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お礼投稿、楽しんでいただけたでしょうか?

切りの問題で今回は長めの1800字ほどです。

 しばらくは歓迎の挨拶ラッシュが続いたけど、一通り終わると飲み物が差し出された。

 差し出したのは守備隊で私の身の回りのお世話をしてくれるエルフの女性、アニスさんだ。



「アニスさん。」



「ようこそ我らの里へ。歓迎いたします。木の実ジュースをどうぞ。」



「ありがとうございます。」



 アニスさんは黒い前髪を編みこみにしてカチューシャのようにセットしていた。

 後ろの方の緑の髪はそのまま流していて、それがゆるくウェーブがかかっていてとてもゴージャスだ。



 服装は、新芽の色の半袖ワンピースを着て、白い帯を締め、サークレットを付けている。

 メルバさんや長老さんたちみたいにローブは羽織っていないみたいだ。暑いもんね。普段ノースリーブでいけるんだし。



 挨拶してる時に気付いたんだけど、エルフ達はみんなサークレットをつけている。

 半袖ワンピースにサークレット…これがエルフの正装になるのかな?



 ワンピースは脇から下が縫われていて、こっちは私のよく知るワンピースだ。

 生地と同じ糸で細かく刺繍が施されていてとても上品な服だと思う。



 簡素な服装だけど、女神のような美貌のアニスさんがすると、まるで1枚の絵のようだ。

 そんなアニスさんに見惚れたけど、差し出された木製のコップに気付いて慌てて受け取った。



 ちょうど喉が渇いていたからジュースが美味しい。

 中身はキウイジュースだった。…鮮やかな朱色の。



 ブラッディオレンジとかそういう透明感のある色じゃない。

 絵の具を溶かし込んだような朱色だ。



 相変わらずこっちの飲み物は、飲み物の色じゃないなあ。

 味は良いんだけど。



「どうかなさいましたか?」



「いえ。美味しいジュースだなって思って。どんな木の実なんですか?」



 アニスさんが心配そうに聞いてくるので、何でも無いと味の感想だけを言う。

 アニスさんは治療部隊に所属するお医者さんだ。異世界のヒト族である私にどんな食べ物が合うか管理してくれているので、私の反応が気になったんだろう。



 まあ、気になったのは味じゃなくて色の方なんだけど。

 もとの木の実がどんなのか気になったので聞いてみる。やっぱり朱色なのかな?



「ああ。これはククカの実です。長の家の隣に大きな木があるでしょう?あれがククカの木で、これはその実を絞ったものです。」



「あの大きな木の。実がなるんですね。」



 常緑樹かと思った。実が生ってるようには見えなかったけどなあ。

 まあ、大きすぎて枝がすごく高い位置にあったから見えなかったのかな。



「見えないでしょう?ククカの実は色も形も葉っぱとよく似てるものですから、一見、実がついてるようには見えないんですよ。」



 へえ。それじゃあ、見ただけじゃ実が生ってるかわからないんだ。

 でも、それって植物としてはマズいんじゃないの?



「ハルカちゃん~。みんなも落ち着いたみたいだし、そろそろ名乗ってもらってもいい~?あーちゃんの妹がくるって大騒ぎだったけど~。こんなに熱狂するなんてね~。」



 アニスさんと木の実の話をしてると、メルバさんが周りのひとがきをかき分けてやってきた。

 そうだ。名乗らなきゃ。



 今回みたいに大勢に名乗る場合は、皆から見えるところで名前を言うことになっている。

 でないと、これだけの数に名乗ってたら倒れてしまうもんね



「はい。えっと。どこですれば?」



「ああ。こっちに台があるから、そこに乗ってもらえる~?」



 台ですか…何だか演説みたいで嫌だなあ。まあ、名乗るんだからしょうがないか。

 メルバさんについて行くと、壁際に木箱を階段のように重ねて布がかけられた台があった。



「じゃあ、よろしく~。皆~。注目~。」



 うわ。緊張してきた。

 で、でも、ヒトが大嫌いなエルフもいるのに受け入れてくれたんだし、自己紹介くらい頑張ってしないと。



「えっと…。初めまして。里見遥加と申します。どうぞ遥加と呼んでください。本日はご招待下さり、まことにありがとうございます。また、兄の当が大変お世話になりました。兄の名を聞いた時は驚きましたが、おかげで皆さんとこうして出会えたことに感謝しています。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。」



 精一杯の感謝を込めて、胸に手を当て、上体を少し傾ける。こちらでの正式な礼だ。

 あー兄ちゃんはともかく、私の方はエルフたちに何の功績も残していない。だから、これからエルフたちと良い関係を築いていけたらと思う。



 何が出来るかわからないけど、やれそうなことは精一杯頑張らせてもらおう。

 そんな決意も込めて頭を下げた。

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