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大魔法使い、そして少年

初めて6000字の壁を越えたぁ!

話が飛び飛びになるかもしれません!

疑問があれば感想かメッセージで通知してください、次話の後書きで説明します!

誤字脱字注意報発令中!

少年が魔法使いに奴隷市場で買われて二年の月日が経過する。


魔法使いの老人は、自らをジュリオ・クラウディと名乗り、少年と同じくらいの年の娘はエリナ・クラウディと名乗る。オズは、本名をオズフィール・クラウディとし、ジュリオの弟子として魔法の訓練を受けていた。


この世界には、魔力を持たない人と、魔力を持つ魔法使い、人と容姿が異なる亜人が存在する。そして、修羅神仏である悪魔や天使、堕天使すら存在する。妖怪も存在しており、バジリスクやスライムも館の外に出れば必ずと言って良いほど頻繁に遭遇する。他にも、人の血を好んで吸う吸血鬼もいる。


10歳となったオズは、1日の大半をジュリオとの特訓に費やしている。もともと、オズは体に膨大な量の魔力を有しており、古豪の魔法使いと呼ばれたジュリオは教え甲斐があると言い、昼夜問わずオズをしごいていた。


日課は、朝の日の出と共に起床。起床後すぐに基礎体力強化訓練。そして朝食後は魔法に関する知識を得るための座学。昼食後は、午前中に学んだ魔法を実践する。夕食後は魔法具の製作。これが大まかなオズの1日だ。


常人なら耐えられないほど過酷な日課だが、オズは逆に生き生きしながらこなしていく。貴族の家に住んでいた頃は、ほとんどが地下牢での生活であったため、こうしてまともな魔法の知識について学ぶ機会がなかった。


座学で学ぶのは魔法制御はもちろんのこと、魔法陣の意味、魔法の発動の仕方、魔法の仕組み、存在する魔法のことなど様々である。


中でも、オズを苦しめたのは魔法の実践だった。ジュリオ曰く「実践ほど経験を積めるものはない」らしく、魔法を覚えたての頃から近くに住む巨大なワーウルフのボスや、龍の幼体である飛竜、オズの20倍以上はある巨大なオークとの戦いを強制された。


中でも、一番非道であるのは、魔力の知識の欠片も知らない素人のオズに対して、直撃すれば即死間違いなしの魔法を問答無用で撃ち放ってくることだ。


ジュリオは自称大魔法使い。大魔法使いは大陸で評議会リーンと呼ばれる組織から、その功績を認められた魔法使いのことをいう。ジュリオはその中でも、大賢者と呼ばれるほどの実力の持ち主であり、その魔法も強力なものばかりである。とある事情で、評議会はジュリオの大魔法使いという名称を破棄しているため、ジュリオは自称大魔法使いとなっている。


ジュリオの実家は誘いの森と呼ばれる森の奥深くにある屋敷。そしてこの森、あまりにも奥が深すぎるため、滅多に人が入り込むことはないらしい。オズが家族になる前は、ジュリオは娘のエリナと二人で暮らしていたらしく、家には魔法関連の蔵書が大量に保管されている。


魔法書、魔獣書、魔界書、魔法陣構築書などの魔法関連蔵書。その他にも様々なジャンルの蔵書が置かれている。


そして、現在のオズというと。


「さっさと降参してよ爺さん!」


「ほっほっほ。まだまだ若いもんには負けてられんよ」


ジュリオと組み手と言う名の殺し合いの真っ最中であった。もちろん、本気ではない。魔法の基礎が成熟したオズは、一通りの魔法を行使できるようになり、ジュリオと互角の実力を持つようになった。


オズは空中に魔法陣を展開、炎を纏った大量の矢を撃ち放つ。威力、速度、そして飛距離は、通常の炎の矢と比べて強力な威力に仕上がっている。


ジュリオはオズの魔法《火矢ファイアブレッド》を、連続した短い転移を使って避け、撃ち落とし、時には初歩的な防御魔法《防壁シールド》で防ぐ。本来なら、オズの魔法は上級の防御魔法を貫く力を持っているため、ジュリオの魔法の実力が垣間見れる。


「ほれ、後ろが甘いぞ?」


「くそっ!?リフレクト!」


オズは背後に回りみ、不意打ちと言わんばかりに放ってきたジュリオの《放電サンダーボルト》を《反射リフレクト》でそのまま撃ち返す。


お互いに距離をとると、ジュリオは杖にもたれかかる。


「それにしても相変わらず厄介じゃな、その赤眼。反射なんぞ、魔法に使われた魔力量とまったく同値の魔力で魔法陣を形成せねば成り立たんというのに。それに今の魔法陣、改造が加えられておったな」


そして、反射の魔法。オズは、反射の魔法陣にとある改造を施していた。それが、魔力変換の術式の組み込みである。


反射の魔法は、ジュリオの言った通り対象の魔法と同等かそれ以上の魔力を用いることで発動する。そのため、オズは効率よく反射を発動させるため、対象の魔力を数値化し、それと同等の魔力によって魔法陣を変化させることが出来るようにした。これにより、対象の魔力を予想して発動していた反射が、常時対象の魔力と同等の力を生み出し、相殺することが可能となった。


「魔法の研究が好きだからね。爺さん、知ってたでしょ?」


「まったく、誰に似たんじゃか」


「爺さんだよ」


そんな軽口をたたきながら、二人は再び魔法を撃ち合う。炎の渦がうず巻き、酸の雨が降り、幻覚がかかり、大地が隆起し、暴風が巻き起こる。余裕があれば、あ互いに新しく作った魔法や独特の魔法の使い方などを披露する。


お互いに出す魔法が無くなってくると、今度は格闘戦に移行する。オズは双剣《白凛・白雄》を持ち、ジュリオは杖を持って攻撃を受け流していく。


「はぁあ!!」


次第にオズの目が赤に変化していく。鬼神の如く双剣を振り、ジュリオはその連撃を躱しきれず、吹き飛ばされてしまう。


「ほぅ、赤眼を使うか。それも良いが、使い方には気をつけるのじゃぞ?」


オズは、ジュリオから自分の赤眼が他の赤眼とは少し違うという事を聞いていた。オズの目は、闘争心に駆られた時のみ赤眼へと変わる。裏を返せば、落ち着いている状態なら、元々の色であるダークグリーンへと戻る。幼少期は、心のコントロールが難しかったため、常時赤眼であったと結論付いた。


オズは顔の紋章を発現させると、双剣を一本の大鎌へと変化させる。《アルヴァノーダ》と呼ばれる死神の武器である。


「死神の力か?」


その上、オズの左目付近にはある力が潜在している。それが、死神の力だ。


「行くよ、爺ちゃん?」


「おもしろい、さぁ来るんだ」


オズは地面を蹴り、一瞬でジュリオの目の前まで移動する。そして、アルヴァノーダを逆手に持ってジュリオに向けて斬り上げる。


「はぁあ!!!」


攻撃を防いだジュリオの杖を豆腐のように斬り裂き、怯んだ隙に続けて斬撃を叩き込む。杖を失ったジュリオは、腕にシールドを展開し、オズの攻撃を辛うじて防いでいく。


隙を見つけたジュリオは、オズの胸めがけて掌底をぶつける。まともに攻撃を受けたオズは後ろへ吹き飛ばされるが、必死で踏ん張って少しの滑走で止まる。


「まだまだ詰めが甘いのう」


「さすが爺ちゃん、まだまだ敵わないや」


「今日の特訓はここまでじゃ。そろそろ夕食にしよう、エリナが腹を空かしておる」


「はい」


こうしてオズの特訓は始まったばかりだった。



とある雨の日、オズの住む館のドアが数度ノックされる。


「おーいジュリオや、頼まれたもん作ってきたぞ!」


来客は背の高い中年の男だった。服装はロングコートで、髪の毛はターバンで隠しているが、隙間から金髪が見えている。民族装束の服の上からでもわかるぐらい、がっちりとした体型の持ち主だった。


「あの、あなたは?」


「俺はロックってんだ。君がジュリオの弟子のオズフィール君かな?」


「はい。ロックさんって、魔法具製作で有名なあの職人さんですか?」


「そうだよ。まぁ、職人ってほどじゃあないけどね〜」


「四六時中魔法具の製作に打ち込んで、奥さんに逃げられた可哀想なお方だ、オズ」


ジュリオは「がっはっは」と笑いながら、新しい杖をついて階段を降りてくる。ロックはやや呆れたようにため息をつく。


「オズフィール君、その引きこもり変態ジジイに何もされなかったかい?」


「い、いえ……」


「何じゃとこの変態紳士!?」


「うっせぇロリータジジイ!」


「あ、あの……」


オズが火花を散らす二人をなだめる。ロックは「やれやれ、何時も疲れる」と言いながら、背中に背負っていたバックから色とりどりの液体が入った小さな筒が付いたネックレスを取り出す。ジュリオは「これじゃこれじゃ、頼んだようにできておる」と言い、ネックレスを受け取る。


「こんなもん、何に使うんだ?もうすぐ死んじまう老いぼれには必要のない代物だろ?」


「老いぼれは余計じゃ。こいつは、オズに着けさせる」


そう言って、ジュリオは受け取ったネックレスをオズの首へと着ける。色とりどりの筒が揺れ、ぶつかり合って綺麗な音を立てる。


「爺ちゃん、これは?」


「魔力保管装置じゃ。今のオズは、体に宿る膨大な魔力を使って魔法を使うことが出来ている。しかし、大きな力を持つものほど、すなわち基礎部分である体の限界を越すことがある。つまり、人間でいう足場が崩れるのが早い。なら、一層の事溢れ出すかもしれない魔力をこいつに入れておくのじゃ」


赤が炎などの魔法を媒体する赤色魔力。青が水や氷系統の青色魔力。黄が電撃系統の黄色魔力。紫が闇系統の紫色魔力。緑が草や自然系統の緑色魔力。これらは、大地からの恩恵によって生まれる自然魔力マナと呼ばれている。


最後に銀色の筒は、オズや魔法使いたちが持つ術者本人の魔力である無色魔力である。無色魔力は、オドとも呼ばれ、術者は自分のオドとマナを掛け合わせることによって、初めて魔法を使うことができる。従って、オドを体に持っていない人間は魔法を使うことができず、術者が持つオドの量によって、魔法の威力や種類が増えていく。


「オズ、お前さんの体は死神と契約しているからと言ってもまだ10歳児だ。いずれ、その魔力を完全にコントロールできるようになるまで、しばしの間これをつけておくのじゃ」


「なんと、この子は死神と契約しているのか?」


「オズ、見せてあげなさい」


「はい」


オズは死神の力を発現させる。ロックは、オズの顔に現れた紋章と赤眼を見ると、少しの間言葉を失っていた。


「ジュリオ、あんたが興味津々な理由が分かるよ。彼をどうする気だ、研究材料か?世界を支配するための駒か?」


「あいにく、わしはそんな事に興味がない。オズは立派なわしの家族じゃ。エリナとオズは、わしの立派な子どもたちじゃ」


「立派な子どもねぇ……」


「あぁ、そうじゃ。ロック、この子に格闘を教えてやってはもらえんかの?」


「格闘、体術か?」


「わしは見ての通り歳でな。お主の方がオズに実戦的な体術を教えることができるじゃろ?」


「まぁ、あんたには借りがあるしな。オズフィール君、大丈夫か?」


「大丈夫ですロックさん」


館の中庭へと移動したロックは羽織っていたコートを脱ぎ、ターバンを取ってエリナに渡す。


「体術とは、字で読む通り体を使った術だ。俺の格闘術は王宮警護術、その拳は槍術によく似ている。錐揉み、叩き割り、横払い、砕き、押しつぶす」


ロックは両手を使い、型を見せていく。


「オズフィール君、格闘の経験は?」


「我流しか知りません」


「そうか。なら、我流でいいから俺に打ち込んで来なさい。いざ」


「お願いいたします」


オズは地面を蹴り、一瞬でロックの懐へ侵入する。オズは顔面めがけてアッパーを打ち込むが、その拳をロックは両手を交差して受け止める。そして、必要最低限の動きでオズを突き飛ばし、固めてしまう。


「ダメだオズフィール君、むやみに敵の懐に入ってしまっては、次の行動が制限されてしまう」


「くっ!」


オズは無理やり立ち上がると、一度距離を置く。追ってきたロックに拳を突き出すが、ロックはそれを払いながら槍を打ち出すように攻撃してくる。


「せい!!」


ロックの回し蹴りを両手で受け止める。オズは両肘を使ってロックを突き飛ばす。


「ほう、あの短時間で受けと突きを覚えたんだね。なかなか見込みがあるじゃないか?」


「お褒めにあずかり光栄です。ロックさん、いやロック師匠」


「師匠なんて言われる義理じゃない、俺はただの魔法具職人さ。それに俺の名前はロックじゃあない、それはジュリオが付けた愛称で本名はシェラザード・キーズロック、覚えていてくれ」


「分かりましたシェラザードさん」


「また来さしてもらうよ。君との戦い、なかなか楽しかった。次までにもっと成長していてくれ」


「はい、ありがとうございました」


こうして、シェラザードから体術を学び、ジュリオから魔法を学んだオズは、一人前の魔法使いとして着々と成長していった。



「オズ!オズはいる……ぐはっ!?」


「何してんの爺ちゃん?」


「いつつ、この歳になって転ぶとわ……って、それどころじゃない!エリナが帰ってきとらんのじゃ!」


「エリナが?あいつ、山に魔法の材料取りに行ったんじゃないの?」


「それが、先ほど反応が消えた」


「何だって?」


エリナ・クラウディ、オズがジュリオに拾われる前からジュリオと一緒にいた少女だ。普段は無口だが、オズには心を開いており、とても仲がいい妹だ。


「爺ちゃんはここで待っててくれ。オレがエリナを探してくる」


「すまない、最後に反応があったのは山の中腹じゃ」


「分かった。行ってくる」


館を飛び出したオズは、森の奥にある山へと向かう。あいにく、空は段々と曇って今にも雨が降りそうだった。この山は雨が降ると、通常攻撃が通用しない魔獣が出現する。時間との勝負だった。


「くそ、どこだ?」


オズは右腕に意識を集中させる。紫色魔力を腕に纏わせると、地面に魔力を押しつける。


「我、影を司るものなり。汝、その問いに答えよ。影写ダークネクスト


オズが呪文を唱えると、魔法陣からまっすぐ影が伸びていく。影写は、自分の影と目標の影を繋げることで捜索に役立つ魔法だ。幸い、雲の隙間から顔を覗かせる太陽のおかげで、薄っすらだが影が繋がった。


暫く捜索を続けていると、平坦な場所へと出る。そこには、池の中心に全長20mほどの食人植物の触手に絡まれたエリナの姿があった。その顔は衰弱しており、銀の髪は輝きを失いかけていた。


「エリナ!?」


「お兄……ちゃん?」


「今助けるからな!」


オズは白凛・白雄を発現させると、食人植物に向けて斬りかかる。食人植物はオズに気づくと、ヒドラのように揺らしていた他の触手を伸ばして攻撃する。


オズはそれを斬り伏せ突撃するが、あと一歩のところで横から振られた触手に弾き飛ばされてしまう。


「くっ!?」


池の外側へ着地したオズは、続けて襲いかかってくる触手を斬り伏せる事で精一杯だった。その間も、食人植物はエリナの体力を吸収していく。


かと言って、突撃しても無数の触手に阻まれる。その時、オズの頭にシェラザードの言葉が浮かんだ。


(むやみに敵の懐に入ってはいけない)


それは、状況を見極めることができなくなるという事を遠回しで伝えた言葉だった。


「なら、これでどうだ!?」


オズは紫色魔力と黄色魔力を両手に宿らせる。紫色魔力からは闇の鳥である闇鴉ダークレイヴンを出現させ、黄色魔力からは電撃を発現させる。


「喰らえ、放電サンダーボルト


右手から撃ち出された電撃は、渦を作りながらエリナを拘束する触手を切断する。宙に浮いたエリナを、闇鴉がキャッチして池の外側へ運んでくる。


「これで手加減しなくて済む。滅せよ、消滅デリート


食人植物を中心に魔法陣が構築され、雲を割って落ちてきた闇が食人植物を飲み込む。魔法が晴れたそこには、池ごと消滅して何も存在していなかった。


「大丈夫か?」


「ごめん、ごめんお兄ちゃん。私のせいで……ひぐっ」


「泣くなって。お前は悪くないよ」


「ううん。助けてくれてありがとう」


「気にするな。さ、帰ろう。爺ちゃんが待ってる」


「うん!」


オズはエリナを抱きかかえると、館へと帰っていく。

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