキトー。また、逢えたなら……」


 そんな言葉を搾り出しながら、オークは血の海に沈んだ。

 最後にオークが呼んでいたのは家族の名前だったのだろうか? 杉原はどこかぼんやりした頭でそんなことを考えていた。


「……ああ、そんな。お前、家族に逢いたいって、言ってたじゃあねかよ……。お前が死んでどうすんだよ」


 仲間のオークが、丸太を取り落とし、ずしんと音が響いた。

 呆然とした様子だった。


「コラ!! 何をしてやがる!! あぶねえだろ!!」

「よくも……」

「おい!! さっさとしろ!!」

「てめえェッ!! よくもこの野郎!! ぶっ殺してやるッ!!」


 仲間のオークが怒りに任せ、落とした丸太を拾って担ぎ上げ、振りかぶった。


「うおお!! 糞ッ!! 止めろ!! 奴隷魔法発動!!」


 奴隷主が奴隷魔法を発動させ、オークを止めようとする。

 だが、有栖がかつて耐えたように初級奴隷魔法は相手を即死させるものではない。

 オークに掛けられていたのも初級奴隷魔法だった。

 命懸けでやれば抵抗も出来る。

 仲間の復讐に燃えるオークを見て、杉原は我に帰った。


「お前も道連れにしてやる!! 糞人間がッ!!」

「――駄目だ!! お前まで死ぬぞ!!」


 だが、杉原の声がオークに届くこともなく、オークは丸太を振り下ろそうとしたが、それは叶わなかった。


「火炎剣『イフリートソード』!!」


 一瞬で間合いを詰め、炎を纏った藤原の剣がオークを切り裂いた。

 切り裂かれ、燃やされたオークは一瞬で炭化し、死んだ。

 死体が灰に変わり、風に流された。


「……は?」


 杉原の口からそんな声が漏れた。

 だが、藤原はそんな杉原の様子には気付かず、奴隷主の方を向いた。


「すまなかったな。割って入るのもどうかと思ったが、貴方が危険だと判断し、行動させてもらった」

「……おお、これはこれは勇者様ではありませんか。危ないところをありがとうございました。これは何らかのお礼をしませねば」

「構わん。貴方が無事ならそれでよい」


 二人は和やかにそう話していた。

 周囲の人間達も奴隷主の男達がほっとしたようだった。


「流石は団長ですね。危なかったですけど、あの人が助かってよかったですね」

 知名が仲間の騎士団員にそう言い放ち、周りのメンバーが笑顔で応えようとした瞬間のことだった。




「あァ? 何が良かったんだ? 言ってみろや」

 

 怒気に溢れた杉原の言葉が知名達の纏っていた空気を打ち壊した。

 知名は杉原がこんなにも怒りを露にするのかと、戦慄した。

 今の杉原はこれまでの軽薄で陽気な態度とは違った。

 瞳孔が開ききった眼で、顔に血管を浮かび上がらせながら、知名達をにらみつけた。

 その迫力に、知名達は圧倒された。


「そこをどけよ。僕が通る」


 そのため、知名達は杉原のその言葉に何も考えられないままに従った。

 杉原は知名達の間を通り、場所を降りるとそのまま歩いて藤原の方へ向かった。


「やあ、杉原氏。私が助けたから問題な――」


 藤原は笑顔で杉原に応えようとしたが、杉原が明らかに怒りに満ちている様子を見て、たじろいだ。


「な、何を怒って――」

「何故、殺した?」

「……え?」

「何故オークを殺したのかって聞いてんだよ」


 杉原は有無を言わせぬ口調でそう尋ねた。

 藤原は、たじろぎながらも応えた。


「……あのオークは人間にたてついた。あのままじゃ、この人が危ないと判断したからだ」

「わざわざ殺さなくても良かったはずだ。お前の技量なら殺さずに制圧できただろ」

「……だが、人間にたてついたモンスターなど生かしておけないだろう」

「仲間を目の前でぶっ殺されりゃあそうなんだろ」


 杉原はそう吐き捨てた。

 そして、今度は奴隷主の方を向き直した。


「おい。おっさん。なんでオークを殺した」

「……や、役に立たなくなったら、維持費が嵩むだけだ。それなら、処分した方がいいだろ……?」

「……コイツにだって家族が居たんだぞ!! テメエらだって聞いてたろうが!! 勝手に奴隷にしておいて、勝手なこと言ってんじゃあねえよ!!」


 杉原が怒鳴った言葉に周囲の人間達は唖然とした様子だった。

 杉原はその反応に違和感を抱いた。

 まるで、自分の言葉がかみ合っていないかのような感覚だった。

 そして、その理由を考え、やがて気付いた。


「……杉原氏。君は、まさか、魔物の言葉が理解できたのか?」

「……ああ」


 そう、杉原は当然のように可能であるため失念していた。

 この時代が如何にファンタジーじみていようと、ここは地球だ。

 彼らは日本語しか喋れなければ、日本語しか理解できないのだ。

 つまり、この時代でも人間は人間同士でしか会話できないのだ。

 先ほど、奴隷主とオークが会話しているようには見えたが、そうではない。双頭青鷺の様に、オークや多少の知能指数を持つ魔物は声に魔力を含めることで、相手と意思伝達する能力を持つ。

 魔人や人間達はそもそも高度な言語能力を有しているため、こうした能力を身につけていなかったが、魔物たちはそうではない。

 その点を補うために魔力を使うのである。

 オークは人型であるが、猪から派生して生まれた魔物だ。

 日本語は話せない。

 奴隷主はオークがなんと言っているかは理解できず、オークもまた日本語は理解できていない。

 奴隷主が『ぎゃあぎゃあ騒いで』と言っていたのは、本当に『ぎゃあぎゃあ』と言っているようにしか聞き取れなかったからだったのだ。

 先ほど会話しているように見えたのは、文字通り杉原の目にはそう映っていただけである。言葉は分からなくても、犬と飼い主が意思の疎通を図れるように、言葉は分からないがなんとなく言っていることを察することが出来たため、そう見えたのだ。

 杉原は無意識に相手の声に含まれる魔力を感知し、その魔力から言葉の意味が理解できる。

 また、杉原の言葉を相手の生物が理解できているのもまた、杉原が無意識に言葉に魔力を乗せて話していたためである。

 つまり、人間もやろうと思えば訓練次第で出来るのだが、下手に高度な言語を持つため、言葉が理解できないのなら言葉の意味も理解できないという先入観があるため身に付け辛いのである。

 杉原が動物や魔物の言葉を理解できるのは、これまでの環境で身につけた感性により高い魔力感知能力を身につけたこと、相手が魔物であったとしても相手の意思を図ろうとしたその姿勢が生んだ偶然なのだ。

 ただし、杉原にとってその偶然が幸運だったのか、不運だったのかは分からない。

 他人には聞こえない断末魔が、自分には聞こえるなど苦しみでしかないのだから。


「……んだよ」


 杉原はそう吐き捨てた。

 周りの人間達の、自分を見る眼が気に食わなかった。

 まるで、杉原と彼らの間には分厚いガラスがあるかのような、距離を感じるような、自分とは異なる何かを見るような眼が気に食わなかった。


「藤原さん。……多分、僕らは分かり合えねえよ」


 杉原は周囲の視線を気持ち悪く感じながら、言葉を吐いた。


「……騎士団と君が、ということか? 確かに、君は特殊な力を持っている。その分感じることに差異はあろうが、理念は――」

「いやあ、そういうんじゃあないんスよ。例えば僕は、子どものころから『他人の気持ちが理解できるようになろうね』なんてほざく大人が嫌いだった。他人の気持ちなんて、推察できるだけで、知ったような気になるだけで、本質的な理解なんて出来ないもののはずなのにさ」

「……だが、他人の気持ちを考えることは大事だろう? 貴方は他人のことなど、知ったことでないとでも言うつもりか?」

「いいや、そうじゃあねえさ。人なんて分かり合えるもんじゃあねえし、だったら分かり合おうとすらしなくていいだろう?」

「……どういうことだ?」

「分かり合おうとするから、わからねえ存在を気味悪く思う。何考えているかわかんないから恐れる。自分達とは違うから躊躇いなく排斥できる。……だったら、分かり合わなくても、分からないままに受け入れることが出来ればいいのにな。……まあ、僕にもできないけどよ」


 杉原は誰に語るでもなく、空を見上げてそう呟いていた。

 藤原たちは杉原の考えは理解できず、戸惑ったままだった。

 そんな藤原達の様子に目を向け、杉原は薄く微笑んで言い放った。


「ほらな。理解しようと思っても、目の前に訳分かんねえのがいたら、何も出来ねえだろ。僕が言いたいのは、そういうことさ」


 そして杉原は、先に死んだオークの傍に歩み寄った。

 仲間のオークは灰になり、骨も残らなかったため、軽く両手だけあわせ、先に死んだオークの死体を肩に担いだ。

 オークの頑強な体は重かったため、僅かに装甲を発動し、どうにか担ぎ上げた。


「おい、おっさん」

「……え? ああ。な、なんだ?」


 杉原は奴隷主に話しかけた、

 いきなり話しかけられた奴隷主は慌てた様子だった。


「オークの死体はどうすんだ?」

「……ああ、町外れに死んだ奴隷用の火葬場があるから、そこまで運ぼうかと」

「ふうん、じゃあそれは僕がやる。君らの仕事を代わりにやるだけだ。文句はねえだろ?」

「……ああ」

「そうか。じゃあな。悪いけど、僕は騎士団に関わるつもりはねえよ。……偽善の自己満足は他所でやれ」


 杉原はそう言うと、オークの死体を担いで歩き出した。

 他の人間など気にしない様子で、踏み出した。

 そのまま黙って知名達の隣を通り過ぎ、何歩か歩いて行った。


「……待ってください!!」

 

 知名はそう叫んだ。

 杉原は立ち止まり、振り返ることなく応えた。


「……なんだい?」

「私は私なりに、自分の生き方を、信念を見つけたつもりです。貴方の言葉をきっかけに、今こうしているつもりです。……それを貴方が否定するんですか!?」

「……なあ、服部さん。僕はゴキブリ嫌いでさ、見つけたらとりあえず殺すんだけど、君はどう思うよ? ゴキブリだって懸命に生きてるんだけどさ」

「そ、……それは。その……」

「まあ殺すよね。そして僕にとってはそれでいいんだ。だって僕は僕が一番大事で、一番好きなんだから。世界の中心はいつだって自分だ。世界は自分の眼と価値観を通してみているんだからな。そして僕はそれでいいと思ってる。僕らはいつだって主観で見ている。正しいか間違いかなんて分からない。だから、僕は自分の生きたいように生きる。そうしたいから」

「なら、貴方だって自己満足なんじゃないんですか?」

「ああ、そうだよ。だが君達は自己犠牲の面した自己満足だから性質が悪いんだよ。知らないうちにゴキブリを踏み潰す偽善だからな。どうせ踏むなら、狙って踏め。踏んだことを自覚しろ。……踏み潰した相手を忘れんな」

「……でも、その、私達は……」

「そしてね、最後に一つ言っておくよ」

「何をですか……?」

「『信念を貫く』というのはいい言葉だが、『自分の信念を貫く』ということは、障害となる『他人の信念を貫く』んだっていうことを……覚えとけ」


 杉原はそう言うと、そのまま歩き出した。

 杉原を止めるものはもう居なかった。




「やあ、ただいま」

「お兄さん!! お帰りなんだよー。遅くて心配したんだよー」


 杉原が帰宅したのはもう日が落ちて大分経ってからのことだった。

 そんな杉原の纏う空気にひとみも、丁度玄関に来た冬木も、違和感を覚えた。


「……お帰りなさい。杉原。何かありましたか?」

「……ええ。まあ」


 あれから杉原はオークの亡骸を火葬場に運び、担当官に燃やしてもらった。

 墓標もない深く大きな穴に放り込まれたオークの骨を見て、杉原は数本の花と祈りを死んだ奴隷達に捧げ、一人で帰ってきた。

 

 杉原は今日の出来事を冬木たちに話そうかと思い、そこで気付いた。


「……あれ? 弥蜘蛛ちゃんは?」


 有栖がいないのだ。

 杉原の言葉にひとみが俯き、冬木が言いにくそうな顔で応えた。


「……部屋から出てこないんですよ」

「部屋? 三階のですか?」

「いえ、この館には屋根裏部屋があるんですよ。普段使ってないくて、私も存在していることを忘れてしまうほどだったのですが、そこに巣を張って出てこなくてですね」

「……そうか、斉藤の件ですか」

「ええ、勇者に切り掛かられたことで恐怖を思い出したみたいです。気丈には振舞っていましたけど、もう緊張の糸が切れたみたいで。私達が呼びかけても答えてくれないんですよ」

「……そうですか。ありがとうございます。ちょっと行ってみます」


 そう言うと、杉原は特に気にすることなく階段へ向かった。


「お兄さん!! 今はそっとしておいた方が……」

「大丈夫、大丈夫。任せておきたまえー」


 右手をひらひらと振りながら、杉原は屋根裏部屋に向かった。

 はしごを引っ張り出し、屋根裏のドアらしき場所を叩いたが返事はない。

 仕方ないか、と呟き、杉原はドアを上に押し開けた。

 屋根裏部屋の中は、細い糸が張り巡らされていた。

 その奥に、蜘蛛の糸で作られた球体の巣があった。


「やあ、弥蜘蛛ちゃん。入っていいかな?」

「……五月蝿い。出て行ってよ」

 奥からそんな声が聞こえてきた。

 鼻が詰まったような声だった。


「……泣いてたの?」

「……泣いてないし」

「……そっか」


 そのまま、躊躇うことなく杉原は屋根裏部屋に入り、弥蜘蛛の元へ歩き出した。

 

「出て行けって言ってるでしょ!!」


 有栖は杉原のほうを見ていないが、部屋に張り巡らされた糸を伝わる振動で杉原の動きは察知できる。

 有栖の言葉を無視した杉原に、彼女は怒鳴った。

 だが、それでも杉原は歩いた。

 そして、巣の入り口にまで歩み寄った。


「ねえ。弥蜘蛛ちゃん」

「何よ。出て行けって言ってるのがわかんないの?」


 有栖は杉原に背を向けていた。

 自分の腕で自分の体を抱きしめるようにしていた。

 杉原には、有栖の顔が見えないため表情は分からなかったが、体が小刻みに震えていることには気付いていた。


「ううん。ここで、君から離れたら、君まで簡単に死ぬ気がしてさ。だから、ここから離れたくないんだよね」

「……え?」


 そこで有栖はやっと振り返った。

 有栖の眼は泣き腫れていたが、有栖のひとみに映る杉原もまた、泣きそうな顔で口元にだけ笑みを浮かべていた。


「……どうしたの? 杉原」

「……甘く見てたんだ」

「え? どういうこと?」

「そんまんまの意味さ。君も、ひとみちゃんも死にかけた。有栖ちゃんが仇を討つところも見ていたのにさ。それでも僕は分かってなかった。騎士団の奴らには偉そうなこと言ったんだけどさ。僕は、僕はもっと、簡単に人は死なないと、殺さないと思ってた」

「……?」

「でも、結局のところ、僕はなんでも知ってる面をして、認めたくないことから目をそらしていたんだ。何が『分かり合えない』だよ。僕だって何もわかんないのにな」

「……何の話なの?」

「ああ、ごめん。つい言いたいだけのことを言ったね。要はさ、目の前でそんなに簡単に殺されると思っていなかった奴らが、簡単に殺されてね。自分が甘かったことを痛感したんだよ」


 杉原の人生において目の前で人間が殺されるのを見たのは、有栖が復讐を果たしたときが初めてだ。

 そして、杉原にとって彼らは死んで当然の存在だった。

 だが、オーク達もまた奴隷主や藤原にとって、死んで当然の存在だったのだ。

 杉原にとっては、彼らも言葉と、家族と、仲間と、感情を持つ人間に匹敵する生物だった。だから、多少扱いが悪かろうとそんな簡単には殺されないと思っていた。

 しかし、失敗した。

 自分の枠組みでものを考え、失敗した。

 オークを助けることが出来たかもしれないのに、彼が家族と会うという願いを叶える手伝いが出来たかもしれないのに、わざわざ自分が行かなくても言いと判断した結果、彼はもはや家族とは会えなくなってしまった。

 すべては、杉原の見切りの甘さの招いた結果だった。

 先ほど、知名達に言っていたことは自分に対する戒めでもあった。

 偉そうなことを言って、失敗した。


「……そう。そんなことがあったの」


 有栖は俯いて、そう返した。

 恐らく魔人か魔物が殺されたのだろうと有栖は気付いた。自分達の境遇を踏まえればすぐに気付くことだった。


「ねえ。弥蜘蛛ちゃん。君は大丈夫?」


 杉原はしゃがんで有栖の視線に合わせると、そう尋ねた。

 有栖は目を逸らし、誤魔化そうかと考えたが、結局素直に応えた。


「……大丈夫、じゃないわよ。本当に死ぬかと思ったもの」

「うん。そうだね。ごめんね。迷惑掛けた」

「……迷惑じゃないわ。アイツを倒してくれたときは清々したから。でも、アンタを庇って勇者の剣を受け止めたとき、私の家族を奪った勇者達を思い出した。……あのまま、もしも……」


 そこで有栖は言葉を切った。

 いや、より正確に言うなら言葉を繋げることが出来なかったのだ。

 自分に振り下ろされた剣、自分に向けられた殺意が家族を亡くした惨劇を思い出させた。

 ガチガチと歯を恐怖でぶつけ合わせ、体の震えが止まらず、浅い呼吸を繰り返し、体温が下がっていくように感じた。

 恐怖で何も考えられなくなりそうになる。

 だが、恐怖よりも何よりも。


「こんなにも弱い自分が、一番嫌だ……」


 一度止まったはずの涙がまた溢れ出した。

 ぽろぽろと床に涙の雫がこぼれ落ちた。

 杉原はそんな有栖の頭に手を伸ばし、優しく撫でた。

 髪型が崩れない程度の力で、優しく、優しく何度も頭を撫でた。


「……杉原」

 

 杉原の暖かい手の感触を感じ、有栖は嗚咽を漏らしながら頭を上げた。

 杉原はそんな有栖と目を合わせると、優しい笑顔で言い放った。



「ねえ、弥蜘蛛ちゃん。デート行こうよ」


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